おたふく風邪、子供がかかったときの症状、熱や痛みへの対処法は?難聴も?小児科医が解説!

●おたふく風邪はどんな病気?症状は?

正式名称は「流行性耳下腺炎」。耳の下が腫れるのが特徴

おたふく風邪は、耳の下~あごのあたり(耳下腺や顎下腺)がぷっくり腫れるウイルス感染症です。子どもの頃にかかったと覚えている人も多いでしょう。正式には「流行性耳下腺炎」といい、腫れは両側の場合も、片側の場合もあります。

おたふく風邪の症状は痛みや発熱。症状が出ない人からもうつる

おたふく風邪の原因は、ムンプスウイルスです。接触感染や飛沫感染でうつり、2~3週間の潜伏期間の後、腫れや痛み、発熱などの症状が出ます。ただ、10人に3人は不顕性感染といって、症状が出ないことがあります(ただし感染源にはなるので、注意が必要です)。

●おたふく風邪の治療法、対処法は?

痛みをやわらげる解熱鎮痛剤などで治療

おたふく風邪にかかったら、解熱鎮痛剤を使うなどの対症療法をしますが、多くは1~2週間のうちに自然によくなるので、軽い病気と思われているかもしれません。しかし、おたふく風邪から難聴になることがあるのです。それを、ムンプス難聴といいます。

おたふく風邪からなる、ムンプス難聴とは?

ムンプスウイルスが血液を通って内耳に入ると、内耳が障害されます。内耳は耳の一番奥にあり、音を感じ取ってその信号を聴神経から脳へと送る器官です。内耳が障害されると音を感じ取れなくなるため、高度の難聴になり、治りません。大部分は片耳に発症しますが、まれに両耳が聞こえなくなることもあります。

 

●おたふく風邪が流行するのはいつの季節?

おたふく風邪は年間を通して流行しますが、特に冬~春が多く、4、5年ごとに大きな流行を繰り返します。

ムンプス難聴になりやすいのは、おたふく風邪にかかりやすい3歳~6歳の子供。以前は、感染した1万人に1人程度と、極めてまれな病気と考えられていましたが、最近の調査では、数百人~1000人に1人の発症率と、まれではないことがわかってきました。

●おたふく風邪とムンプス難聴の、唯一の予防法は予防接種!

予防法は、予防接種を受けること。ワクチンを定期接種している国々では、おたふく風邪は撲滅しかかっており、従ってムンプス難聴もほとんど発症しません。日本は任意接種で有料のため、接種率は50%ほどで、流行を繰り返しています。

1回接種では免疫のつかない子が10人に1人程度いるので、予防接種は2回行います。1歳過ぎたら早めに1回目を、3~4年ほど開けて2回目を接種し、免疫を確実なものにすることが大切です。1回目も2回目も接種率が95%以上あれば、流行はほぼ抑えられるといわれています。3歳~6歳の子供の場合、未接種で、なおかつ、おたふく風邪にかかったことがない子は、かかりつけ医に相談して、まず1回目を受けるといいと思います。

現在のおたふく風邪ワクチンは、この数十年間、重い副反応の報告がほとんどなく、最も安全なワクチンの一つといえます。また今後の定期接種化に向け、さらに安全性の高いワクチンが開発中です。

 

●もしムンプス難聴になってしまったら?

おたふく風邪にかかったら、子供の耳の聞こえチェックを

子どもは無自覚なことが多く、片耳が難聴になっても痛みなどがないため、発症に気づかないことも珍しくありません。小学校の入学時健診で、発見されることが多いようです。おたふく風邪にかかったり、周囲で流行している時は、耳のそばで指をこすり、聞こえのチェックをしてみましょう。難聴の疑いがあるなら耳鼻科を受診し、聴力検査をしてください。

片耳の難聴は、日常生活には支障がないとされていますが、音の方向がわからないなど、不便を感じることもあります。親や周囲の大人が理解して支え、ストレスを軽くしてあげましょう。

●おたふく風邪から発展する病気も。大人も注意が必要

子どもはおたふく風邪から、無菌性髄膜炎や脳炎、膵(臓)炎になることもあります。無菌性髄膜炎は、感染した子の100人に1~2人発症しますが、たいていは軽くすみます。膵炎も病後の経過はよく、回復します。

大人は、睾丸炎や卵巣炎を起こして不妊の原因になったり、妊婦さんがかかると、流産の原因にも。大人でもムンプス難聴は起こります。免疫のない人は、予防接種を受けることを勧めます。

 

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健康担当

粂川好男(くめかわ よしお) 先生 
杉並堀ノ内クリニック院長
立教大卒業後、出版社に勤務した後、信州大医学部入学。国立国際医療センター、愛和病院で小児科全般の臨床経験を積む。安心と笑顔を持ち帰れるクリニックを目指す。小児科専門医。

イラスト/松木祐子 出典/『めばえ』 再構成/HugKum編集部

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