2歳、3歳、イヤイヤ期の対応は? 保育士も実践する基本の3ステップ

2歳前後になると、やってくるのが「イヤイヤ期」。何を言っても「イヤ!」と泣かれてしまうと、おうちの方としてはお手上げ状態ですよね。できるだけ叱らずに、この時期の子どもとうまくコミュニケーションをとるには、どうすればよいのでしょうか?玉川大学大学院教授。乳幼児期の教育・保育・子育て支援を専門とし、幼稚園教諭を務めた経験もお持ちの大豆生田啓友先生に、対応のあれこれを伺いました。こんなときどうする?というママのお悩みにも答えます。

そもそもなぜ2歳頃にイヤイヤをするの?原因は?

気持ちをコントロールする方法を学んでいます

イヤイヤは、おうちの方への「反抗」ではありません。「自分でやりたい」という自我が育ちながらも、自力ではやり遂げられず、おうちの方に先回りをされてしまう。その葛藤をイヤイヤという形で表現しているのです。脳科学的にとらえれば、この時期の子どもは脳の中で感情をつかさどる前頭前野が未発達なので、気持ちをおさえることが難しい時期。イヤイヤをしながら、どうすれば自分の気持ちをコントロールできるかを学んでいる時期なのです。

 

イヤイヤ期への対応は?まず試してほしい基本の3ステップ

イヤイヤに対処するうえで最も大切なのは、子どもの気持ちを受け止めること。そのためにはどうすればよいのか、具体的な行動のヒントをお届けします。

《ステップ1》落ち着ける場所へ移動する

お店や乗り物の中で泣き出したら外へ出る、家の中であれば静かな部屋に移動するなど、空間が変わるだけでも子どもは気持ちを切り替えやすくなります。外でイヤイヤが始まったときも、人通りの多い場所から離れれば周囲の目をあまり気にせずに済むので、おうちの方が落ち着いて対処できるようになるというメリットも。

《ステップ2》「イヤだったんだね」と声をかけ抱きしめる

「イヤだったんだね」と声をかけてギュッと抱きしめ、子どもが落ち着くまで背中をトントンしてあげましょう。泣き出した原因が何であれ、ママの体のぬくもりに触れて「気持ちをわかってもらえた」と実感できると、子どもは安心します。「静かにしなさい!」と怒ると、子どもは気持ちのおさまりがつかなくなるので逆効果です。

《ステップ3》その先にある楽しい見通しを伝える

子どもは目の前のことしか見えていないことが多いので、「おうちへ帰ったらおやつを食べようか」というように先の見通しを伝えて、これから待っている楽しいことに意識を向けられるようにしましょう。この経験を重ねると、子どもは「イライラしても楽しいことに目を向ければ気持ちを切り替えられる」ということを学べます。

 

イヤイヤにはいろいろなケースがあるので、現実にはこの通りにはいかないこともあります。そんなときはがんばりすぎず、以下も参考にして、おうちの方にとって無理のない方法をいくつか試してみてください!

正解はひとつではありません!あの手この手で対処を

基本的に、子どもの気持ちが落ち着くのを待つしかないので、「こうすればうまくいく」という正解はありません。あの手この手で気をそらしてやり過ごしましょう。これは甘やかしではなく、気持ちの切り替え方を子ども自身が学ぶために必要なサポートです。いつも正論を貫こうとするとおうちの方が疲れてしまうので、時には「今日だけは特別ね」といった対応があってもかまいません。いくつかの選択肢を用意して、柔軟に対処することが大切です。

 

 

「ズボンはかない!」2歳児にかけた言葉は…? 保育士のイヤイヤ期対応を聞いてみた!

少し待ってクールダウンさせる

2歳の男の子が「ズボンはきたくない!」と言ったとき、先生は「イヤなんだね。それなら、もう少し待ってるね」と、しばらくそのままに。0歳児クラスの赤ちゃんが泣き出したので、男の子と先生で一緒に頭をなでて泣き止むのを待ち、そのタイミングで「ズボン、はいちゃおうか?」と声をかけると、男の子はサッとズボンをはきました。自分の思いが満たされれば、子どもは気持ちを切り替えて自分から行動できるようになるのです。

3歳のうちの子。イヤイヤ期がなかなかおさまりません…。いつまで続くの?

「ママが手厚くかかわってくれた」ということに意味があります

イヤイヤをして自分の思いを出せるのは、子どもが健全に育っている証拠です。この時期に大切なのはイヤイヤをおさえこむことではなく、子どもが安心して自分の思いを表現しながら気持ちを切り替えていけるようにすること。やさしく寄り添ってもらうことで、子どもは「大事にされている」と実感できるので、イヤイヤをしたときにおうちの方が手厚くかかわってくれたということ自体が大きな意味を持ちます。イヤイヤに対処するのは大変なことですが、焦らずに「急がば回れ」の気持ちで子どもに寄り添っていけるといいですね。

 

 

ほかにもこんな対応方法が! よくあるケース別「イヤイヤ期」対応法

基本の3つのステップを身につけたら、対処法のバリエーションを増やしていきましょう。ここで紹介する方法はほんの一例ですが、ぜひ参考にしてください。

《ケース1》やるべきことを「イヤ!」と拒否するときは

楽しいことをして気持ちを切り替えるタイミングをつくる

着替えであれば、いきなり服が置いてある場所に行くのではなく、「この絵本を読んだら着替えよう」と、その前に何かひとつ楽しいことをしてみましょう。子ども自身も「やらなければいけない」とわかっているのに、気持ちを切り替えるきっかけがつかめないというケースがほとんどなので、ワンクッション置いて、自分で「やろう!」と決めるのを待つようにするとスムーズに取り組めることが多いです。

《ケース2》「やりたい!」「ほしい!」と言い出したら聞かないときは

「ここまでね」のルールを目に見える形で示す

「○時まで」「ひとつだけ」など、時間や量にかかわるルールは、言葉だけでなく目で見てわかるように示しましょう。一緒に時計を見ながら「長い針がここに来たら帰るよ」と伝えると、小さな子どもでも理解できます。自我が芽生えるイヤイヤ期は、何をして遊ぶかといったことを決める主導権は子どもに与えながらも、「ここまでね」というルールは前もって明確に示しておくとよいでしょう。

 

《ケース3》まだひとりではできないことを自分でやりたがるときは

本人にやらせてみて最後だけ「お手伝い」を

この時期の子どもは「自分のことは自分でやりたい」という気持ちが強いので、大人が手を出してしまい、ぐずり出した後でなだめる時間を考えると、ある程度までは本人にやらせてみたほうが結果的には早いかもしれません。「ほとんどひとりでできたね。最後に少しだけ、お手伝いしてもいい?」といった声かけをしながら、最後の仕上げをおうちの方がやるようにすると、子どものプライドを尊重できます。

《ケース4》乗りものや飲食店など公共の場で静かにできないときは

騒がずに集中できるおもちゃや絵本を用意して

長時間おとなしくしていることは、この年代の子どもには難しいので、静かにしなければならない場所への外出はなるべく控えましょう。やむを得ない場合には、できるだけ短い時間で済むように心がけ、子どもが騒がずに集中して楽しめるような絵本や音の出ないおもちゃなどをいくつか持参して。それでも子どもがぐずり出してしまったときは、叱るのではなく、一旦、外へ出るなどして気分転換を。

 

 

教えて大豆生田先生! 1歳2歳3歳ママたちのリアルQ & A「こんなときどう対応する?」

 

Q:思い通りにならないとお友だちをたたいてしまいます。

叱らず、まずは子供の気持ちを受け止めて

「本当はこうしたかったんだよね」と子どもの気持ちを受け止めたあとで、「たたくのはやめようね」と伝えられるといいですね。相手のお子さんや親御さんには「ごめんなさい」の一言を伝える配慮も必要ですが、周囲の目を気にするあまり「ダメでしょ!」と厳しく叱るだけだと、子どもには「自分の気持ちを大事にしてもらえなかった」という思いが残ります。この思いが積み重なると、イヤイヤがひどくなるので注意しましょう。

Q:下の子が生まれてからイヤイヤがひどくなりました。

上の子だけと過ごす時間をつくろう

「下の子にママを取られてしまう」という危機感から、ママの気を引こうとしているのかもしれません。こんなときは、下の子をパパや一時保育などに預け、上の子とふたりだけで過ごしてみましょう。いろいろと我慢を強いられる上の子のために、「今はママに甘えていいんだよ」という時間をつくることが大切です。

Q:理由がわからないイヤイヤが続いて困っています。

とにかく、子どもに声をかけながら待って

子ども自身もなぜイヤイヤをしているのかがわからなくなることも多いので、理由を見極めようとするよりも、気持ちがおさまるのを待つしかありません。子どもは「自分の気持ちをわかってもらえた」と感じると気持ちを切り替えやすくなるので、「イヤなんだね」と子どもの気持ちを代弁するつもりで声かけを。

Q:子どもの言い分を聞くと甘やかしてしまいそうで心配です。

子どもの意見を聞いたうえで、逆提案を

イヤイヤはわがままではなく、自分の思いを伝えようとしているにすぎません。子どもは自分の言い分を聞いてもらえると、おうちの方への信頼を深めるので、わがままを言うことは少なくなります。子どもの意見はよく聞きつつ、必要に応じて「今日はこうしようね」と、おうちの方から提案してみましょう。

Q:イライラすると思わず手が出てしまうことがあります。

イラッとしたときのための切り替え方法を探して

子どもを預けてリフレッシュする時間をつくるとともに、手が出そうになったら「トイレに入る」「ヘッドホンで音楽を聴く」など、自分なりに気持ちを切り替える行動を決めておくとよいでしょう。怒りは「イラッ」ときてから6秒間がピークだといわれているので、目をつぶって6まで数えるのもおすすめです。

Q:強く叱りすぎてしまったときはどうすればいいですか?

あとで「ごめんね」と謝り、ギュッと抱きしめて

「あなたなんかウチの子じゃない」といった子どもの心を傷つける叱り方だけは避けてほしいのですが、叱りすぎてしまうのはよくあることなので、あまり落ち込まないで。ただし、気持ちが落ち着いたら「さっきは言い過ぎてごめんね。ママは○○ちゃんが大好きだからね」と謝り、ギュッと抱きしめてください。

 

大豆生田先生からのメッセージ「親だって、自分のことをほめて」

イライラするのはがんばっている証拠。
子育てしている自分をほめましょう!

子育ては思い通りにはいかないもの。イライラするのは、あなたがそれだけ子どもに一生懸命かかわっているという証拠です。イヤイヤは子どもが成長するために必要なステップなので、「こんなに泣かれてばかりの私はダメな親なんだ」と自分を責める必要はまったくありません。むしろ、「私、よくがんばってる!」と自分で自分のことをほめてあげられるといいですね。

イヤイヤに辛抱強く寄り添い続けるのは簡単なことではありません。でも、親子で試行錯誤をする中で、子どもが気持ちをうまく切り替えられるようになれば、嵐は必ず過ぎ去ります。おうちの方はがんばりすぎずに、じょうずに息抜きをしながら、この時期を乗り切っていきましょう。

 

お話を伺ったのは…

                  教えてくれたのは
大豆生田啓友 先生

玉川大学大学院教授。乳幼児期の教育・保育・子育て支援を専門とし、幼稚園教諭を務めた経験も持つ。2男1女の父でもある。

 

イラスト/オブチミホ 構成/童夢 再構成/HugKum編集部
出典:『ベビーブック』2017年2月号

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