ママに人気の管理栄養士に聞いた! 子どもの脳を育てるごはん2 もっと気軽に魚を取り入れよう!

前回の記事で、管理栄養士の小山浩子先生に、脳を育てる食事の基本について教えていただきました。

第二回は脳の成長のカギとなる、DHA&タンパク質のお話。先生のオススメは、魚由来の食品をもっと食卓に取り入れること。具体的なやり方やレシピも含めて、お話を伺いました。

脳がよろこぶのは、良質な脂肪とタンパク質

「脳みそが詰まっている」という表現がありますね。
脳には、「ニューロン」と呼ばれる神経細胞が、樹木のツルを伸ばすように絡み合いながら広がって神経細胞同士がつながって回路をつくります。
視覚や聴覚を通して、外から入ってきた情報が、この回路を駆け巡って思考や記憶を形成しています。さながら、巨大な情報ネットワークが脳内にあるといったところでしょうか。ツルがたくさん伸びていて密につまっている状態が、まさに「脳みそが詰まっている」=「かしこい子」ということです。
また、「頭が固い」とか「やわらかい」とも言いますが、これも単なる比喩ではありません。柔軟な発想ができて、情報伝達の早い脳は、やわらかい神経細胞でできています。

神経細胞がやわらかいと、脳内情報がスムーズに駆け巡ることができるのです。

脳の神経細胞を良い状態で増やし、回路を発達させるのに必要な栄養は、ズバリ、良質な脂質であるDHAです。そう、DHAは、鰯やサバなどの魚介に含まれることをご存じの方は多いでしょう。食事から取った油次第で、脳の神経細胞はやわらかくも、固くもなります。
そして、魚は、肉と同じく、良質なタンパク質資源としてもとても優秀な食材です。脳の約60%は脂肪で、そして残り40%は主にタンパク質で構成されていますので、魚は両方の重要な栄養素を兼ね備えた優秀な「育脳食材」。ご家庭でも魚をもっとたくさん食べていただきたいのですが、お魚は調理が面倒だし、苦手というママは多いですよね。

缶詰・加工品でお手軽お魚料理を

手軽に魚料理をお子さんに食べさせたいなら、おすすめは、缶詰や加工品です。

生の魚にこだわる必要はありません。ツナ缶、オイルサーディン、さば缶、さんまの蒲焼き、魚肉ソーセージやちくわ、カニ風味かまぼこなど、缶詰や加工品からもタンパク質やDHAは十分摂れるのです。

ただし、DHAは油に流出しやすいという性質がありますので、ツナやオイルサーディンなどの缶詰を使う場合は、缶の汁も利用する調理法がおすすめです。

かまぼこや魚肉ソーセージなどの加工品は添加物が気になるところ。できるだけ添加物の少ないものを選ぶように心がけてください。

例えば、さば缶はカレー味ととても相性がいいのでカレーに加えてもいいですし、ホットドックに、ウィンナーソーセージの代わりに魚肉ソーセージを挟んだり、お手軽な工夫はいろいろできますよ。味付けかつお缶とツナ缶を汁ごと使った、超カンタンなレシピをご紹介しますね。ツナ缶を使ったごはんは、噛みごたえのある大豆を合わせて、脳を発達させるのに大切な「よく噛んで食べる」ことも促します。

かつお缶の簡単丼

かつおの缶詰と温泉卵を
準備しておけば、
朝はごはんにのせるだけ!

〈 材料 〉4人分
胚芽米…2合
味つけかつお(缶詰)…2缶
温泉卵(市販品)…4個
白ごま…適量

〈 作り方 〉
炊いておいた胚芽ごはんを器に盛り、かつおと温泉卵をのせてごまをふる。

【育脳point】
DHAたっぷりのかつおにレシチン豊富な卵という、育脳スーパースター同士のカップル。かぼちゃに含まれるビタミンEがかつおのDHAを酸化から守ってくれます。かぼちゃサラダは多めに作っておくとよいでしょう!

ツナ豆ごはん

ちょっと嚙みごたえのある豆を使用。
脳を発達させるのに大切な
「咀嚼」の要素を取り入れて

〈 材料 〉4人分
胚芽米…2合
ツナ(缶詰)…1缶(165g)
炒り大豆…50g

〈 作り方 〉
胚芽米にツナ缶の油と水を合わせて2合の目盛りまで注ぎ、上にツナと大豆をのせて炊く。
※好みで、炊くときにめんつゆ(3倍濃縮)を小さじ2加えて味を調整する。

【育脳point】
DHAたっぷりのツナ缶はぜひ常備しておきたい食材。漬け油にもDHAが豊富に含まれているので、油も一緒に加えてごはんを炊きます。おぼろ昆布に含まれるマグネシウムにも脳を活性化する働きがあります。

記事監修

小山浩子|管理栄養士

大手食品メーカーを経て2003年にフリーに。料理教室の講師やメニュー開発、特に育脳レシピを数多く手がける。2014年『目からウロコのおいしい減塩「乳和食」』(主婦の友社)で、グルマン世界料理大賞を受賞。著書に『子どもの脳は「朝ごはん」で決まる!』『かしこい子どもに育つ! 育脳離乳食』(小学館)など多数。最新著書は『やる気と集中力を養う3~6歳ごはん』(池田書店)。公式ホームページ

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撮影(子ども)/繁延あづさ 文/DAKKO編集部

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