【脳科学者監修】気になる「知育」「育脳」って?喜びが脳を発達させる最新の考え方

脳の活動を画像で見る技術が進歩して、育児にも新しい見方が加わっています。そこで脳神経外科医であり、国際的な脳科学の権威である大井静雄先生をお訪ねしたところ、「喜び」が脳を発達させるというシンプルで重大な原則をうかがうことができました。パパ・ママ必見です!

「知育」ってなにを意識したらいいの?

3歳ごろまでは脳の回路が急速に作られる大事な時期!

赤ちゃんの脳は生後半年で2倍の重さになり、3歳ごろには大人の80%までに成長します。この間、脳の中では140億個といわれる神経細胞をつなぐ回路(ネットワーク)が急速に形成されます。誕生からほぼ3年で身の回りのことがある程度できるようになるのは、脳の神経回路が形成され、運動神経がほぼ完成するからなのです。脳も体も、急激に発達する0~3歳。急成長の時期だからこそ、パパやママの対応で、脳発達の土台をより強くすることができます。その秘訣は、子どもの笑顔や快いという感性を引き出すこと。

脳細胞の仕組みを理解しよう

《神経回路の発達イメージ》

140億個ある神経細胞も、単独では脳を働かせることができません。五感で受け取った刺激や情報を、細胞から細胞へシナプスというチャンネルでつないで伝えることが必要です。細胞同士をつなぐ複雑なネットワークによって、脳は機能するのです。この仕組みを電車に例えてみましょう。シナプスの線路を刺激や情報をのせた電車が走り、脳細胞の駅に届けます。回路は3歳ごろまで急速に大量に建設されますが、その後使わない回路は整理され、どんどん減少します。

回路が開通したばかりのころは、簡易な線路をトロッコが走るようなもの。

よく使われる回路は、整備された線路を電車が行くようにスムーズに伝わる。

発達して成熟した回路は超特急。情報が瞬時に適切な駅(脳の分野)とやりとりされる。

 

では脳にいい「知育」ってどんなこと?

うれしい・楽しい・快い・おもしろい…
プラスの感性が育脳の最重要ポイント!

 

脳内の情報伝達の仕組みは機械的に働くような気がしますが、それは大きな間違い。脳は感性や感情の影響を大きく受けます。うれしい・快いなどプラスの感性が働くと、情報が運動系にスムーズに伝わり、回路づくりが強化されます。「運動系に伝わる」とは、口や手や足を動かすなど具体的な行動になること。

子どもの笑顔や快いという感性を引き出すことが、知育、育脳になる

例えば子どもが声を出したときに、親が喜んで応答すれば、うれしいというプラスの感性が働き、声を出す(運動系)回路も育ちます。手指や全身を使う活動でも同じことが言えます。

不快な感性は運動機能にもマイナス!

不快なマイナスの感性が働いた場合は、運動系への伝達が弱くなるので要注意。緊張や恐怖で体が動かないことがあるのも、マイナスの感性によって運動系への伝達が滞っているからです。

安全な環境でいろいろな遊びをしよう!

遊びは制止せず、とことん集中させよう

子どもが興味のあるものを見つけて遊ぼうとしたときに怒られたら、悲しみや失望といったマイナスの感性が働いてしまいます。もちろん危険なことは制止し、言い聞かせなければなりませんが、そもそも安全な遊び場を確保すれば、制止する必要がありません。

経験する遊びの種類も、できるだけ広げてあげましょう。サッカーの才能をもっていても、年齢に合ったボール遊びができる物理的な環境や、おもしろさを伝える人がいなければ、才能は開かずに終わるでしょう。子どもはパパやママに与えられた環境の中で成長するもの。どんな素質があるかわかりませんから、パパやママからもいろいろな遊びに誘ってあげましょう。

 

わが子をよーく観察すると、好きな遊びから「得意」な分野がわかるかも!

きらりと光る個性を見つけ、磨き上げて

人は驚くほど多様な好みや個性をもっています。それを磨き上げれば、特技になる可能性も十分。特技をもてば、自信をもつことができます。1~2歳でも個性は現れます。何度も繰り返しやりたがること、目が輝いていることを見つけて応援してあげて。親に寄り添ってもらい、やがて目標をもってチャレンジするようになると、脳全体が活性化されます。

 

《知育・育脳になる遊びのヒント》

好きなキャラクターを活用する

子どもに遊びのおもしろさを伝えようと、肩に力が入ると親も子も硬くなってしまいます。そんなときに強力な味方になるのが子どもが好きなキャラクター。アンパンマンのお絵かきや歌、トーマスと電車ごっこ、シール遊びなど、気楽に始められます。

親の趣味に巻き込む

野球大好きの大井先生は、お子さんに子ども用のバットを与え、新聞紙をまるめたボールで野球ごっこを楽しんだそう。その遊び経験はお子さんの特技になり、進路にも間接的にかかわったとか。子どもに合わせて、道具などを工夫するのがポイントです。

子どもの好みを尊敬する

固定観念にとらわれる大人と違って、子どもの発想は自由そのものです。シールの貼り方、積み木遊びほかどんな遊びでも、発想に敬意をはらいましょう。親の好みは「パパはこうしよう」というふうにコミュニケーションしながら出していけばOK。

 

自分の子の個性が分かる!大井式評価スケール

うちの子は芸術系?自然科学系?将来が分かるかも

好きな遊びをプラスの感性で深めていくと、それに関わる神経回路が発達・成熟しやすくなります。つまり、子どもの好きな遊びから、その子の将来の特技や職業的適性がわかるのではないかと、大井先生は独自の評価スケール「Oi-SKiPA(大井スキッパー)」を開発しました。遊びを5つの系統に分類したスケールをチェックして、将来の可能性をのぞいてみましょう!

①〜④ 芸術系(俳優、カメラマン、デザイナーなど)
⑤〜⑧ 自然科学系(エンジニア、料理家、医薬研究など)
⑨〜⑫ 人文科学系(新聞記者、銀行員、TVディレクターなど)
⑬〜⑯ 人間科学系(医師、看護師、教師など)
⑰〜⑳ スポーツ系(運動選手、トレーナー、運動用具開発など)

子どもが好きな項目や得意な項目を最高10、最低1として印をつけます。また、必ずひとつ以上10点をつけます。印をつないでできた形を見て、面積が多い系統が現在の傾向です。系統内で得点にばらつきがあっても10点を取る項目も注目株です。好みは変化するものもあるので、ひとつの目安として楽しんでみて。系統内の職業はごく一部を紹介していますが、実際は多種多様にあります。もちろんお子さんだけでなく、家族みんなでそれぞれの子ども時代を思い出してやってみるのも楽しいですよ。

大井静雄:〝発達脳経年成熟因子“の概念の提唱と「幼児の〝個性“と〝適性“評価スケール」(Scale for Kid’s Personality&Aptitude[Oi-SKiPA])の開発。サピエンチア聖トマス大学論叢 第48号:49-62、2014年(平成26年)2月発行

『ベビーブック』読者1000人に「知育」アンケート

今、お子さんが好きな遊びは!?

1位 公園の遊具(滑り台など)
2位 砂場遊び
3位 乗り物おもちゃ(ミニカーなど)
4位 歌
5位 ボール遊び
5位 ブロック・積み木遊び

※1〜3歳のベビブっ子の年齢別集計では、お店屋さんごっこが2歳で4位、3歳で3位に登場しています。

 

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