2歳、3歳の子供の叱り方は?保育士・井桁容子先生に聞いた

Q:2歳の子供が言うことを聞いてくれず、いけないと思いながらも怒ってばかり・・・。正しい叱り方はありますか?

●感情をぶつけ、怒るのはダメな「叱り方」です

「怒る」のではなく「叱る」を心がけて

「叱る」と「怒る」は違います。「叱る」は相手のため、「怒る」は自分の感情をぶつけるための行為です。世間体や親にとって都合が悪いから、などの理由で子どもを「怒って」も、親の思いを上手に伝えることはできません。

●叱る前に子どもの 気持ちを考えて

「なぜしたのか」「どんな気持ちでしたのか」

子どもが何かをしたとき、その結果だけを見て叱るのは避けたいもの。叱る前に、「なぜしたのか」「どんな気持ちでしたのか」を、子どもの気持ちになって考えてみましょう。

たとえば、友だちのおもちゃをとって泣かせてしまったとします。「意地悪しちゃダメ!」と叱りたくなりますが、ちょっと待って。子どもは相手の気をひきたかったのかもしれないし、単にそのおもちゃに興味があっただけかもしれません。悪いことをしたつもりはないのに叱られると、子どもは傷つき、自信をなくします。

共感の言葉をかけて次につなげよう

こんなときは叱るより、次に同じようなことが起こったときに役立つ言葉や考え方を伝えることのほうが大切。「○○ちゃん、おもちゃを急にとられたから驚いちゃったよ。ごめんね、って言おうか」「同じのがよかったら、一緒に探しにいこうか」など、相手の気持ちや、「どうすればよかったか」を具体的に話してみましょう。

子供自信に気づかせる力を

ただし、いけないと知っていながらしたときは叱る必要があります。その場合は「危ないからさわっちゃダメなんだよね」などと「いけない理由」も思い出させ、危険だからダメ、と子ども自身に気づかせることが大切。「叱られるからやめる」のは、「叱られなければやる」ということ。自分で判断する力を育てることにはならないからです。

●3歳頃までのかかわり方で 聞き分けのよい子に

幼児期の自分の思いへの共感が、将来につながります

「親の都合で怒らないことが大切」とわかってはいても、完全に実行するのはなかなか難しいもの。子どもに悪気がなくても人に迷惑をかけることもあれば、親の気持ちに余裕がなく、感情的になりそうなこともあるでしょう。でも、大丈夫。「必要以上に叱らない」という親のガマン(笑)が求められる時期は、それほど長くありません。幼児期、自分の思いに共感的に接してもらえた子どもは、学力や語彙、がまんする力などがよく育つ、という研究結果も出ています。子どもは、経験を通して日々成長しているものなのです。子どもが人の言うことを聞き分け、自分を律することができるようになる「臨界期(その能力を身につけるのに最適な時期)」は、3歳頃と考えられています。

2歳、3歳の子供は特に、「叱る」より受け止め、信頼の積み立てを

ですからこの時期は特に、親は根気よく子どもの思いを受け止める努力をしてみてください。親はいつも自分の気持ちをわかってくれた、困ったときには助けてくれた、という「信頼の積立」を日々ためていくと、大事なときに人の話を聞き、自分の気持ちを調整する力もついてきます。そして、親から「ダメ」と言われたときに納得して受け入れることもできるようになります。つまり、言葉を理解し始めた頃から2、3歳まで子どもの気持ちにしっかり寄り添うことができれば、それ以降は「叱りたくなる」ことが減っていくのです。もちろん、臨界期を過ぎていても、「信頼の積立」づくりは可能。まずは叱る前に、子どもが「どんなつもり」だったのかを考えることから始めてみましょう。

 

 

井桁容子先生

お話:井桁容子先生

東京家政大学ナースリールーム
主任保育士 東京家政大学短期大学部保育科を卒業後、東京家政大学ナースリールームに勤務。東京家政大学・同短期大学部非常勤講師。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。

イラスト/小泉直子 再構成/HugKum編集部
出典:『めばえ』2017年12月号

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