イヤイヤ期はいつから?早い子、ない子、原因、叱り方まで幼児教育のプロが解説

ママたちを悩ませる“イヤイヤ期”。成長の段階だと分かってはいるものの、実際にその時期を迎えてみると、途方に暮れる人も多いのでは。そこでおすすめなのが、 子どもの力を引き出す「キッズコーチング」の手法です。 声かけを少し工夫するだけで、子どもの考える力を伸ばし、 おうちの方のストレスも減らせます。日本キッズコーチングで理事をつとめる竹内エリカ先生にお話を伺いました!

いつから始まるの? 赤ちゃんのイヤイヤ期

おおよそ、2歳半ばから始まる、イヤイヤ期。この時期は感情のコントロール方法を学ぶので、おうちの方が無理な要求まで聞き入れていると、子どもは「泣けば言うことを聞いてもらえる」と学習してしまいます。大切なのは、「イヤなのね」と感情は受け止めながらも、行動はゆずらないこと。「やりたくない!」という主張は受け流し、別のことに気をそらしたり、タイミングを変えて再び声をかけたりして乗り切りましょう。

 

 

イヤイヤ期といっても、期間には個人差が。早い子なら1歳から

1歳 実験期 「できたね」で どんどん挑戦させる 好奇心が育つ時期なので、なるべく「ダメ」と言わずに挑戦させることが大切です。積み木を投げたような場合でも、まずは「投げられたね」とできたことを認めてから、「次はボールを投げようね」と望ましい行動を伝え、やる気を育てましょう。

2歳 秩序期 「そうなのね」で イライラを受け止める 知能が発達して自己主張が強くなりますが、体や言葉の発達は未熟なので「やりたいのにできない」ことにイライラする時期。子どもの言葉をくり返し、「そうなのね」と受け止めましょう。抱きしめたり、体に触れたりするのも効果的です。

イヤイヤ期が3歳まで続く子も。「いつまで?」とうんざりせず、対応を少し変えて

3歳 自立期 「どうしたらいい?」と 考えさせながら手助けする 「自分でやりたい」という自立心が芽生えつつも、うまくできないことも多い時期です。すぐにやり方を教えるのではなく、複数の解決策を提案して子どもに選ばせたり、「どうしたらいい?」と尋ねて考えさせたりしながら、こっそり手助けを。

これってイヤイヤ期? 程度には個人差が。ない子もいればひどい子も!

歯みがきを嫌がる

毎日決まったことをやるのを嫌がる場合も多いので、歯ブラシを何種類か用意して毎日替える、水ではなくぬるま湯でうがいをするなど、新しい要素を加えてみましょう。タッチングをして「やりたくないのね」と気持ちを受け入れたうえで、「今日は新しい歯ブラシにしようか?」などと働きかけると気が紛れることも。

同じ服ばかり 着たがる

こだわりが強い時期には、危険なことと人に迷惑をかけることを除けば、子どもの好きなようにさせておいてかまいません。「その服が好きなのね」と、こだわりを尊重してあげましょう。実際には、おうちの方が決めた服を着なければならないことを嫌がっているだけで、自分で選べるならどの服でもいいという場合もあります。

時間になっても 帰ろうとしない

数をまだ理解できない年齢の子どもには、「〇時まで」と言葉で言うのではなく、「時計の長い針がここに来たら帰ろうね」と目で見てわかる形で伝えましょう。約束の時間が近づいたら、「そろそろ時間だよ。すべり台、最後はどうやってすべる?」と、“最後の1回”を盛り上げてあげると気持ちを切り替えやすくなります。

公共の場で 静かにできない

イヤイヤ期は集中力が発達する時期でもあるので、公共の場で静かにしていてほしいときは、ミニサイズの図鑑、クイズ要素のある絵本、塗り絵など、知能を刺激するものを用意していくのがおすすめです。指回しなどの手遊びもいいですね。ミニカーなど、それを使って遊びたくなるおもちゃを与えるのは逆効果なので注意して。

友だちのものを取る

所有欲があるのは健全なこと。「ダメでしょ!」と頭ごなしに叱ると、子どもには「使いたかったのに」というモヤモヤした気持ちが残ってしまいます。「使いたかったのね」と気持ちを受け止めてから、「これがあなたのものだから、こっちを使おうね」というように、どうすればよいかを具体的に提案してあげましょう。

まだできないことを 自分でやりたがる

自分でやりたがるのは、そろそろイヤイヤ期を卒業して自立の時期に入るというサイン。成長の証なので、「そのやり方ではダメ」と否定せずに見守りましょう。うまくできずにイライラしているときは、「ママのまねをしてみる?」「一緒にやる?」などと声をかけ、こっそり手伝うようにすると本人のプライドを尊重できます。

下の子が生まれてからイヤイヤがひどくなった

10分でもよいので上の子と二人きりで過ごし、スキンシップを心がけて。一緒にお風呂に入ったり、寝るときに体をさすったりするだけでも、子どもは安心できます。下の子が泣いたときは、上の子に「手伝ってもらえる?」とお願いして一緒にお世話をすると、「赤ちゃんにママを取られてしまう」という不安が和らぐはずです。

いざ、イヤイヤ期を迎えたら、どんなふうに乗り切ればいい?

1歳は何でも試してみたくなる「実験期」、2歳は自分なりのこだわりが出てくる「秩序期」、3歳は自分のことを少しずつ自分でやれるようになる「自立期」というように、子どもには年齢ごとに発育の段階があり、どのような働きかけが効果的かはそれぞれの段階ごとに異なります。下に挙げたポイントを参考に、年齢ごとの発育を知り、それに応じた声かけやサポ ートをするのが効果的です。

いますぐTRY! イヤイヤ期に有効な「リピート・クエスチョン・リクエスト」

子どもは「自分の思い通りにならない」からではなく、 「自分の気持ちを理解してもらえない」ことがイヤで感情的になってしまうことも多いもの。まず「イヤなのね」と気持ちを受け止め、子どもの思いに耳を傾けることが大切です。

イヤイヤ期には「リピート・クエスチョン・リクエスト」の手法が役立ちます!  まずは子どもが言った言葉をリピートして感情を受け止めます。そして、3歳を過ぎているなら「どうしたいの?」と質問(クエスチョン)を投げかけ、子ども自身に考えさせます。2歳までや、自分ではどうしたいかがわからない場合には、おうちの方がなるべく多くの選択肢を提案して、「どれにする?」と子どもに選ばせましょう。(リクエスト)このステップを踏むことで、自分で考えて物事に対応する力を育てることができます。

では実際の3ステップを詳しく見ていきましょう。

 

ステップ1  子どもの行動を実況中継して 何が起きているのかを自覚させる

子どもは、自分がどのような状況に置かれているのか、何にイライラしているのかをよくわかっていないこともあります。「一人ではボタンをとめられなくてイライラしたのね」などと、子どもの様子を実況中継するつもりでそのまま言葉にして、「何が起きているのか(何ができないのか)」という行動と感情を結びつけましょう。

ステップ2 子どもの気持ちを言葉にして リピートする

気持ちを受け止めていることが伝わるように、子どもが「イヤ!」「あれがいい!」と言ったときは、「イヤなのね」「あれがいいのね」と言った言葉をリピートします。感情をうまく言葉にできずにいる場合は「自分でできなくて悔しいのね」「欲しいものがここにはなくて悲しいのね」と、子どもの気持ちを想像して言葉にしましょう。

ステップ3 いくつかの解決策を提案して、 子ども自身に選ばせる(クエスチョン&リクエスト)

うまくできずにイライラしているなら「手伝おうか?」「やり方を教えようか?」「ママが代わりにやろうか?」、「暑い!」と言われたら「窓を開ける?」「うちわであおぐ?」「服を1枚脱ぐ?」というように、いくつかの解決策を提案して子どもに選ばせます。「自分でやる!」と主張する場合は見守り、最後にこっそり手助けを。

 

イヤイヤ期を乗り切るには、モヤモヤの 解消方法を教えましょう

「イヤ!」と自己主張できるのは健全に育っている証拠なので、 この時期にイヤイヤをやめさせることはできません。気持ちを 発散できる方法をたくさん提案しながら、乗り切っていきましょう。

気持ちを外に出させて あげることが大切です

子どもがイヤイヤをするのは、ネガティブな気持ちを発散する方法をほかに知らないから。感情を外に出せるのは大切なことなので、左のような方法も提案しながら、モヤモヤした気持ちを発散する方法のバリエーションを増やしていきましょう。ここで「泣くのはやめなさい!」と気持ちをおさえこんでしまうと、4歳以降に乱暴な行動で自分の主張を通そうとしたり、思春期に問題行動に及んだりするおそれも。2歳の時期に安心して感情を出せるようにしてあげると、子どもは自立へのステップを順調に歩むことができ、その後の子育てがラクになります。

モヤモヤを発散する方法

  • 体を動かす

公園で思い切り走り回る、布団の上でお馬さんごっこをするなど、体を動かすと心もスッキリ。トランポリンなど、全身の動きをコントロールする力を伸ばす運動もおすすめです。

  • 指回しをする

手の親指をつまんで「1、2、3~」と数えながら10回まわし、10まで数えたら「次は人差し指ね」と次の指へ。指の動きに意識を集中することで、気持ちを切り替えやすくなります。

  • 気持ちを伝える言葉を教える
  • 気がすむまで泣かせる
  • 迷惑にならないところで大声を出す
  • たたいても安全なものをたたく
  • 新聞紙を破る
  • 歌う、踊る
  • 絵をかく etc.

それでも叱りたくなったら… イヤイヤ期の叱り方はこの3つを心がけて

おうちの方だって人間なので、時には感情的に叱ってしまうのも仕方ないこと。そんなときも次の三つを心がければ、 子どもを傷つけずに、言いたいことが伝わりやすくなるはずです。

目をそらして叱る

叱るときは口調も言葉もきつくなりがちなので、まっすぐ目を見ると、子どもには「怖い」という印象だけが強く残ってしまいます。愛情を伝える言葉は目を見て伝えてほしいのですが、叱るときは目をそらして言うくらいで十分です。さらに、「ママは困るわ」とおうちの方を主語にして気持ちを伝えると、子どもを責めずにすみます。

最初に言ったことをくり返す

最初は「静かにしなさい」だったのに、気がつくと「この間だって~」と過去のことを持ち出したり、「わがままな子ね!」と人格を否定するようなことを言ってしまったりと、叱るときの言葉はエスカレートしがち。「今どうしてほしいのか」をシンプルに伝える“最初に言った言葉”だけをくり返すと言い過ぎを防げます。

注意するのは 3回まで

子どもは、1回目は「声がする」と感じる程度で、2回目に「ママが何か言っている」と気づき、3回目で何を言われているかをようやく理解します。ポイントは、声を大きくしながら3回だけ注意すること。4回以上注意しても効果は変わらないので、お風呂や寝る前など落ち着いているタイミングで改めて伝えてみましょう。

 

お話をうかがったのは


竹内エリカ先生
幼児教育者。日本キッズコーチング協会理事長。20年にわたり、子どもの心理などを研究。『男の子の一生を決める 0歳から6歳までの育て方』(中経出版)など著書多数。2児の母。

 

イラスト/伊藤美樹 構成/童夢 再構成/HugKum編集部
出典:『ベビーブック』2017年10月号

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