子供のアトピー、食べ物との関係は?食べてはいけないもの、薬など、小児科医が解説

子供がアトピーと疑われる場合、食べてはいけない食べ物は?

生後4ヶ月です。生まれて間もなくから顔に湿疹が出てきていて、だんだんひどくなってきました。

乳児湿疹のある赤ちゃんは、卵、乳、小麦の離乳食は慎重におこないましょう。

乳児湿疹のある赤ちゃんは明らかに何らかのアレルギー体質を持っていますが、それが何かをすぐに検査することはできません。しかし、その湿疹がアトピー性皮膚炎へと発展していく可能性が大きいので、まず離乳はゆっくりにしましょう。

4大アレルギー源(大豆、小麦、乳、卵)は、順番を守って

四大アレルギー源(①大豆②小麦③乳④卵)は①→②→③→④の順に始めていきますが、小さじ1杯(できれば耳かき1杯)からアレルギー反応がないかを確かめながら、少量ずつ増やしていきます。大豆はほぼ大丈夫なことが多いのですが、②、③、④に関しては慎重におこなう必要があります。

子供の食物アレルギーはどんな検査をする?

食物アレルギーがあるかどうかは摂取した時の症状(即時反応)が重要ですが、確定するには血液検査が有効です。しかし血液は食物に感作された後でないと陽性反応が出ませんので、離乳開始前に血液検査をしても陰性になることがほとんどです。また血液検査には一定量の血液が必要(1項目0・5㏄位と考えておきましょう)ですから1回の採血で2㏄以上は採血することになります。生後3~5ヶ月児ですと、血管採血は負担になりますし、5~10㎏の乳児から2㏄の採血はたくさん血を採る状況になると考えて下さい。私のクリニックでは生後8ヶ月~1歳頃まで、採血はなるべくしないようにと話しています。

アトピー性皮膚炎は、ステロイドの塗り薬で対応

また、食物アレルギーによるアトピー性皮膚炎の場合は、食物アレルゲンへの耐性獲得とともに湿疹も軽減していきます。それまでの間も、軽いものはステロイド軟膏を塗ると消失します。2~3日するとまた湿疹が出てくるとのことで、ずっと塗り続けなくてはならないのが心配との声を親御さん方から聞きますが、それは程度の問題だと考えて下さい。ステロイド軟膏を塗ってもあまり改善しないとかジクジク感がひどいという場合は、食物アレルギーの除去の仕方がうまくいっていないか、軟膏の強さや種類、量が適正でないことが考えられます。

食物アレルギーの治療は除去療法と経口減感作療法

食物アレルギーには、除去療法と経口減感作療法があります。適切な時期に除去療法から減感作療法に切り替えていかないと、いつまでも食事の制限が必要になってしまい、突然一定量を経口摂取した時にアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。 食事療法の基本は、正しい原因アレルゲン診断に基づく必要最小限の食品除去です。経口減感作療法を指導できるアレルギー科がある医療機関で専門医の指導を受けましょう。

※感作 アレルギーを起こすもとの抗原(アレルゲン)に対してIgE抗体を作り、アレルギー反応を起こす待機状態になること。
※アレルゲン アレルギーの原因となる抗原物質
※除去療法 アレルギーの原因となる食物を除去した食事を与えてアレルギー反応を起こさないようにする治療法のこと。 ※経口減感作療法 原因食物を定期的に少しずつ食べていくことで、食べてもアレルギー反応が起きない状態にしていく治療法。

生後8ヶ月です。 まだ卵は食べさせていません。 生卵を触った手を 口に入れて発疹が出ました。

卵アレルギーの可能性があります。 ゆで卵が丸々1個食べられるようになって、 血液検査で確認するまでは生卵は除去しましょう。

卵アレルギーのなかで、生卵は最もアレルゲンの強いものです。卵の減感作療法をおこなう時には、加熱により抗原性が低下するため、必ずゆで卵で減感作をおこなっていきます。ゆで卵が丸々1個食べられるようになった後に、生卵の減感作療法を卵かけごはんでおこないます。卵のアレルゲン検査は卵黄、卵白、オボムコイドの3つをセットでおこないます。オボムコイドによるアレルギーが弱くなれば、熱処理した卵にはアレルギー反応を起こさないと考えてよいです。

卵アレルギーは3歳~6歳頃に次のステップへ

ゆで卵での卵白減感作療法がほぼ完了すると、オボムコイドに対するアレルギー反応はかなり下がります。卵白に対するアレルギー反応も弱くなれば、生卵の減感作療法を開始してもよいと考えられますが、早くても3~6歳頃におこなうのが適切でしょう。あくまで個人差がありますので、主治医とよく相談しておこなうことが大切です。
※オボムコイド 卵アレルギーを起こす成分のひとつでアレルギーを起こす性質を熱で失わない耐熱性卵たんぱくのこと。

 

モモやキウイを食べると 口の中がイガイガしたり、 のどが息苦しくなったりします。 果物アレルギーでしょうか?

果物を食べてアレルギー症状を起こす病態の大部分は 口腔アレルギー症候群という、 花粉との交差抗原性からくるものです。

これは口腔アレルギー症候群と思われます。花粉の一部のたんぱく質(アレルゲン)が、ある種の果物や野菜の中のたんぱく質と類似している場合があり、これを交差抗原性といいます。  これは、ある種の花粉症を持つ人が交差抗原性を持つ野菜や果物を加熱せず生の状態で食べた時に、口の中がピリピリしたり耳の奥がかゆくなったりする症状を起こすものです。このアレルゲンは消化酵素に弱いため、胃で消化されてしまいますが、大量摂取したりすると強いアレルギー症状が出ることがあります。

その他よく注目される交差反応性について例を挙げますが、実際に除去が必要かどうかは、少量の食物経口負荷試験をしてみる必要があります。このなかで、よく話題になるのは、豆類同士の交差反応性、甲殻類同士の交差反応性、牛乳と山羊乳、穀類同士、果物同士、ラテックス(ゴム手袋など)と果物などです。

花粉との交差抗原性が報告されている果物・野菜などの組み合わせ

独立行政法人 環境再生保全機構HPより

※交差反応性 異なったアレルゲンの構造分子が似ていることによって、抗体が両者を識別できないため、両者に反応してアレルギーを起こすこと。

藤川 万規子
あゆみクリニック院長

 

本の中にはアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど、ママが気になるアレルギーへのお悩みがQ&A形式でたくさん掲載されています。ぜひ手にとってみてください。
出典:『即、役立つ 治療とケア 治せる!楽になる! 子どもアレルギー診察室』

 

 

イラスト/松永えりか 再構成/HugKum編集部 写真/繁延あづさ

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