子供の喘息、原因や治療法、薬は?発作の時はどうする?小児科医が解説

いつから診断される?子供の喘息

2歳未満なら「乳児喘息」

Q「生後6ヶ月の子どもが風邪をひいたときに、呼吸のゼーゼー音が聞こえます。喘息でしょうか?」

A「乳児喘息かもしれません。2歳未満の乳児喘息は、 アレルギー体質のあるお子さんが風邪から引き起こしますが、 必ずしも小児喘息になるわけではありません。」

喘息とは、気管支の内腔が狭くなり、咳が多くなったり、ゼーゼー、ヒューヒューと喘鳴を起こしたりして呼吸困難を生じる病気です。2歳未満の乳幼児の小児喘息を乳児喘息と呼びます。もともと気道が狭く、ちょっとした風邪で気道の炎症が起きるだけで喘鳴や軽度の呼吸困難が起きやすいので、特にアトピー素因を持っていると乳児喘息を起こしやすいのです。」

小児喘息の原因の大部分はアレルギー体質

2歳以降の小児喘息はダニ、カビ、ペットの毛、花粉などが関与

一方で、2歳以上になっても、喘鳴を起こす小児喘息は、大部分はアレルギー体質が原因で、ダニ、カビ、ペットの毛、花粉などが発生や悪化に関与しています。小児喘息は小学校卒業までにほぼ治るとされていますが、年齢が低いほどコントロールが難しいとされています。2歳未満の乳児喘息の場合もアレルギー体質を持っている可能性が高いので、今後もアレルギーの疾患が出てこないか気をつける必要があります。

 

子供が喘息と診断された場合の治療法は4つ

小児喘息の場合は、以下の4つの治療と対処法を総合的に組み入れることによって、予防、治療とコントロールができます。

小児喘息治療法① 薬の内服治療 

気管支拡張薬などを使用

風邪薬に加えて、気管支拡張薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬を使います。

小児喘息治療法② 吸入療法

頻度の高いお子さんは、自宅にも吸入器の購入を

気管支拡張薬(ベネトリン)メディエーター遊離抑制薬(インタール)吸入ステロイド薬(パルミコート)去痰薬(ムコダイン、ムコソルバン)0~4歳児は医療機関で超音波式の吸入器を使用しますが、夜間頻回の吸入が必要なお子さんは、自宅に1台購入をお勧めします(1台1万円前後)。旅行などにも持って行けるので、使用頻度の高いお子さんの場合は購入したほうがよいでしょう。4~6歳のお子さんにはエアゾール吸入剤があります。これはタイミングよく吸えないので、補助器を購入して使用します(2000~3000円)。6歳以上は粉吸入式の吸入薬が使用できます。いずれにしても、専門医の指導を受けて下さい。

③運動療法

体力と共に免疫機能を高めて

発作が起きていない時期に心身の活動を高める運動をすることによって体力とともに免疫機能が高まり発作をコントロールしやすくなります。水泳、体操、サッカー、野球など、どんな運動でもよいので、お子さんがやりたい運動をさせてみて下さい。発作や呼吸困難が起きている時は安静が必要ですが「喘息があるから運動はさせない」と考えるのは好ましくありません。

④原因アレルゲンの除去

空気清浄器などの導入を

小児喘息では、ハウスダストやダニ、カビ、ペットの毛、花粉の吸入がアレルギー反応を誘発します。部屋の掃除や空気清浄器の使用はアレルゲンの除去につながるので必要なことですが、それが全てではなく、あくまで、対処法のひとつにすぎません。

 

子供の喘息の検査や薬は?治療ステップを詳しく解説

Q「6歳の子どもが喘息と診断されました。どのような治療に取り組めばいいでしょうか?」

A「小児喘息の治療では、吸入薬、内服薬の他に 環境整備、体力鍛練が重要です。」

まずは血液検査で反応を

6歳で喘息と診断されたということは、アトピー素因があり、吸入アレルゲンに感作されているはずです。まずは、血液検査で何にどれくらい反応して喘息を起こしているのかを調べます。喘息のお子さんは、ハウスダストやダニに反応していることが多く、その他、犬や猫などの動物の毛、カビ、花粉などに反応があります。  

呼吸機能検査をすることもありますが、子どもでは上手にできないことも多いのであまりおこないません。  

子供の喘息治療の4ステップとは

吸入ステロイド薬が基本治療

喘息の治療は、4つのステップに分かれていますが、どのステップでも抗炎症作用の強い吸入ステロイド薬が基本治療となっています。  
最近では、気管支拡張作用のある長時間作用性β²刺激薬と吸入ステロイド薬が一緒になった配合吸入剤という薬を使うことが多いです。それに加えて発作治療として、短時間作用性β²刺激薬を吸入することもあります。  
内服薬としてロイコトリエン受容体拮抗薬を飲ませることが多いです。テオフィリン徐放製剤は、嘔気、興奮などの副作用があることから、最近は小児にはあまり使用しません。  また小児の場合、治療ステップ1、2の軽症の場合にはクロモグリク酸ナトリウムの吸入も有用とされていますが、これはごく早期で軽症の場合に有用です。

喘息治療ステップと薬の種類

気管支拡張薬も長時間作用型のものをよく使用しますが、これは貼薬タイプもあります。気管支拡張薬は使用量が多いと動悸、興奮などの副作用があります。内服、貼薬、吸入剤と各種タイプがありますので、同時に薬を与えすぎることのないように充分に注意しましょう。治療ステップが4にある場合、内服ステロイドを服用させますが、吸入ステロイドが気道のみに作用するのに対し、内服ステロイドの場合は全身に作用しますので、アナフィラキシーショック以外はよほど呼吸困難が強い場合でないと使用しません。

「喘息予防・管理ガイドライン2015 」

小児喘息に重要かつ有効! 家庭での3つの対応とは

 小児喘息の治療において、家庭での対応も大切で効果的です。3つ挙げておきます。

1、環境整備


小児喘息にはアレルギー反応が深く関わっているため、吸入アレルゲンとなる、ダニ、ホコリ、カビ、動物の毛、花粉などを排除して、空気環境を整えると発作のコントロールがしやすくなります。

2、体力鍛練(運動療法)

体力を鍛えることによって、自律神経のバランスが整い、免疫機能が強くなり、小児喘息がかなりコントロールしやすくなります。乾布摩擦なども自律神経を整える効果的な方法です。

3、漢方薬 

内服薬は全て化学薬ですので、長期にわたって飲ませるのは心配です。化学薬は発作がコントロールされたら徐々に減量することが大切です。ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴は聞こえませんが、咳の回数だけ多くなる状態を咳喘息といいます。咳喘息の場合、①環境整備②体力鍛練に加え、内服薬として漢方薬を使用すると、咳がおさまり、痰が減ります。小児によく使う漢方薬は、麦門冬湯、麻杏甘石湯、五虎湯、柴朴湯などです。自然の薬草から作られた漢方薬はその歴史が安全性を保証していますので、長期にわたって飲んでも問題ありませんが、経過はしっかり観察しましょう。

 

喘息持ちの子供に発作が起こった場合、どうすればいい?

去年まで喘息があり、 ここ1~2年は 何ともないのですが、 小学5年生での 2泊3日の林間学校の時に 薬などは持たせたほうが よいのでしょうか?

小学校卒業までに小児喘息はほぼ治りますが、 環境の変化がある場合には 発作の再発に備え薬を準備しましょう。

小児喘息は小学校を卒業するまでにほぼ治るといわれています。これは、体力がついて、自律神経のバランスがとれてくること、免疫機能が強くなって、風邪などの感染症にかかりづらくなることなどの理由によります。ここ1~2年喘息発作がなくも、林間学校で環境が変わり、花粉などが気管支に入り喘息発作を誘発したり、疲れや不眠から喘息発作を誘発したりする可能性がありますので、念のために、今まで飲み慣れている内服薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬、気管支拡張薬)、貼薬、使い慣れている吸入薬(ステロイドと長時間作用型β²刺激薬の配合剤のものがベスト)は持って行ったほうが安心でしょう。

 

 

喘息と間違えやすいクループ症候群って?

クループ症候群
喘息と間違えやすい症状(クループ症候群)が生後6ヶ月〜5歳くらいで起きることがあります。クループ症候群は、息を吸う時に「ケンケン」「ヒューヒュー」と音がしますが、喘息は逆に息を吐く時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がします。声帯や咽頭、喉頭の周囲がウィルスや細菌に感染して炎症を起こし、空気の通り道が狭くなることで特徴的な咳をします。ウィルス感染が原因のことが主なので、38℃以上の発熱をほとんどの場合に伴います。夜間に悪化する傾向がありますので、ひどくなると呼吸困難に陥る可能性がありますから、苦しそうな時は早めに受診して吸入などの処置が必要です。市販の咳止めではおさまらないことが多いので、きちんと小児科を受診して診断のもとに内服薬を処方してもらいましょう。処方された薬だけで症状が改善しないのは、内服薬のみの使用だからと考えられるケースがあります。症状が改善するまで、吸入ステロイド薬を使ってみることをお勧めします。気管支という呼吸器にのみ作用し、全身への影響が内服薬よりはるかに少なく、少量で効果があります。

 

お話を伺ったのは、

藤川 万規子先生
あゆみクリニック院長

本の中にはアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど、ママが気になるアレルギーへのお悩みがQ&A形式でたくさん掲載されています。ぜひ手にとってみてください。
出典:『即、役立つ 治療とケア 治せる!楽になる! 子どもアレルギー診察室』

イラスト/松永えりか 再構成/HugKum編集部 写真/繁延あづさ

子どものアトピーは治る? 小児科医に聞いた、治る過程や年齢、方法について
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーのお子さんの数は年々、右肩上がりになっており、学校や保育園、幼稚園でも対応に追われているという話をよく耳にし...
子供のアトピー、食べ物との関係は?食べてはいけないもの、薬など、小児科医が解説
子供がアトピーと疑われる場合、食べてはいけない食べ物は? 生後4ヶ月です。生まれて間もなくから顔に湿疹が出てきていて、だんだんひどくなって...
卵アレルギーが心配。初めての量、卵黄、卵白を含む離乳食の進め方を医師が解説
今まで母乳やミルクしか口にしなかった赤ちゃんが食べ物を口にするということは、人としての成長をとても感じる瞬間ですね。ですが切り離せないの...

編集部おすすめ

関連記事