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「幼児教育無償化」いつから?所得制限や対象の年齢について解説

子育てには本当にお金が掛かります。特に子どもが保育所や幼稚園に行くような未就学の時期には、毎月の保育料・授業料に加えて各種の教材費、習い事の月謝、子育てグッズの購入など出費が重なります。

一方で、マイホームの購入資金など将来のための貯蓄が重なる場合もあり、経済的に本当に大変な時期。

「幼児教育が無償化になる」というニュースが、2017年の衆議院議員選挙で各党のマニュフェスト(政権公約)から出てきたときには、「本当!? うれしい!」と内心喜んでしまった人も少なくないはずです。

しかし、この「幼児教育無償化」、いつからどのような形で始まるのでしょうか。そもそも本当に始まるのでしょうか。正確な情報を知っている人は意外に少ないと思います。そこで今回は、内閣総理大臣が主宰する閣議の決定事項などを基に、幼児教育の無償化について基本的な情報をまとめてみました。

 

そもそも、幼児教育無償化とは?

そもそも、幼児教育の無償化とは、何なのでしょうか? 公的な資料には、

<幼児教育の重要性に鑑み、すべての子供に質の高い幼児教  育を保障することを目指すもの>(関係閣僚・与党実務者連絡会議の資料より引用)

とあります。保育園や幼稚園、認定こども園で行われる大切な幼児教育の機会を、望めば誰もが経済的な負担なく得られるような社会が実現するのですね。

2017年に行われた衆議院議員総選挙で勝利した自民党が掲げた政権公約にも、幼児教育の無償化が含まれていました。いろいろとお金のかかる時期に幼児教育が無料になる、子育て中の親からすれば、ありがたい話です。

 

2019年4月? それとも2020年4月? 幼児教育無償化はいつから?

実際に幼児教育無償化はいつから始まるのでしょうか? 先ほど紹介した自民党の政権公約を振り返ってみると、

<2020年度までに、3歳から5歳までのすべての子供たちの幼稚園・保育園の費用を無償化します。0歳から2歳児についても、所得の低い世帯に対して無償化します>(自民党のホームページより引用)

とあります。2017年12月8日に内閣総理大臣が主宰した関係閣僚の会議では、

<2019年4月から一部をスタートし、2020年4月から全面的に実施する>(『新しい経済政策パッケージについて』より引用)

と決まりました。引用文にある「一部」とは、5歳児の幼児教育になります。幼児教育・保育の最終年である5歳児に関しては、先行して2019年4月からスタートし、翌年の2020年4月からは全年齢の幼児教育が無償になります。遠くない未来の話。「うちの子はどうなるのかな?」と、ちょっと計算してみてください。

 

2018年4月(平成30年度)からの幼児教育無償化は?

幼児教育無償化は2019年4月に5歳児の子どもが先行してスタートし、翌年の2020年4月から全面的に無償化が始まります。その意味で言えば2018年度(平成30年度)は従来通り、保育所、幼稚園にわが子を通わせるためのお金が掛かります。

「なんで、もっと早くやってくれないの?」と思うパパ、ママも居るかもしれません。どうして2019年4月で5歳児、2020年4月に全幼児というタイミングなのかというと、幼児教育無償化の財源として、2019年10月に予定している消費税の増税分を見込んでいるから。

 

幼児教育無償化に所得制限はあるの?

段階的に幼児教育無償化がスタートすると決まりましたが、例えば富裕層などは幼児教育無償化の対象外になるのでしょうか? 

幼児教育といっても、いわゆる0~2歳の「未満児」、3~5歳(年少から年長)までの「以上児」と大まかに言って2段階にステージが分かれています。「未満児」と「以上児」で、無償化の対象者は異なってきます。

未満児(0~2歳)・・・年収250万円未満の住民税非課税世帯世帯は無償化

以上児(3~5歳)・・・年収に関係なく、完全に無償化

未満児は所得制限がありますが、子どもが年少、年中、年長の時期は全ての家庭で保育料・授業料が無償化されるのですね。

 

幼児教育無償化は保育園(保育所)、幼稚園、認定こども園のどこでも同じ?

0~2歳は所得制限があるものの、3~5歳の子どもは例外なく、保育所、幼稚園の保育料、授業料が無償化されると紹介しました。ただ、保育所、幼稚園にもいろいろと種類があり、幼保一体の認定こども園もあります。どこにわが子を通わせていても、無償化の対象になるのでしょうか?

あらためて平成29年12月8日の閣議決定の内容を見直してみると、

<広く国民が利用している3歳から5歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化する>(内閣府『新しい経済政策パッケージについて』より引用)

とあります。幼稚園、保育所、認定こども園、わが子をどこに通わせていても、認可された施設であれば無償化の対象になります。ただ、認可外の施設に通わせているケースについては、平成30年の夏をめどに、無償化の有無について結論を出していくようです。

 

英語学習も幼児教育に入るの? そもそも幼児教育とは何だろう?

幼児教育が無償化になる背景には、幼児教育が人間の成長に極めて大きな影響を与えるという動かしがたい事実があるからです。とはいえ、幼児教育とはそもそも、どういった教育を意味しているのでしょうか。例えば何年も前から続く現象として英語教育が過熱しており、英語学習の低年齢化が進んでいますが、こうした英語学習も幼児教育の部類に入るのでしょうか?

どうしても「教育」という言葉を耳にすると、机に座って、算数、英語のような科目を学ぶといった場面を想像してしまいがちです。しかし、国立教育政策研究所の研究報告書にも、

<幼児教育は「経験カリキュラム」,小学校教育は「教科カリキュラム」>(『幼小接続期の育ち・学びと幼児教育の質に関する研究<報告書>』より引用)

といった言葉が使われているように、幼児教育においては、遊びを通じて何かを経験し、その経験の中から次々と学びを得ていくカリキュラムが重要視されていると分かります。

実際に筆者が子どもを通わせている認定こども園の園長も、さまざまな場面で、

「遊びは学びです」

というメッセージを保護者に伝えてくれています。文部科学省の作成した幼稚園教育の資料を見ても、

<遊びは幼児期にふさわしい学び>

<幼児はいろいろな遊びをとおしてさらにたくさんのことを学び、身につけていきます>(文部科学省『幼稚園ってなぁに ~学校教育のはじまり~より引用)

とあります。例えば砂場で友だちと川を作る遊びをするだけでも、

・道具の使い方を学ぶ

・体力が向上する

・自立心が磨かれる

・人とのかかわり方を学ぶ

・考えたり、工夫したりして、思考力が伸びる

・友だち、先生とのコミュニケーション力が磨かれる

・感性、表現力が磨かれる

・道具を片付ける力が身に着く

といった効果が期待できるのだとか。

確かに子どもが通う認定こども園の授業参観に出かけると、遊びを通じて子どもの心と体、自立心や協調性、感性や思考力がぐんぐん伸びている様子をはっきりと見て取れます。授業参観に来ている他の保護者を見回してみても、全員がわが子の成長に目を細め、優しい笑顔で見守っています。「遊びは学び」という幼児教育の原則を実感する瞬間です。

幼児教育の英語教材などは意味がある?ない?

もちろん、英語学習のような特定の科目を幼児のころから学ばせる教育も、一定の効果はあるに違いありません。実際に『日本人就学前幼児が習得した英語力の特徴―母語力および親の支援との関係―』などの論文も発表されており、日本語のしっかりとした成長を邪魔しない一方で、簡単な英語でのコミュニケーション力を磨いている子どもたちの存在も確認されています。

筆者の子どもが通う認定こども園でも、専任の日本人英語講師が遊びを通じて英語を月に1回教えてくれています。子どももレッスンのあった日は家に帰ってくると「ワン、ツー、スリー!」などと喜んで声に出しています。その意味では、教科カリキュラムでも遊びの要素を大いに取り入れれば、学習効果は期待できるのかもしれませんね。

ただ、幼児教育の大原則は、科目による分類を度外視した遊びにあります。純粋な遊びを通じて、子どもは学ぶ楽しさを知り、物事への積極的なかかわりを覚え、心と体が育まれて、小学校へと進む準備が整っていくのです。

(文・坂本正敬)

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【参考】

幼稚園ってなぁに ~学校教育のはじまり~ – 文部科学省

新しい経済政策パッケージについて – 内閣府

幼小接続期の育ち・学び と. 幼児教育の質に関する研究 – 国立教育政策研究所