「育児休業給付金」ガイド!初回支給日の計算に振込が遅いときの対処法まで

子どもの出産とともに仕事を離れると、勤務先などからの収入は途絶えてしまいます。その収入の一部をサポートしてくれる制度が育児休業給付金、いわゆる「育休手当」になります。

ただ、「育休手当」にはさまざまなルールがあり、自分はどのくらいの金額をどのくらいの期間もらえるのか、いつ⼝座に振り込まれるのかなど、分からない点がいっぱい。 定期的にルールの内容も更新されていますので、常に最新情報に気を配る必要もあります。

そこで今回は、自身の妻を通じて育児休業給付金の支給を2度受けた経験のある筆者が、厚生労働省や公共職業安定所の情報を基に、ちょっとややこしい育児休業給付金について情報をまとめてみました。

 

育児休業給付金の支給日数と期間は?

まずは育児休業の定義をおさらいしよう

そもそも育児休業給付金は、どのくらいの期間、支給されるのでしょうか? 育児休業給付金は、育児休業中に支払われるお金ですから、育児休業という言葉をもう一度簡単におさらいした方がいいかもしれませんね。育児休業とは、

<法律に基づいて労働者が育児のために一定期間取得できる休業。また、その制度。養育する1歳に満たない子の育児について、事業主に申し出ることで取得できる>(『大辞泉』(小学館)より引用)

とあります。引用文の法律とは育児介護休業法で、厚生労働省の情報を見ても、

<この法律の「育児休業」をすることができるのは、原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者>(厚生労働省『【平成29年10月1日施行対応】育児・介護休業法のあらまし』より引用)

とありますから、

基本的に子どもが1歳になる日の前日まで

が支給対象期間になります。筆者の妻も、2人目の子どもの「育休中」には、子どもが1歳になる前日まで育児休業を取得し、その後仕事に復帰していきました。最も標準的なケースですね。

 

育児休業給付金を受けるために必要な手続きと書類は?

支給をしてもらうために必要な手続きと書類には、どういったものがあるのでしょうか? 基本的な手続きは、受給者⇔勤務先⇔ハローワーク(公共職業安定所)と、全て会社経由で行いますので、書類に関しても大部分は会社がそろえてくれます。

〇育児休業給付金の受け取りに必要な書類(初回)

育児休業給付金を受けるために必要な書類(初回)は、

1.雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書

2.育児休業給付受給資格確認票

3.(初回)育児休業給付金支給申請書

4.賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、またはタイムカードなど

5.母子健康手帳の写し(出生証明のページ)など

6.育児休業給付金を受け取る金融機関受取口座の通帳の写し(表紙を開いた最初のページ)

になります。このうち、太字にした2、3に関しては、通常であれば書類を勤務先が自宅に送ってくれますので、用紙に必要事項を記入して勤務先に送り返してください。5、6は添付書類です。自分で写しを作成し、2、3に添えて勤務先に提出してください。その他は、全て会社任せで問題ありません。

「育休」が2カ月経過するごとに申請書を提出する

ちなみに育児休業給付金は、通常であれば「育休」を2カ月(支給単位期間)送るたびに、経過した2か月分の「育休手当」を受け取るために、あらためて申請書を作成して勤務先に提出する必要があります。2回目以降の提出書類に関しては、以下の通りになります。

〇2回目以降の育児休業給付金の受け取りに必要な書類

1.育児休業給付支給申請書

2.賃金台帳、出勤簿、またはタイムカードなど

こちらに関しても、1の申請書がハローワークから勤務先に送付され、勤務先経由で受給者の自宅に届きます。必要事項を記入して、会社に提出してください。会社経由で再びハローワークに書類が提出されます。

以上の流れをまとめてみました。

  1. 勤務先から育児休業給付受給資格確認票と、(初回)育児休業給付金支給申請書が自宅に届く
  2. 育児休業給付受給資格確認票(初回)育児休業給付金支給申請書に必要事項を自分で書き込む
  3. 母子健康手帳の写し(出生証明のページ)と、金融機関受取口座の通帳の写しを自分で作成する
  4. まとめて自分で勤務先に提出する

 

育児休業給付金が支給される金額ってどのくらいなの? 給付率について

では、「育休手当」の計算方式は?

育児休業給付金が支給される期間、給付を受けるために提出が求められる書類をまとめましたが、これだけの手続きをすると、どれだけの「育休手当」(育児休業給付金)が受け取れるようになるのでしょうか? 原則として、

<休業開始時賃金日額(※2)×支給日数(※3)×67%(ただし、育児休業の開始から6か月経過後は50%休業開始時賃金日額(※2)×支給日数(※3)×67%(ただし、育児休業の開始から6か月経過後は50%)>(厚生労働省のホームページより引用)

と決まっています。簡単に言えば、「育休」をきっかけに一切働かなくなった場合、半年間(180日)は月給の67%分が受け取れて、スタートから半年後(181日目)からは月給の半額が受け取れる計算になります。

後述するようにパパ・ママ育休プラスという制度を利用すれば、67%の給付率のまま子どもが1歳2カ月になる日までお金を受け取れるようになりますが、基本的には、

「育休」スタートしてから半年間(180日)・・・育休に入る前の月給の67%

「育休」スタートから7カ月目(181日目)以降・・・育休に入る前の月給の50%

といった金額になると覚えておきたいですね。

 

育児休業給付金の支給日の計算方法と支給対象期間の延長&短縮について

大まかに「育休手当」の概要を学んだところで、今度は具体的に初回の支給日を計算してみましょう。育児休業給付金の支給日のスタートに関しては、(女性の場合は)出産日の翌日から8週間が産後休業になりますから、

「産休」が終わる翌日から支給対象期間がスタート

になります(※男性の場合は、配偶者の出産日当日から育児休業の取得が可能です)。仮に平成29年12月9日にママが子どもを産んだとしたら、

平成29年12月10日→平成30年2月3日(8週間=56日)・・・産後休業

平成30年2月4日→平成30年12月8日(308日)・・・育児休業

といった計算になります。この308日間が、育児休業給付金の基本的な対象期間になるのですね。

育児休業給付金の給付期間は長くも短くもなる

ただ、この期間については長くも、あるいは短くもなります。

〇対象期間が短くなる場合

短くなるケースとしてはまず、

<子が1歳になる前に職場復帰された場合は復帰日の前日まで>(厚生労働省のホームページより引用)

という決まりがあります。実際に筆者の家の場合も、1人目の子どものときは妻が産後10カ月ほどで職場に復帰したため、育児休業給付金の支給対象期間が短くなりました。他には、

<第2子に係る産前休業開始日の前日(産前休業を取得しない場合は、出産日)に第1子に係る育児休業が終了することとなる>(厚生労働省のホームページより引用)

という決まりもあります。要するに、

育休中に次の子を出産する場合は、出産日、あるいは「産休」の開始日の前日で「育休手当」の支給は終わる

と覚えておきたいです。

〇対象期間が長くなる場合

逆に延長については、

子どもが1歳6カ月になる前日まで

子どもが2歳になる前日まで

と、2段階で育児休業給付金の支給対象期間を延長できます。どちらのケースにおいても、

・認可保育所などで保育を申し込みながらも、1歳になる(あるいは1歳6カ月になる)子どもが入れる場所がない

・子どもが1歳(あるいは1歳6カ月)になった後に、養育を行う予定だった配偶者が死亡、負傷、および心身の病気になった、または養育を行う予定だった配偶者が離婚を含むさまざまな事情で子どもと同居しなくなった

といった事情がある場合なども、期間が延長されます。

パパ・ママ育休プラスという新しい制度を利用すれば1年2カ月に延長可能

比較的新しい制度として、前述したようにパパ・ママ育休プラスという仕組みもあります。同じ子どもにパパとママがそれぞれ交代で「育休」を取得する場合、

子どもが1歳2カ月になる日まで

「育休手当」の支給対象期間が延長されます。パパ・ママ育休プラスを活用した場合、給付率の優遇もあります。父親と母親で育児休業が取れる場合は、積極的に活用したい制度です。

 

育児休業給付金支給日の初回はいつ?

実際に「育休手当」の初回の支払日は、いつになるのでしょうか? 筆者も1人目の子どものときは、初めての経験で「いつかな、いつかな」と、落ち着かない日々を過ごした覚えがあります。

大まかなスケジュール感として、支給対象者がママの場合は、

出産日から見ると4カ月半~5カ月ほど

「育休」スタートから見れば2カ月半~3カ月ほど

経過してから、指定の銀行口座に振り込まれるケースが一般的になります。

初回支給までの最短日数は「育休」スタートから2カ月と22日程度

「育休手当」の支給日に関しては、

<概ね支給決定日から1週間程度で指定いただいた口座に振込がされます>(厚生労働省のホームページより引用)

と厚生労働省の情報にもあるように、支給が決定してから振り込みまでは1週間程度となっています。

しかし、支給決定の前には公共職業安定所(ハローワーク)による審査があります。審査に必要な時間は、公式の情報を見ると標準的に15日とされています。

審査では支給対象者のママ、またはパパが、本当に「育休」の支払い対象期間中(支給単位期間)に、月に10日以下、または80時間以下の就労時間を守っていたかなどを、勤務する会社から提出された賃金台帳や出勤簿などの書類を使って、公共職業安定所がチェックします。

何かと出費の多い出産後においては、「給付金を先払いしてくれ~!」という本音もあるかと思いますが、支給する側の公共職業安定所からすれば、支払い対象となる期間が経過した後に、その日々を振り返ってチェックしなければいけません。よって、初回の給付金(2カ月分の場合)の支給には、

「育休」がスタートしてから2カ月が経過(2カ月)+(2カ月の勤務簿などを振り返って)審査(標準で15日)+支給決定から振り込みまで(7日ほど)

といった時間が、どうしても必要になってしまうのですね。そう考えると初回の給付金の振り込みまでには、「育休」のスタートから最短でも2カ月と22日ほどの時間がかかってしまうと分かります。

 

育休手当支給日の二回目はいつ?

初回の支給日から数えて2か月後程度がめやす

2回目以降の支給日も、計算は初回と同じになります。新たに2カ月(2支給単位期間)分の給付金を受け取るためには、再び2カ月の「育休」期間が経過した後に、受給者であるパパ、またはママが自分の勤務先に支給申請書を提出する必要があります。

会社の側は管轄の公共職業安定所(ハローワーク)に対して、勤務者から提出された書類に加えて、賃金台帳や出勤簿をプラスして提出します。今度はその提出書類を基に、公共職業安定書が審査を行います。

審査には標準で15日の期間が必要で、支給決定から振り込みまでには7日ほどかかります。そう考えると、初回の支給日から数えて2か月後程度が、2回目の支給日になります。

 

育児休業給付金支給決定通知書の見方ガイド

知りたい情報が1枚にまとまっている大切な書類

「育休手当」の支払日、給付率などについて一般論をまとめましたが、自分の「育休手当」に関する情報を具体的にチェックしたい場合は、何を見ればいいのでしょうか? 最も分かりやすく、信頼できる情報源としては、育児休業給付金支給決定通知書があります。この通知書には、氏名、被保険者番号、出産年月日などの情報の他、

・受給資格確認年月日

・2か月分の「育休」期間における支給日数(「育休」中に何日、何時間働いたかによって変わる)

・各月(支給単位期間)のそれぞれの支給率

・各月(支給単位期間)の支給金額と、2か月分の合計支給金額

・次回の支給期間と、支給申請ができる期間

・管轄の公共職業安定所の場所と電話番号

などが記されています。この通知書は、通常であれば定期的に勤務先から自宅に送付してもらえます。分かりやすく1枚の紙にまとまっていますので、知りたい情報をチェックしてみてください。

 

育児休業給付金支給決定通知書が届かない場合の対処法

まずは勤務先に問い合わせを

育児休業給付金支給決定通知書は、「育休手当」(育児休業給付金)をパパ、またはママが申請し、給付が正式に決定するたびに、ハローワーク(公共職業安定所)が交付してくれます。

通知書は会社(事業主)用と本人(被保険者)用が、切り取り線を挟んでセットで1枚の紙になっています。通知書は申請者の勤務先(事業者)に対してハローワークから送付されますので、通常であれば勤務先の担当者が切り取り線で通知書を切って、本人分(被保険者用)を自宅送ってくれます。

「届かないんだけど……」

という場合は、まずはハローワークではなく、勤務する会社に問い合わせたいですね。

 

支給日のはずなのに……育児休業給付金の支給が遅い、振り込まれない場合の対処法

通知書が届かない場合の対処法を紹介しましたが、そろそろ支給日のはずなのに、「育休手当」の振り込みが遅い、振り込まれないといった場合は、どうすればいいのでしょうか?

振り込みが遅いと感じたら、会社に確認する

一般的に「育休手当」の各種やりとりは、

育休を取得中のパパ、またはママ⇔勤務する会社⇔管轄のハローワーク(公共職業安定所)

といった形で行われます。全ては会社を通して行いますので、何か気になる問題があれば、まずは会社の担当者に、

「何日に申請書類をハローワークに提出しましたか?」

と聞いてください。会社からの書類提出日が分かれば、その日から15日ほどが標準的な審査処理期間になります。支給が決定してからも、振り込みまでにはさらに1週間ほどの時間が掛かります。また、書類の提出日だけではなく、会社に対して、

<ハローワークから通知書が届いていないか>(厚生労働省のホームページより引用)

も併せて確認してください。通知書とは、育児休業給付金支給決定通知書を意味します。

ケーススタディー:育児休業給付金 3回目が振り込まれないAさん

実際の例を見てみましょう。育休手当の3回目が振り込まれずに、モンモンとした日々を送るAさんのケースを考えてみます。Aさんの3回目の「育休手当」は、

11月21日から12月20日

12月21日から1月20日

が対象の期間だったとしましょう。申請が認められる期間については、

1月21日から3月31日

だとします。この情報を2回目の支払い前に届いた通知書などで確認したら、まずは1月21日から3月31日の期間中、

「何日に申請書類をハローワークに提出しましたか?」

と勤務先に確かてください。仮に1月21日にすぐ書類が提出されていたと分かれば、

審査終了と支給決定(15日間程度)→2月5日前後

口座振り込み(7日程度)→2月12日前後

が予想される3回目の「育休手当」の振り込み日になります。仮に2月12日を大幅に過ぎている、さらに「通知書」も届いていないとなれば、申請が認められなかった可能性も出てきます。仮に審査で給付が認められなかった場合は、

・育児休業給付受給資格否認通知書

という書類が、ハローワークから勤務先に届きます。「否認通知書」も通常は被保険者の自宅に会社から送付されますが、念のため「否認通知書」の有無も会社に確認してください。

 

育児休業給付金の支給日について問い合わせる方法

育児休業給付金の支給日については、基本的に被保険者が勤務する職場に問い合わせると紹介しました。ただ、職場は既に申請書類を提出している、通知書も来ていない、職場の担当者はこれ以上何も知らないといった場合には、どうすればいいのでしょうか?

育児休業給付金の支給日に関する問い合わせ先は?

会社に聞いても納得のいく返答が得られなかった場合は、

ハローワークに直接確かめる

といった行動が考えられます。ただその場合、

<個人情報保護のため、電話でのお問い合わせには回答できません>(厚生労働省のホームページより引用)

と注意が出ています。電話ではなく、身分証明書を持って直接、管轄のハローワークに出かけてください。審査状況がどのような状態になっているのか、例えば審査中であるだとか、審査で申請が認められなかったなど、何らかの形で現状を教えてもらえます。ただ、

<厚生労働省、都道府県労働局、ハローワークにおいて、個々の受給者の振込日は把握できませんので、入金日に関するお問い合わせにはお答えできません>(厚生労働省のホームページより引用)

とあるように、具体的な入金日については回答を得られません。要注意ですね。

以上、育児休業給付金について、気になる情報をまとめましたが、いかがでしたか? 子育て中のパパ、またはママを大いに助けてくれる制度です。賢く、安心して利用したいですね。

(文・坂本正敬)

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【参考】

 Q&A~育児休業給付~ – 厚生労働省

雇用保険育児休業給付(育児休業給付金)の申請(平成26年10月1日以降手続き) – e-Gov

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて

育児休業給付についてよくある質問 – ハローワーク

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