発達障害の子供の治療法、「療育」とは?療育に通うメリットを言語聴覚士が解説

わが子の発達の凸凹に、保護者が気づくのは、1歳6か月健診や3歳児健診がきっかけになることは多いようです。そこから「療育」の扉をあけるまでには、どのようなステップがあるといいのでしょう?

療育に通うメリットについて、言語聴覚士の中川信子先生に伺いました。

発達障害の診断は1歳6か月健診、3歳児健診がきっかけに

発達のアンバランスさや遅れが気になるお子さんは、赤ちゃんの頃から、抱きにくい、泣き方が激しい、なかなか寝ないなど、育て方に違和感を持つママが多いようです。そして、1歳6か月健診などで言葉の遅れや共感性などに心配があると指摘されることがあります。そこから3歳児健診までようすを見て、いよいよ「療育へ行きましょう」と案内されるケースが多いようです。

地域によっては1歳6か月健診で心配があると即、医療機関の受診をすすめられることがあるそう。しかし、その時点ではまだ判断がつかないことも多く、親も納得がいかないまま、医療機関や福祉のスタッフに不信感を持つことがあります。

発達障害の治療ケア「療育」ってそもそも、どんなもの?

その子なりの一番よい姿にするのが「療育」

「療育」とは、訓練してみんなに追いつかせるものではありません。発達障害は脳の小さな不具合から生じているわけで、治療して治るものではありません。脳のちょっとした不具合を持ちつつも、周囲の接し方いかんで、その子なりの一番よい姿を見せてくれるようにするのが「療育」です。

「療育」では園や学校より少人数で接するので、お子さんひとりひとりに合わせて、無理なく発達できる手立てを講じてもらえます。普段は「できない」ことが多く、自尊心を削がれがちな子どもたちが、ちょっと頑張ればできる遊びや課題を提供してもらえます。すると、「できた!」「やればできる」という喜びが得られます。それは、自己有能感につながります。いずれ、その子たちが、やりたいことを見つけ自分らしく生きることを支えていくための基礎を作るのが「療育」です。

「療育」のドアは、人に開けられて、無理やり中に押し込められるのではなく、自らノックして進んで入ることが大切。それが、今後の継続したお子さんのサポートにつながります。

 

どんなステップを踏んで「療育」を受けるべき?

まずはグループワークや心理相談へ

1歳6か月健診や3歳児健診からそのまま「療育」へというより、グループワークや心理相談、言葉の相談などに行ってみる。そこで、ママの気持ちを聞いてもらい、少しずつ他の子との違いに気づき、「やっぱりそういうことなのかな」と納得してから入る。そんな「療育」以前のサポートが大切だと思います。

発達障害の子どもをもつ親にとって「療育」に通うメリットは?

子どもが生まれもつ脳の特性を知ることで自責の念から逃れられる

発達障害のお子さんをもつ親にとってのメリットのひとつは、専門家から子どもの特性を教えてもらえて「そうだったのか!」と納得できることです。発達に凸凹のある子どもたちは、感覚過敏や偏食があったり、じっとできなかったりの特性があり、それが育てにくさにつながることがあります。

また、「私の育て方が悪いの?」と母親が自責の念を持ちやすくなります。それが、子どもが生まれもつ脳の特性が起こす行動だとわかることで、自分を責めることから少し逃れられるのです。

苦手なところはサポート、得意なところは伸ばす関わり方を学べる

一般的な子育てでは「繰り返し頑張る」「我慢する」などは、よいこととされますが、発達に凸凹がある子どもたちにとっては、逆効果になることもあります。

 そんな中で、わが子にどう関わればよいかわからず途方にくれる保護者も多いですが、「療育」では、わが子の特性に合う関わりかたを専門家に教えてもらえる利点があります。苦手なところはサポートし、得意なところはより伸ばす関わり方をすることは、発達につあずきにあるお子さんにとっては、とても大切なことです。

「療育」の大きなメリットは共感しあえる仲間

「大変な思いをしていたのは、私だけじゃなかった」

子育て広場や幼稚園で会うママたちに話してもキョトンとされてしまうような「帽子のゴム紐を嫌がる」「感情の切り替えが難しい」などの悩みに、共感してもらえるママ友ができるのもメリット。「大変な思いをしていたのは、私だけじゃなかった」という気持ちを持てることです。

 「療育」の保護者仲間が集まると、親の会ができることもあります。互いの悩みを相談しあい、同じような特性のある子をもつ先輩ママからアドバイスがもらえることもあります。また、近所の教室や講習会など、地域の情報交換ができるよさもあります。

以下、メリットを箇条書きにまとめておきます。

療育に通うメリット1

ひとりひとりに合わせて、無理なく発達できる手立てを講じてもらえる

療育に通うメリット2

遊びや課題を「できた!」と思える経験から自己有能感を高められる

療育に通うメリット3

子どもの特性を専門家から説明してもらって、育てにくさの理由がわかる

療育に通うメリット4

仲間が見つかり、子育てについて互いの悩みを相談しあえる

 

中川信子先生

言語聴覚士。「子どもの発達支援を考えるSTの会」代表。「サポート狛江」代表。東京都狛江市を中心に1歳6か月健診、3歳児健診後のことばの相談や、就学前の時期に発達の遅れなどについて相談を受けている。『発達障害とことばの相談』(小学館)など著書多数。http://www.soratomo.jp

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『発達障害あんしん子育てガイド』

発達障害の子に必要なのは、本質的な特性を理解すること。そして、それを知って寄り添っていくことで、その子のもって生まれた能力を生かす道が開けます。発達障害のある子どもをいかにサポートしていくかを、専門家の具体的な援助の手立てを含めて紹介するとともに、就労支援の情報までを網羅しました。
幼児から思春期までのかかわり方を子どもの発達段階に沿った構成で、発達障害の子の子育てに生かせる知恵が詰まった、今日から役に立つ1冊です。同じ子育てに悩むママたちの声も収録しています。発達障害の子に寄りそう子育てバイブルです。
本体1,200円+税(小学館)

取材・文/江頭恵子 イラスト/海谷泰水

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