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延長は2年または3年? 「育児休業」期間や延長申請の書類について

出産を挟んで産前の6週間を産前休業、産後の8週間を産後休業と呼びます。いわゆる「産休」ですね。「産休」が明けた日から、子どもが1歳を迎える誕生日の前日までを育児休業、いわゆる「育休」と呼びますが、この休みは最長でどのくらい取得できるのでしょうか。

2年と聞いた気もしますし、3年と聞いた気もして、ちょっと分かりづらいですよね。そこで今回は育児休業の原則的な期間、さらには「育休」の延長、再延長などについてまとめたいと思います。

 

法律に育児休業の「期間」は何て書いてある?

育児休業、いわゆる「育休」は、出産をする母親、加えてその母親と一緒に子育てをする父親の誰もが例外なく利用できる制度ではありません。育児休業に関する法律を見ると、

<労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる>(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律より引用)

とあるように、子どもの父親と母親がまず「労働者」でなければいけません。しかも単なる労働者ではなく、

・「育休」を申し出る時点から見て、勤務先で1年以上働いている

・子どもが1歳6カ月になるまでに、勤務先との雇用契約が終わらない

といった条件を満たす労働者が、制度を利用できると決まっています。もう少し平たく言えば、わが子のために「育休」を取りたい人が、勤務先に長く勤めていて、仕事に復帰した後も辞める予定がない場合において、「育休」が取れるようになるのですね。

〇育児休業の原則は子どもが1歳の誕生日前日まで

「育休」は、上述した引用文にもあるように、1歳に満たない子どもが1歳になるまでに、労働者である父親、または母親が仕事を休める制度になります。その意味で「育休」は、子どもが1歳の誕生日を迎える前日までが、原則的な期間になります。

各種の条件を満たす労働者が「育休を取りたい」と言ってきたら、会社など事業者の側は、

<育児休業申出を拒むことができない>(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律より引用)

とも定めされています。また、

<労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない>(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律より引用)

とあるように、「育休」を利用した労働者に、事業主の側が何か不当な扱いをしてはいけないとも定められています。条件を満たす場合、労働者として「育休」を取得する権利が法的にも認められていると頭に入れた上で、堂々と制度を利用したいですね。

 

2年? 3年? 育児休業の期間の延長はいつまで?

「育休」を取得できる期間は、原則的に子どもが1歳になるまでですが、平成29年10月1日にスタートした「改正育児・介護休業法」によって、延長が認められるようになりました。
後述する条件を満たしている必要がありますが、育休は

・子どもが1歳6か月を迎える日の前日までと、
・2歳の誕生日の前日まで

の2回、延長を申請できるようになったのです。

〇育児休業「3年」説って?

一方で、「3年」という期間もどこかで耳にした記憶があると思います。「3年」という期間は、自由民主党総裁にして内閣総理大臣の安倍晋三首相が、2013年に参議院議員選挙前に打ち出したアイデアで、メディアで盛んに取り上げられました。しかし、現状では制度として成立していません。

 

「日雇い」や期間雇用者でも育児休業は取れる!?

「育休」は労働者である母親、あるいは父親が、幾つかの条件を満たしている場合、認められると紹介してきました。この場合の労働者とは、必ずしも正規社員である必要もありません。期間を定めて雇用されるような有期契約労働者、例えば「派遣社員」のような立場であっても、育児休業の制度は利用が可能です。

〇働く日が週に2日以下の労働者は育児休業が拒否されるケースも

ただ、労働者を代表する労働組合、あるいは労働者の代表者が会社などの事業者と協定を取り決めている場合、事業者の側が労働者から出た「育休」取得の申し出を拒否できる場合があります。

拒否できる場合とは、事業者の拒否に、

<合理的な理由があると認められる>(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律より引用)

ケースです。具体的には、「1週間の所定労働日数が2日以下の従業員から育児休業を申し出られたときは、事業者の側は拒否できる」と事業者と労働者の代表が協定で取り決めている場合。

仮に勤務先で1年以上働いており、この先も雇用契約は続くと見込まれていたとしても、週に2日しか働いていない労働者の場合は、正規、非正規問わず、「育休を取りたい」と願い出ても拒否されてしまう可能性が十分に考えられるのですね。

〇「日雇い」労働者の場合は育児休業が取れない

例えば「派遣社員」のような有期契約労働者は、条件さえ満たせば「育休」が取れると述べました。では「日雇い」労働者の場合はどうなのでしょうか。結論から先に言いますが、残念ながら「日雇い」労働者の場合は、「育休」が取得できません。法律にも、育児休業が認められる労働者として、

<日々雇用される者を除く>(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律より引用)

と書かれています。日々雇用される立場で働く母親、あるいは父親の場合は、現状で育児休業が取得できないと考えておきたいです。

 

男性の育児休業の取得について

育児休業というと、子どもを出産する女性が取得する休業といったイメージがあるかもしれませんが、もちろん違います。では、女性のように産後休業がない男性が育児休業を取得する場合、育児休業の開始日はいつからになるのでしょうか?

〇男性の育児休業の開始日は子どもの誕生日から

男性が育児休業を行う場合、開始日は子どもが生まれた日から取得が可能になります。例えば出産後で心身ともに疲労している妻と子どものサポートを考えて、出産日から父親である夫が育児休業を取得するといった利用方法が考えられます。仮に夫婦共働きだった場合、妻は産後休業、夫は育児休業と、夫婦ともに休業に入る形になります。

〇パパ・ママ育休プラス制度もある

男性の育児への参加を促すような制度として、パパ・ママ育休プラスもあります。特別な事情がない限り、原則的に育児休業の期間は子どもの1歳の誕生日前日までと紹介しました。ですが、パパ・ママ育休プラス制度を利用すれば、子どもが1歳2カ月を迎える日の前日まで、育児休業給付金の給付率も高いまま「育休」を延長できるようになります。夫であり父親でもある男性の側から見た条件としては、

・自分(夫)よりも先に配偶者(妻)が「育休」を取得している(例えば妻が産後休業明けにそのまま「育休」に入っており、妻の「育休」終わりでバトンタッチするように夫が「育休」に入るなど)

・自分(夫)のパパ・ママ育休プラスのスタート日が、子どもの1歳の誕生日当日、あるいはそれより前である(例えば、子どもの誕生日が10月10日だとして、1歳の誕生日である10月10日に夫が「育休」をスタートするなど)

場合、子どもが1歳2カ月になるまで、「育休」が延長されます。もちろん妻よりも後に夫が育休を取得していれば、夫婦で「育休」が重なっても問題はありません。夫婦でバトンタッチするような感覚でパパ・ママ育休プラス制度を利用すれば、子どもが1歳2カ月になるまで「育休」を延長できるのですね。

 

育児休業の期間を延長するための条件は?

パパ・ママ育休プラス制度以外にも、「育休」は子どもが1歳6カ月を迎える日の前日まで延長、あるいは子どもが2歳になる誕生日の前日まで再延長できると先ほど述べましたね。では、どのような人であれば、「育休」を子どもが1歳6カ月、あるいは2歳になるまで延長、再延長できるのでしょうか?

〇育児休業を1歳6カ月まで延長するための条件

「育休」を子どもが1歳6カ月になるまで延長するためには、大前提としてすでに父親、あるいは母親が「育休」を取得している必要があります。取得しているからこそ、初めて「延長」という言葉が成立するのですね。条件としては、子どもが1歳になり、誕生日を迎えて「育休」が終了してしまうのに、

・育児休業の継続がやむを得ない事情がある場合

に限って、子どもが1歳6カ月になるまで(1歳6カ月になる日の前日まで)延長が可能になります。

休業の継続がやむを得ない事情とは、例えば保育所に入所を希望していて、実際に申し込みをしているのに、子どもを預けられる保育所がないだとか、育児休業明けに自分の代わりに子どもの面倒を見る予定だった配偶者が死亡したり負傷したり病気になったりした、あるいは配偶者と離別したりしたため、面倒を見てもらえなくなったケースなどが想定されています。

他にも「育休」を取得している本人が、6週間以内に別の子の出産を控えている場合なども含まれます。

〇育児休業を2歳まで再延長するための条件

「育休」を子どもが2歳になるまで延長するためには、大前提としてすでに父親、あるいは母親が「育休」を1歳6カ月まで延長している必要があります。延長した育休を、今度は「再延長」する形になるのですね。子どもが1歳6カ月になって「育休」の延長が終了するのに、

・育児休業の継続がやむを得ない事情がある場合

に限って、子どもが2歳になる(2歳の誕生日の前日)まで延長が可能になります。

やむを得ない事情とは、上述したケースと一緒です。ポイントを繰り返しますが、子どもが1歳6カ月になるまで「育休」を延長してきた人だけが、さらに半年間「育休」を再延長できるようになります。子どもが1歳になるまで「育休」を取得していた人が、いきなり子どもが2歳になるまで延長できるという話ではありません。

 

育児休業の延長(期間変更)に必要な「育児休業給付金支給申請書」と「休業期間変更申出書」の違いってなに?

1歳になった子どもを預ける保育所がない、1歳になった子どもの面倒を見てくれるはずだった配偶者が、面倒を見られなくなったなどの場合において、「育休」は段階的に延長ができると述べました。では、実際に延長を希望する場合、どのような手続きを踏めばいいのでしょうか。

〇2週間前までに育児休業の延長を会社に申し出る

子どもが1歳になった後も育児休業が必要になった場合は、

・子どもの1歳の誕生日から見て2週間前まで

に、勤務先に対して申し出る必要があります。

〇用意する書類は「育児休業給付金支給申請書」と「入所不承諾の通知書」など

その際に親であるパパ、ママが自分で用意する書類としては、従来の育児休業の申請と同じで、

・育児休業給付金支給申請書(17欄の支給対象となる期間の延長事由―期間を忘れずに記載する)

が必要になります。申請書は原則的に、勤務先が自宅に送付してくれます。プラスして、

・「育休」を延長する必要が生じた理由を証明する書類

も必要になります。証明書類とは例えば、保育所、認定こども園、家庭的保育事業などの入所希望先に入所できなかったと証明する通知書になります。他には配偶者との離別、配偶者の死亡など各家庭の「育休」延長の理由に応じて、住民票、母子健康手帳、医師の診断書などを用意する必要があります。

子どもが1歳6カ月になった後、「育休」を2歳まで再延長したい場合も、用意する書類は一緒です。

〇「休業期間変更申出書」はどんな書類?

「育休」の延長は原則として、「育児休業給付金支給申請書」を勤務先から送付してもらい、記入した上で必要な証明書を添付し、会社に送り戻すといった流れになります。類似の書類として「休業期間変更申出書」がありますが、この書類は「育休」を延長、再延長するための書類ではありません。

例えば「育休」の延長を希望するAさんが居たとして、Aさんが「育児休業給付金支給申請書」と、「育休」延長が必要な理由を証明した書類を勤務先に提出したとします。その後、Aさんの勤務先を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)が書類のチェックを行い、「育休」の延長が決定されたとしましょう。

しかし後になって、Aさん周辺の状況が変わり、A決定した「育休」の延長期間をAさんが変更したくなったとします。例えば子どもが1歳6カ月になるまで延長の申請をしたけれど、入所できる保育所が見つかったため、1歳4カ月で育児休業を切り上げたいなど。その場合に、Aさんが勤務先に提出する書類が、「休業期間変更申出書」になります。

あくまでも「育休」の延長、再延長は「育児休業給付金支給申請書」を勤務先に提出します。決定した延長、再延長の期間を何らかの事情で変更したい場合に、「休業期間変更申出書」を勤務先に提出すると覚えておいてください。

 

以上、育児休業の期間に焦点を当てて、基本的な情報をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか? 延長、再延長については早めに勤務先に相談しつつ、延長、再延長の事由に応じた証明書を用意して、滞りなく手続きを済ませたいですね。

(文・坂本正敬)

 

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 – e-Gov

【平成29年10月1日施行対応】育児・介護休業法のあらまし – 厚生労働省

※ あなたも取れる!産休&育休 – 厚生労働省

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則 – e-Gov

※ 育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて – 厚生労働省 都道府県労働局 公共職業安定所(ハローワーク)

保育所に入所できないことを事由とする育児休業給付金の支給対象 期間の延長に関する手続き、要件の周知等(新規案件) – 総務省

 

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