人気保育士がママのお悩みに答えます! 食べものの好ききらいをなくすには?

Q:好ききらいが多く、野菜は食べられないものばかり。健康のためにも、何でも食べられる子になってほしいのに……。

 

●何でも食べることより 楽しく食べることが大切

子どもの味覚は、大人より敏感だと言われています。人の体には体を守る防衛本能が備わっており、苦い=毒だ、すっぱい=傷んでいる、などと感じるのもその機能のひとつです。子どもにはこうした本能が強く残っているため、特定の味を体が受けつけないこともあるのです。

●食べものの好ききらいは わがままではありません

子どもの食について考えるとき、まずは「好ききらいなく何でも食べるのがよい子」というイメージを見直してください。もちろん、いろいろなものを食べられたほうが楽しみも多く、栄養の偏りなども防ぐことができるでしょう。でも、生まれたときから「何でもおいしい」と感じる子はいません。赤ちゃんにとって安全な味は、母乳に含まれる「糖分、塩分、うまみ」。人の体は、それ以外の味を、体に害を及ぼすものとして拒絶するようにできています。母乳やミルクから離乳食、普通食へと食事がかわっていく過程で、子どもは少しずつ味覚の幅を広げていきます。ただし、食べても安全かどうかを判断する防衛本能の強さには個人差があるため、いろいろな食品をすんなり受け入れる子もいれば、「食べたくない」と感じるものが多い子もいます。つまり、好ききらいが多いのは「わがまま」ではなく、体に備わった本能が強いためなのです。

●おいしい経験を重ねれば 好ききらいは減っていきます

食べられるものを増やすために必要なのは、「おいしい体験」です。子どもに食べさせたいものがあるなら、大人がおいしそうに食べてみせましょう。料理は彩りよく盛り付け、量もやや少なめに。子ども自身に「食べてみたいな」と思わせるのがポイントです。反対に、食べることを強制したり、食べないことをしかったりするのは、マイナスの効果しかありません。いやがるものを無理強いしても、ますますきらいになるだけ。「親にしかられた」などのいやな経験ときらいな味がセットになって記憶されてしまうと、その食品を一生食べられなくなってしまうこともあるので、注意が必要です。そうは言っても、食べられないものが多くて心配になることもあるかもしれません。でも、多少時間がかかることはあっても、食べられるものは自然に増えていくものです。子どものうちは、いやなものは「食べたくない」と言わせてあげて。今はきらいでも、いずれ食べられるようになる、とおおらかな気持ちで見守ってあげてください。
食べられないものがあるなら、別の食品で足りない栄養を補う工夫をしましょう。また、同じ食材でも、調理方法や見た目をかえれば喜んで食べることもあります。煮もののにんじんを食べないから、「うちの子はにんじんがきらい」と決めつけず、サラダに入れたり、ポタージュスープにしたり、と工夫してみることも大切です。また、家では食べないけれど、お弁当なら食べる、お友だちと一緒なら食べる、など環境に左右されることもあります。幼児期に目指したいのは、「何でも食べられること」ではなく、「だれかと一緒に楽しく、おいしく食べること」。食に関するよい経験を重ねていけば、好ききらいは自然になくなっていきます。

子育て担当

井桁容子先生
東京家政大学ナースリールーム
主任保育士 東京家政大学短期大学部保育科を卒業後、東京家政大学ナースリールームに勤務。東京家政大学・同短期大学部非常勤講師。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。

イラスト/小泉直子

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