人気の恐竜もマイナーな恐竜も、みんなそれぞれ個性があって、とても楽しいストーリー。
版画やコラージュの画法が醸し出す独特の空気感が魅力の『きょうりゅうオーディション』作者・たしろちさとさんに、この絵本の制作秘話を伺いました。
■今はもう生きていない「恐竜」をスケッチするには?
恐竜はずっと前から描いてみたいと思っていました。フォルムはもちろん、皮膚の質感や、仕草や音など、想像するだけで「かっこいい!」と、ときめく存在でした。
今回、新しいことに挑戦したい気持ちもあって、テーマを探していたときに「描きたい!描きたい!」と本能が求めていったのが恐竜だったのです。
動物の絵本を描くときは、動物園に通ってスケッチしたり骨格を調べたりして、実物の体のつくりを理解したうえで、絵本のキャラクターとしてデフォルメしていくように心がけています。
でも今回は恐竜。生きて動いているところを見てデッサンすることはできません。でも、化石で骨格を見ることはできる、と、福井県立恐竜博物館へ取材に行きました。
■世界最大級の恐竜博物館の“生き生きとした骨”
そこでは圧倒的な感動に包まれる体験をしました。
生き生きとした骨、というのも変なのですが、照明やポージングが素晴らしくて、骨をじーっと眺めていると、生きている姿が思い浮かんでくるんです。
最初は研究員の方にお話を伺って勉強したり、じっくり観察して骨の数を数えたり、骨のつきかたで筋肉の形や動きをイメージしたり。
そのあと床に座り込んで、スケッチブックに鉛筆を走らせて描いていったのですが、まるで紙に沈んでいくような感覚で恐竜の世界に入り込んでいきました。
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紙からはみ出す部分は新しい紙をつないで描いて床に並べたり。夢中になって描いていたので、気づいたら観光客の方に、「この人は一体・・・?」と訝しまれていました(笑)。
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