「超絶改造!5月号付録ピアノペンケースが、スゴ技で『テクノマシーン』に進化」の記事が、おかげさまで大きな反響を呼びました。
音楽ファンの間で、『小学一年生』付録がこんなにも愛用されていたということを知り、編集部も驚いています。
小一編集部員は好奇心をくすぐられて、「どんなふうに使われているのか、もっと知りたい!」と思い、サウンドデザイナーの香川光彦さんにうかがうことにしました。
香川さんは、ラジオ、オンライン・メディアを中心に音楽関連の企画・制作をされている方です。
『小学一年生』2016年5月号も、いち早く手に入れて、改造を施してくれました!
そんな音楽畑の人に、『小学一年生』の付録「ピアノペンケース」はどのように見えているのでしょうか??
--音楽制作のプロとして、『小学一年生』の音楽系付録の、どのようなところに注目されているのでしょうか?
小学館の学習雑誌『小学一年生』は、これまでも「ゆびピアノ」など面白い付録が出ていましたので、ずっと注目していました。
※編集部注:「ゆびピアノ」は『小学一年生』2011年4月号などの付録としてつき、大好評を博しました。
音楽クリエーターにとっては、音さえ出ればどのような表現も可能です。
「トイ楽器」と呼ばれる玩具の楽器は、出せる音が限られるだけに、自由な発想で「どれだけ自分のアイデアを生み出せるか」が勝負の分かれ目となります。だからこそ、クリエーターとして力量が試されるのです。
--なるほど。具体的には、音楽クリエーターの方々は、「ピアノペンケース」をどのように活用されているのでしょうか?
具体的な事例が良いと思うので、自分がよくやっている活用法について簡単にご紹介します。
まず、音を外部機器に出力する仕組みを付けることが改造の第一歩となります。
外部機器に音を出力できるようになれば、シンセサイザーの発信機として使えるようになるのです。
そうして、「ピアノペンケース」から外部機器に出力した音は、他のシンセサイザーのフィルターや、エフェクター(音色を加工する装置)をつないで、加工できるようになるのです。
--「ペンケースピアノ」の音を、どんなふうに加工するのでしょうか?
最近では、入力した音そのものを、全く別の音色に変えてしまうものもあります。iPhoneにつないだり、音声を電圧に変換してシンセサイザーを鳴らしたりと、試行錯誤しながらおもしろい音を作り出しています。
こういった改造を付すことは「サーキット・ベンディング」と呼ばれているんです。
トイ楽器を改造するホビー分野として世界的に人気があるもので、コンテストなども行われているんですよ。
付録の楽器を改造することが、海外でも認知されていて、ジャンル名まで付いているんですね! 楽しそうですが、なんとも奥が深そうですね!
『小学一年生』付録が、いつの日か、世界中の音楽ファンの間で活用される日が来るといいなと編集部は願ってます。
■香川光彦:
プロデューサー、サウンドデザイナー。ラジオ、オンライン・メディアを中心に音楽関連の企画・制作を主に、アメリカの電子楽器メーカーのテクニカル・アドバイザーとして参加。電子楽器の自作の著書をはじめ、ディズニー/ルーカス/マーベル関連のライターとして書籍への寄稿を行っている。2014年ミュージックハッカソンにて「脳波による自動作曲」をテーマにGizmode賞受賞。
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