人気アナウンサー魚住りえさん「このままでは終わらない」東京への憧れ

UozumiRie1

みんな一年生だった

フリーアナウンサーの魚住りえさんは、現在、スピーチデザイナー、ボイスデザイナーとしても活躍。「魚住式スピーチメソッド」では、話し方を磨くための指導を行なっています。

インタビューの1回目では、ピアノ漬けだった日々や、優秀な姉と競争の中で限界を感じたことなどを語っていました。

今回は、子どもの頃から声で表現することが大好きだった魚住さんが、キャスターにあこがれて放送部に入り、アナウンサーという目標を達成するまでの道のりについてうかがいました。

>> 第3回:子どもに届く話し方、上手な朗読とは?

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■キャスターを目指して放送部へ

ピアノをやめた後はだいぶラクになりましたね(笑)。

ただ、今までピアノを弾いていた分、時間ができたので、次は何をやろう、何を目指していけばいいんだろうって考えて。

ある日、テレビを観ていたらNHKで女性キャスターがニュースを読んでいる姿が映っていて、すごく美人だし読み方も伝わるし、キャスターって素敵な職業だなと思ったんです。

それで、自分もマイクの前で話してみようと、放送部に入りました。生まれて初めての部活動です。そこでNHKのコンテスト(NHK杯全国高校放送コンテスト)があることを知り、コンテストに出て全国優勝したいという、新たな目標が見つかったんです。放送部の扉を叩いたことで、道が開けたような気がしました。

ピアノでは認めてもらえなくって、私ってダメだなって落ち込んだりもしたんですけど、やっぱりこのままで終わりたくないって気持ちもあったんですね。

あと、姉がブリュッセルに留学するときに家族で東京まで見送りに行ったんです。そこで初めて東京という街を見て憧れました。ピアノをやめる前でしたが、「私は他の職業で東京に出るんだ!」って決心もあって、あまり引きずらずにすぐに新しいことに目を向けられました。

■コンテストで全国3位になったのに母は…

放送部もすごく大変でした。主たる活動が、コンテストで入賞することで、それを目標に練習するんです。

朗読の課題図書が何冊かあって、その中からどれでも1分半以内に読める部分を探すんですね。1分半で、聞いている人の感情や想像がワッと動くような文章を選んで切り取らなきゃいけない。時間をオーバーしたらもちろん失格です。そのための練習もハードでしたね。

声を大きくするためにはやはり腹式呼吸をマスターすることが大事なので、腹筋を鍛えたり、何度も何度も同じ箇所を声に出して読んでみたり…。

私は優勝はできませんでしたが、全国で3位になりました。嬉しくて母に電話したら、そっけなく「あ、そうなんだ」と言われて…。まだ私は認められないのか! と。

後で聞いたら、母は感激してどうしたらいいか分からなくてそんな態度になってしまったらしいんですけど。それを知ったのは、つい最近です(笑)。

■アナウンサーを選んだのは会社員だから?

DJとか歌手とか声優とか、他の声の仕事にも興味はあったんですけど、その中でアナウンサーを選んだのは…会社員だからですね(笑)。でもすごく難しいじゃないですか、キー局のアナウンサーになるのは宝くじが当たる確率くらい低いって言われてましたから。

私は顔やスタイルじゃなくて、アナウンスメントで採用してもらったんです。「お前は明日からでもすぐ読めるから」って。ピアノをやめて放送部に入って、音声表現の礎はそこで一生懸命技術を学んだことで培われたのですが、それがこうして生かされてつながっていったので、ラッキーでしたね。

とはいっても失敗はいろいろやってるんですが…(笑)。他の人は初めからできるのに、私だけはできないことがあったりとか。「何で魚住はできないの?」って。できるようになったのは慣れですね、やっぱり。

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魚住りえ(うおずみ・りえ):
1972年、大阪府出身。広島で育つ。95年、日本テレビにアナウンサーとして入社し一躍看板アナに。現在は約25年にわたるアナウンスメント技術を生かし、スピーチデザイナー、ボイスデザイナーとして活躍中。

撮影/タナカヨシトモ ヘアメーク/畑野和代 取材・文/川辺美奈子

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