フリーアナウンサーとして活躍する魚住りえさん。
前回のインタビューでは、子どものころから「声で表現すること」が大好きだった魚住さんが、高校時代放送部でアナウンス技術を磨き、みごとキー局アナウンサーという夢を叶えるまでのお話をうかがいました。
3回目は、「魚住式スピーチメソッド」を立ち上げ、話し方を磨くための指導も行なっている魚住さんが、子どもに届く話し方や、上手な朗読の方法を伝授してくれます。
■赤ちゃんに笑いながら話しかける声で
声の仕事をやってきて感じたことは、子どもに対して親がちゃんとした発音で話しかけたり、本を読んだりしてあげなきゃいけないということです。親が意識して、気をつけてあげるといいかもしれないですね。
具体的に言うと、口角を上げて笑いながら話すと舌が宙に浮いて滑舌がよくなります。それだけですごく耳心地がよく、きれいな音質になるんですよ。ご自分の声を録音して、聞き比べてみるとはっきりわかると思います。口角を上げると、3千ヘルツの音になると言われてるんです。
お母さんが赤ちゃんにニコッと笑いながら「どうしたの?」って話しかける、あの声と同じです。人間にとって居心地のいい声という認識があって、この声で話しかけられると安心するといわれているんです。
だから、お子さんに読み聞かせをしてあげる時も、口角を上げて3千ヘルツを意識して読んであげると安心すると思います。
ずっとやっているとちょっとほっぺたが痛くなりますけど、頑張ってみてください。カロリーも消費できます(笑)。
■朗読は、まず感情を爆発させてみる
上手な朗読の仕方ですか?
素晴らしい朗読っていうのは、自分で一度感情のままにワーッと好きなように読んでみることです。泣くほど感動したり、笑ったり。感情の枝葉を1回バーッと生やして、次にそれを意識して、枝を全部切るんです。
そして残った幹だけで表現すると、素晴らしい朗読になります。なので先に自分が感動して、楽しんで、一回爆発させたほうがいいんですね。
人前で朗読するときはその感情をあえて捨てて読む。これが一番、人を感動させます。
だけど、子どもって感受性が豊かなので、難しいことは抜きにして感情に任せて読んでみてもいいんじゃないかと思いますね。
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魚住りえ(うおずみ・りえ):
1972年、大阪府出身。広島で育つ。95年、日本テレビにアナウンサーとして入社し一躍看板アナに。現在は約25年にわたるアナウンスメント技術を生かし、スピーチデザイナー、ボイスデザイナーとして活躍中。
撮影/タナカヨシトモ ヘアメーク/畑野和代 取材・文/川辺美奈子