昭和49~56年に小学館の学年別学習雑誌『小学一年生』〜『小学六年生』に掲載された人気連載少女まんが作品のベストセレクションコミック『メモリーズ☆昭和の少女まんが』が好評発売中です。
ここに掲載された懐かしい漫画の作者たちの「現在」と「あのころ」についてインタビューします。
今回登場するのは、『ハーイ!まりちゃん』シリーズの上原きみこ先生です。
上原先生は現在も、バリバリの現役生活を続けているご様子です。
■まんが家生活50周年! 今も毎年山登りに
シンプルな机で、まんがと向き合う先生
上原きみこ先生は、秋田書店から発売されている「フォアミセス」で、毎月『いのちの器』をかれこれ25年ぐらい連載中。数年前には、まんが家生活50周年を迎えました。
小学館では「少女コミック」や「ちゃお」で仕事をしていたことがあるので、今その雑誌がとてもがんばっているのを見て、「昔、あそこでレギュラーで描いていたのよ」と言えるのがとても嬉しいとのこと。
プライベートでは、昔「ちゃお」で描いていた『こちら愛! 応答せよ』の影響でずっと山が好きだと言う上原先生。毎年、妻籠や尾瀬、上高地などいろんなところに山登りに行っています。
■バリバリの現役、上原先生
「あとは、毎日の楽しみといえば、パチンコかな」と笑う上原先生。
毎月『いのちの器』という作品1本という仕事量ですが、「月初めからネーム(まんがの構成を考える、下描きのようなもの)をやって、作品の完成が17~18日ぐらいになるの。そのあとカラーの仕事が入ったりすると、その合間に家事をしなきゃいけなかったりして。で、ハッと気づいたら、また次の号のネームに入るって感じだからね」と聞いている限り、のんびりも過ごしていられない様子。
その理由として、年齢とともに描く速度が遅くなってるからとのこと。
「昔の倍くらい、時間がかかっちゃってる。以前なら、40ページの下描きを1日半~2日でできたけど、今は3日はかかる。自分でももどかしい。ペン入れも2日半~3日で終わっていたのに、今は最低でも4日はいるからね」。
いやいや、上原先生、それでも十分早いですよ。と思ったらやはり、編集者にも上原先生ほどの猛スピードの人はいないと言われるらしいです。
■50周年でも、こだわりは捨てない
そんな上原先生、作品を描くにあたって、速度だけでなく、ほかにも変化があったそう。
「ペン入れよりも、下描きのほうが時間がかかるようになった。下絵って大事じゃないですか。キャラの表情とかコマ割り、立ち位置とか。
昔は締め切りに追われて、ワーッと絵を入れていたけど、最近は『このキャラは泣き虫だから、こういうときは泣き顔っぽくなるのかな』とか、『こいつは弱虫だから、こういうときは既に逃げ腰になっていそう』とか。
そんなふうにいろんなことをひとつひとつ考えて、思い入れしずぎちゃってるから、結構時間がかかってるのかもね」。
現在もバリバリまんがを描き続ける上原先生の、作品に対するこだわりや優しさを垣間見た瞬間でした。
インタビュー・ライター:長澤優美子
続いて、学年誌に漫画を連載していた当時のお話もうかがいました。