自由だから、何でもありなのに、そこでブレーキをかけちゃうのはやめてほしいなと思いますね。
子どもがせっかく思いついたのに、親にそう言われちゃうと、なんだか身もふたもないですよね。子ども自身がおもしろいと思ったことや、疑問に思ったことをやるのが一番いいと思うんです。
だから、そこは「よし、一緒にやってみよう!」と言ってほしい。そこで、「ええ!? それは無理だよ」なんて言われちゃうと、子どもはもう何も出てこなくなっちゃいますよ。
「これどうかな?」「ここはどうやってまとめたらいい?」と子どもが相談してくるのに対して、「すごくいいね! ここをこうしたらもっと見やすいんじゃないかな」とか、「こんなのもどうかな?」といったやり取りを繰り返しています。会社で編集部員相手にラフチェックしているのと変わらないな、なんて思うことがあります(笑)。
誤解されがちなのは、実験したり観察したりすることが自由研究だと思ってしまうこと。実験や観察自体は自由研究とイコールではないんですよね。
実験し終えたところで、「ああ終わった」と思っちゃうんですけど、じつは出発地点に過ぎない。どうまとめるか、不要な要素は捨てて、残ったものをどんなふうに並べて、どんなふうに見せようか、というところが大きなポイントになると思います。
僕たちがデイリーポータルZでやっている企画は、世の中の役に立つようなことではないし、ただ「なるほど!」とか、「おもしろいな」と思ってもらえればいいと思っている。
だから、ライターさんには「過程はわかりやすく簡潔にしてください」とお願いしています。最初に仮説を立てて、どういう検証方法にするかを決めて、「では始めます」みたいなね。
子どもに失敗させたくないという親の思いが「これ、むりなんじゃない」「やめたほうがいいよ」と先回りして言ってしまうこともある。でも、失敗してもいいんです。どうして失敗したかをまとめれば立派な自由研究ですよね。
でも、失敗は失敗で意義はあるのかなと思っています。たぶん、読んだ人は同じことをやってみようとは思わないでしょうからね。
対談から見えてきた自由研究制作ポイントのまとめ
- 生活すべてが自由研究。生活のなかで疑問に思ったことを検証する。それを軸にすれば、おもしろい自由研究になる。
- それを大人になってもやっている人がいる。これは、子どもにとっては励みになる……かも?
- 自由研究は社会人になって役立つプレゼン力を培うことにつながるはず。
- 失敗してもいい。失敗にも意義があるし、失敗の過程をまとめれば自由研究になる。