小1のお父さん・お母さん世代に人気のウェブサイト「デイリーポータルZ」と、学習雑誌『小学一年生』が、平成最後の夏、なぜかコラボしました。(コラボの理由がわかる、『小学一年生』編集長との対談はこちらをご覧ください)
この記事は、「デイリーポータルZ」の編集長が、よいこのみなさんのために書いてくれたものです。
「デイリーポータルZ」は納豆を1万回かき混ぜたり、長い糸電話を作ったり、毎日自由研究みたいな記事を載せているサイトだ。しかも16年も続いている。
そんなサイトの編集長である僕から自由研究の裏技を教えたいと思う。
自由研究の困ったところは、かけた時間と結果が比例しないことだと思う。算数のドリルはやったぶんだけページが進むのに。
でも自由研究はすごく時間をかけたけど、ぜんぜん花が咲いてくれなかったりする。かと思えば一晩でカブトムシがわんさかとれてしまうこともある。
どうしよう~と頭を抱えても締切は来る。
でも大丈夫!提出するときにちょっとした技を使えばかっこよく見せることができるのだ。
11のテクニックにまとめたので全部覚えて欲しい。
筆者:林雄司
(デイリーポータルZ編集長)
1.「できないことがわかりました」と言う
おたる水族館でペンギンのショーを見たことがある。でもペンギンはまったく飼育員の言うことを聞かないのだ。勝手に歩きまわったり、ジャンプしなかったり。
最後に飼育員が「ということで、ペンギンは言うことを聞かないということがお分かりいただけたと思いますー」と言うのだ。
なるほど!
鳥だから人の言うことを聞かないのだ。
自由研究もできることだけがゴールじゃなくて、「できない」ことを知るのもまた成果だ。
なにかを観察していても全く変化がなくても落ち込む必要はない。「変化しないことがわかりました」と書けばよい。
2.自分も観察対象にしよう
観察した結果、何もなかったんじゃなくて、やらなかった。途中で飽きちゃったときはどうするか。こう書こう。
「僕は途中で放り出すことがわかりました」
観察の対象は自分ということにすると、こういう結果もありになるのだ。
「アイスを毎日食べる」「寝る」など簡単な習慣と並べて書くと
観察 ✕
アイス △
寝る ◯
と対照実験のように書けるのでもっともらしさが増すぞ。自分ができないことを知っている人間が一番強いのだ。
と偉い人が言ってそうだけど、知らない。
3. 今後の検討課題にしたい
調べたところ、微妙な結果になってしまった。一定の傾向が見いだせず、そう言えるような言えないような曖昧な結果になることはよくある。
そのときはこのフレーズの出番だ。
「今後の検討課題にしたい」
科学はスカッと結果が出るものではないのでぜんぜん恥じることはないぞ。
今後はたぶん来年の自由研究だ。
4. グラフを使う
とにかく図を使おう。コツはシンプルじゃないグラフにすることだ。
下はデイリーポータルZに掲載されたグラフである。反発力が高い・低いのただの一軸のグラフなのに円がだんだん大きくなって盛り上がっている感じがする。
でも気のせいだ。
それから、数字にならないものもグラフにすることができる。
これはデイリーポータルZのライター、べつやくれいさんが発明した円グラフである。ただのそのときの感情を円グラフにしいている。円グラフはそういうものではないのだが、自由研究の結果がかっこよくなる。
四象限分析という方法がある。詳しく説明すると面倒なので、要は十字で分けた4つのエリアになにか分けて書くことだと思っておけばいい。それだけでもっともらしくなる。
ベン図
ふたつの集合がどれぐらい重なっているかを示す概念図だけど、これも見てもらったほうが早いだろう。
これが中華料理屋さん。ライスとラーメンが重なっているところがラーメンライス。3つ重なっているところがそれに餃子がついたセットだ。ボリュームセットだね。
この記事では立体にしていたけど、ここまでやる必要はない。でもやったらヒーロー間違いない。