【絵本作家インタビュー】荒井良二さん:子ども達に「いい日だった」と眠りについてほしい

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絵本『そりゃあもういいひだったよ』(2016年2月26日発売)は、ハッピー満タンの物語。

作者の荒井良二さんに、この絵本に込めた思いを伺いました。

ぴっかぴかえほんいいひカバー入稿

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ぴっかぴか絵本シリーズ
『そりゃあもういいひだったよ』
作・荒井良二
小学館・刊

詳細は、こちらのページをご覧ください

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■世界中でいちばん愛されているぬいぐるみの動物は、クマ!

ぬいぐるみのクマって、小さな子どもがいる家にはおそらく一つはあると思うんです。

実際に、世界中でもっとも愛されているぬいぐるみの種類はクマらしく…。

そのクマが本物のクマに出会ったら、ものすごいカルチャーショックを受けるのかなと考えたことから、今回の絵本『そりゃあもういいひだったよ』は生まれました。

以前、読んだ本に、人間とクマはかつて対等だったと書かれていました。

僕が去年、山形ビエンナーレという芸術祭に携わるなかでも、東北の山岳信仰を知り、クマの話もいろいろと出てきまして。

人間とクマは古くから深い関わりがあるそうなんです。それもあって最近、頭の中にクマがずっといました。

ぬいぐるみのクマが、本物のクマに会うことになったら、どんな気持ちになるのか。会ってどんな話をするのか…。

「人間におそれられている僕たちのイメージを、良くしてくれてありがとう」とか、お礼を言われているかもしれないですね(笑)。

 

■小学校に上がった途端、僕は学校に行けなくなった

絵本に関しては、いつも子どもの頃の自分に向けて描いているところがあります。

僕は小さい頃から絵ばかり描いていて、すると自分も周りも安心して、絵がコミュニケーションの道具にもなったのですごく楽でした。

 

小学1年生のとき、僕は学校に行けない時期がありました。

家が小学校の隣だったものだから、教室の窓から家が見える。朝のホームルームが終わる頃には、家に帰りたくなっちゃって、勝手に早引けしたり。

そうこうしてるうちに、次第にごはんも食べられなくなり、ついには栄養失調と診断されました。

いまだに理由はわからない。自分の気持ちを説明できる言葉を持っていなかったのかもしれません。

でも、僕には絵があった。

その時期、担任の先生が放課後になると家に様子を見に来てくれて。絵が得意ならと学芸会の絵を描かせたりとか。

引っ込み思案なのに目立ちたがり屋な僕の本質を見抜いたんでしょうね。おかげで気付けば学校に行けるようになっていました。

親は心配だっただろうけど、僕もこうして大人になっているわけだから、学校に行けないのは、案外大したことではないんですよね(笑)。

 

■子ども達には「いい日だった」と言って眠りについてほしい

僕は絵本を描き始めてから、子ども達とワークショップをたくさんやってきましたが、彼らは生きるエネルギーの塊。

放っておいても前に進んでいくポジティブさを持っている。

そんな子ども達に、「人生って悪くないよ、案外いいよ」と伝えるのが大人の役目だと思うんです。

 

3・11の震災後、何度も東北に行き、そのことをより強く思うようになりました。震災直後の子ども達は、憔悴した大人達に気を遣っていた部分もあってか、意外なほど元気にしていたけれど、4年が経ち、吐き出せない思いが溜まってきている気がします。

でも、だからこそ、小さな出来事でも毎日、キラリンとしたものを見つけてほしいなと。

子ども達が寝る前には、「そりゃあいいひだったよ」と言ってほしい。僕にとって、そういう思いを伝えられるものが、絵本なんですね。

(取材・文/宇田夏苗)

 

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Profile・あらい りょうじ

1956年、山形県生まれ。日本大学芸術学部美術学科卒業。1990年に処女作『MELODY』(トムズボックス)を発表後、数々の絵本、挿画を手掛ける。アストリッド・リンドグレーン記念文学賞(2005年)をはじめとする国内外の賞を多数受賞。

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