山口県の「てしま旅館」は、捨て猫を一時的に預かるシェルター、「猫庭」を運営しています。
この猫庭の小さな館長が、小学4年生の手島姫萌(てしまひめも)さんです。姫萌さんは、1年で100匹以上の猫の里親を見つけ、命を繋いでいます。
(『小学一年生』2018年4月号では、お子さん自身の興味関心を突きつめ、それぞれの「すごい!」を実現した小学生を紹介する「すごいぞ!スーパー小学生!」記事を掲載しています。 本誌もあわせてご覧ください。)
■きっかけは、捨て猫をひろったことから
姫萌さんの猫好きは、小学1年生のとき、近所に捨てられていた猫を家に持ち帰ったことからはじまりました。ところが、お父さんが大の猫嫌い。家族の猛反対にあうものの、「自分で面倒を見るなら」という条件付きで猫を飼う許可をもらいました。
それからというもの、「めのわ」と名付けられたこの猫に魅了され、お父さんを含めた家族全員、大の猫好きに。その一方で、山口県の猫の殺処分数がとても多いという問題点も知るようになりました。
■捨てられる猫たちを、なんとかして救いたい
捨てられ、保健所に送られる猫をなんとかしたい。お父さんと姫萌さんは、旅館の一部を改築し、捨て猫を一時的に預かるシェルター「猫庭」を作ることにしました。
ここで猫を保護しながら、里親を探し、受け渡すのです。姫萌さんは、小学生ながら「館長」の大役を務めることになりました。
■大忙しの毎日
姫萌さんは毎日大忙し。猫庭で預かっている20匹すべての猫を、お世話します。毎日のトイレや床掃除、餌やりはもちろんのこと、休みの日も爪切りやブラッシング、猫のオモチャ作りにいそしみます。
猫庭にやってきたばかりの猫は、病気にかかっていたり、ケガをしたり、体調を崩していることが少なくありません。猫が餌を食べているか、便の状態や、くしゃみ・目やにはどうか…、健康状態をこまかく日誌に書き込みます。
どうしても回復しない猫がいたら、お母さんに頼んで動物病院へ連れて行ってもらいます。「最初は、猫の世話より友だちと遊びたいと思うこともありました」と振り返る姫萌さん。今は、猫庭の仕事を優先しているそう。
▲具合の悪い猫への投薬の記録をする猫庭日誌。
日誌への書き込みが減ったのは、猫が元気になった証拠。
▲「この子はこんな帽子をかぶせてもぜんぜん嫌がらないんですよ」
20匹すべての猫の性格を熟知している姫萌さん。
■里親が見つかったときはすごくうれしい。…でも、ちょっぴり寂しい
姫萌さんは20匹すべての猫に名前をつけ、性格や特徴もしっかり頭に入れています。 「この子は、人見知りしないですよ」「この子はおなかに大きなこぶがあって…」 猫庭にやってくるお客さんとコミュニケーションを取りながら、その人にあった猫を紹介します。
里親が見つかったときは、猫の命が救われた、いちばんうれしい瞬間。「…でも、本当は寂しくってこっそり泣いちゃうこともあります」そう、愛情をもって育ててきたからこその、複雑な心境をのぞかせる瞬間もありました。
■獣医さんになって、多くの命をすくいたい
もともとは動物好きでなかったという姫萌さん。猫のお世話をするようになってから、他の動物にも興味を持つようになりました。将来の夢は、獣医さん。もっともっと多くの動物の命を救うことが目標です。
姫萌さんの命を救う活動は、これからもまだまだ続きます。
手島姫萌(てしまひめも)さん
『小学一年生』認定スーパー小学生。
山口県の小学4年生。 好きな教科は国語(とくに作文が好き)。いま頑張っていることは柔道。実は、尻相撲が強いという隠れた特技も。
(写真/平田貴章)
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