エステサロンのロゴ、運動靴のデザイン…。精密な幾何学模様がたっぷりと描き込まれたこれらのデザインを手がけたのは、なんと小学5年生。
1本のペンだけを武器に一心不乱にデザインにのめり込む松本新菜(まつもとにいな)さんは、企業や自治体からも依頼が舞い込む、スーパー小学生です。
(『小学一年生』2018年4月号では、お子さん自身の興味関心を突きつめ、それぞれの「すごい!」を実現した小学生を紹介する「すごいぞ!スーパー小学生!」記事を掲載しています。 本誌もあわせてご覧ください。)
■デザインの原動力は、人が喜ぶすがた
建築家のお父さんがスケッチをしている様子を見て、絵を描き始めた新菜さん。保育園では、迷路を作って友達と交換して遊ぶのが流行っていました。もっとたのしく、もっと細かい迷路をつくって友達を驚かせたい! 迷路作りに没頭していくうちに、幾何学模様のようなデザインに目覚めます。
9才のとき、病気で入院することになった新菜さん。退院の際、お世話になった担当医に絵をプレゼントします。渡した絵は、「すごい!」「うれしい!」と大絶賛されました。
「自分の絵やデザインで、人を喜ばせることができる。」それ以来、友達の誕生日などに、絵を描いてプレゼントするようになりました。
「この長靴は、おばあちゃんのためにデザインしたんです」最近では、親戚や友達から絵をせがまれることも多いのだとか。周りの人の喜ぶすがたが、新菜さんの創作の原動力になっているようです。
▲保育園のときに書いていた迷路。
細かさを追求していくうちに、 だんだんと現在の複雑な幾何学模様デザインに目覚めていった。
▲おばあちゃんのために長靴に直接デザイン。
■小学生ながら、ひっぱりだこのデザイナーに
小学3年生のとき、SNSに作画のようすをアップしたことで、新菜さんの才能を見いだした企業や自治体、飲食店などからのデザイン依頼が舞い込みます。
わずか2年ほどで、エステサロンや飲食店の看板・ロゴ、運動靴やTシャツのデザインなど、数々のデザインを手がけてきました。
新菜さんのデザインの特徴は、いくつものパターンが織り込まれた複雑で精密な模様。
この日、「小学一年生」の文字もデザインしてもらいました。お父さんが鉛筆でざっくりと書いたアウトラインの中に、黒い水性ペンですらすらと図案を埋めていく新菜さん。下書きもなければ、迷う様子もありません。途中で休むこともなく、わずか30分たらずでデザインを仕上げてしまいました。
「頭の中に浮かんでくるデザインのパターンを、次々に組み合わせていきます。ただ単に描いていくだけじゃなく、全体のバランスが美しくなるように気をつけています」
できあがったデザインは、見れば見るほど緻密に描き込まれていて、新菜さんの創り出す独特の世界観にぐっと引き込まれてしまいます。
■デザインからファッション、空間デザインまで…
真剣な表情でデザインに打ち込むようすとは反対に、ふだんはおっとりとした話しぶりの新菜さん。面倒見の良いお姉さんでもあり、取材中も2才の弟、哲新くんに「はやくあそぼうよ〜」とせがまれていました。
好きな教科は、「総合」と「学活」。課題をきれいにまとめることが得意です。学校のノートも、イラスト付きでわかりやすくまとめられています。「図工も好きなんですけど、お題とかが無くって、自由に描けたらもっとたのしいのになぁって思います」
これまでは黒一色でデザインすることの多かった新菜さんですが、最近はカラフルな作品も作り始めています。特技はレゴブロック。空間設計から、壁や家具の色味まで、すべて新菜さんのオリジナルです。
将来の夢は、「ファッションデザイナーか、レゴビルダー」。 とどまること無くその創作の世界を広げていく新菜さんの今後の活躍に期待です。
▲レゴブロックでいろんなものを作るのがだいすき。
松本新菜(まつもとにいな)さん
『小学一年生』認定スーパー小学生。
兵庫県の小学5年生。 好きなアーティストは草間彌生。 まんがも大好きで、『うちの3姉妹』が愛読書。
(写真/平田貴章)
【関連記事】