岡山県随一の観光名所、「後楽園」。 小学4年生の川上拓土(かわかみたくと)くんは、ここで観光案内のボランティアをしています。
驚くなかれ、拓土くんが相手にしているのは、日本人ではなく外国人。なんと彼は、英語を駆使して観光案内をする、スーパー小学生なのです!
(『小学一年生』2018年4月号では、お子さん自身の興味関心を突きつめ、それぞれの「すごい!」を実現した小学生を紹介する「すごいぞ!スーパー小学生!」記事を掲載しています。 本誌もあわせてご覧ください。)
■赤ちゃんのときから英語の「音」に触れる
拓土くんが英語に触れ始めたのは、生後半年のとき。幼児用英語教材にあったDVDや絵本に繰り返し親しんでいるうちに自然と英語を習得。5才になるころには、英語の絵本1冊を読めるまでに。
英語を好きとか嫌いと感じる前から、英語の「音」が周りにあったので、決して特別なものではなく、勉強でもなかったのだとか。イングリッシュカーニバルやサマーキャンプなど、英語イベントにも積極的に参加し、ますます英語が身近なものになっていきます。小学2年生のときには英検2級に合格するほどになりました。
■英語をもっとしゃべりたい。でも、話す相手がいない。
せっかく話せるようになった英語ですが、まわりには英語を話せる人はほとんどいません。
「英語で誰かとしゃべってみたい!」 拓土くんは町で外国人を見かけると、「Hello!」と積極的に話しかけてみました。
すると、外国の方は目線までしゃがんでくれ、決まって「あなたとっても英語が上手ね!」と大げさに褒めてくれたそう。その時のうれしかった気持ちが、「もっと、英語でお話したい!」という意欲と自信を育てました。
■「食虫植物」について説明されても…
ただ、ひとつ問題がありました。外国の人と話す「話題」を何にするかです。拓土くんは、当時興味を持っていた「食虫植物」のことを一生懸命英語で説明していました。
しかし、突然ヘンテコな話題で話しかけられた外国人観光客は、面食らってしまうことがしばしば。 そこで、お母さんはこうアドバイスしました。 「せっかく観光に来ているのだから、あなたが英語で観光案内してあげるのはどう?」
■英語で観光案内をしよう!
拓土くんは、お母さんのアドバイスをもとに、後楽園で英語ガイドをすることにしました。まずは、資料や園内ガイドを読み込んで後楽園について勉強。得た知識を英語で資料にまとめます。
そして、話しかけられやすくするために、「どんどん英語で話しかけて!」と書かれたベストを作りました。
▲後楽園について英語でまとめた資料。
観光案内を始めたばかり のときは、この資料を持って説明していた。
▲特製のベスト。ベストや帽子には、案内した外国人のサインがいっぱい。
取材の日、午前11時から後楽園入りした拓土くん。全体を一望できる小高い丘へ登ると、外国人観光客を探します。
「あ!あそこにいるの、そうかも!」それらしき人を見つけると一目散に駆け寄って、自ら話しかけに行きます。この日は2時間たらずで、合計8組もの外国人を案内できました。
■英語は「勉強」するものではなく、「楽しむ」手段
拓土くんを突き動かしているのは、あふれ出る英語への興味と好奇心。上達すればするほど楽しめるものが増えていくのが嬉しいのだそう。
英語でみた映画「ナイトミュージアム」でアメリカ大統領に興味を持ち、英語で書かれた大統領の絵本を読む…など、英語を介して数珠つなぎ的に好奇心や知識欲が広がっていきます。
今後の目標は、英語で「落語」ができるようになること。後楽園で一席披露できる日も近いかもしれません。
川上拓土(かわかみたくと)くん
『小学一年生』認定スーパー小学生。
岡山県の小学4年生。 ラッキーナンバーは「3」。将来の夢は英語で書く漫画家。
(写真/平田貴章)
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