■小学生のみが応募できる「12歳の文学賞」
小学館が開催している、子どものための新人公募文学賞である「12歳の文学賞」。名前のとおり、満12歳以下の小学生のみが応募できる文学賞として、2006年から12回にわたって開催されてきました。
その「12歳の文学賞」が、12歳となる今回、ついに卒業を迎えます。
「12歳の文学賞」は、「小説部門」と「はがき小説部門」の2つの部門があり、いずれもテーマやジャンルは自由となっています。そのため、これまでにも形式にとらわれないのびのびとした発想の作品が登場しました。
中には、この賞への応募がきっかけで「書くことの楽しさ」に目覚めた小学生も多く、2017年にデビューした中学生小説家の鈴木るりかさんは、「12歳の文学賞」出身の作家です。鈴木さんは、小学4年生から6年生まで史上初の3年連続大賞を受賞し、受賞作をまとめたデビュー作『さよなら、田中さん』には、大賞受賞作の2作も収録されています。
■「小説部門」と「はがき小説部門」の入賞作を発表
最後の募集となった「第12回12歳の文学賞」。応募総数は、小説部門が729作品、はがき小説部門が、1025作品でした。
審査員を務める人気作家のあさのあつこ先生、石田衣良先生、西原理恵子先生らによる厳正な審査の結果、3月1日に、大賞をはじめとした優秀作品が決定しました。
「小説部門」の大賞は、山岸十和さん(6年生)の「パピ」が受賞。
主人公の「私」の祖父であるパピが、若いころヴァイオリンを学んだパリ。その祖父の思い出の地を家族と訪れた「私」は、深夜に現れたある人物と、こっそりパリ観光に出かけます。
「ハガキ小説部門」の大賞は、沼尾草介さん(6年生)の「11歳」。あと1年で、母さんから「卒業」する少年の思いとは?
その他の受賞作品も名作ぞろいです! ぜひこちらのページでチェックしてみてください。
■「12歳の文学賞」が伝えたかった物語の楽しさと書くことの楽しさ
「12歳の文学賞」は“12歳”となる今回をもって卒業となります。
「12歳の文学賞」は、子どもたちの才能を見つけ出すことだけではなく、作文が苦手な子どもでも「文章を書く楽しさ」を感じる機会を作ることを目的として、これまで続けてきました。
現在進められている教育改革のひとつとして、「表現力」が大きな課題として挙げられています。AIが活躍していく未来の世界において、人間だからこそできる表現力を、文学にふれることで、ぜひ身に着けていってほしいと思います。
これからも、小学館が発行する雑誌や小説、物語、絵本を通じて、表現力を高めるお手伝いをしながら、物語を読むことの楽しさ、そして書くことの楽しさを伝えていきたいと思います。
(ライター/相川いずみ)
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