
子どもの興味に沿った台所しごとを通じて「食」への興味を育み、子どもが自ら食べたくなる環境を整えると、食事の時間がより楽しいものに変わっていきます。モンテッソーリ教員の資格を持つ親子料理教室の先生からのアドバイスをお届けします。

Q.1 台所しごとを経験させたくても、忙しくて余裕がありません。
Q.2 上の子と台所しごとをしようとすると、下の子もやりたがって道具や食材の取り合いになってしまいます。
Q.3 冷凍食品やレトルト食品を使う場合でも、子どもが食べることに興味を持てるような働きかけはできますか?
Q.4 おやつはどのようなものを食べさせるとよいのでしょうか?
Q.5 子どもに「さやいんげんの筋取り」をお願いしたら、喜んでやってくるようになりました。でも、いつもの倍の量を用意してみたら、「やらない」と言われてしまったのですが、どうしてでしょうか?
Q.6 水やお茶をコップに入れて出すと、テーブルに中身をぶちまけて遊んでしまいます。飲みもので遊ぶのをやめさせるには、どうすればいいですか?
Q.1 台所しごとを経験させたくても、忙しくて余裕がありません。

A.
必ずしも毎日、子どもに台所しごとを経験させる必要はありません。日曜日だけでもいいですし、おうちの方が台所しごとをしている様子を「見せるだけ」でも十分です。子どもは、見るもの、聞くもの全てを吸収して成長していくので、大人がやっていることを「見せる」ことが、台所しごとや食材への興味をかきたてる第一歩になります。
また、子どもが興味を持つのは「調理」だけとは限りません。テーブルを拭く、箸やスプーンを並べる、でき上がった料理を運ぶ、お茶を入れる、食器を洗う・拭くといった作業にまで視野を広げてみると、子どもにやってもらえることを見つけやすくなります。「運んでくれて助かったよ。ありがとう」と、おうちの方が心からの感謝を伝えると、子どもは誰かの役に立てたことを実感できます。
Q.2 上の子と台所しごとをしようとすると、下の子もやりたがって道具や食材の取り合いになってしまいます。
A.
1つの作業を上の子と下の子で分担してもらおうとすると、取り合いになってしまうことが多いので、きょうだいで一緒に台所しごとをするときは「子ども1人につき1つの作業」をお願いしましょう。上の子と下の子それぞれに必要な道具を用意して、「一緒に台所に立っているけれど、一人ひとり別々の作業に取り組む」ことができるようにするのがポイントです。
それでも子ども同士がケンカを始めてしまったり、上の子の様子を見た下の子がまだ自分にはできない作業を「自分でやる!」と言い出して聞かなくなったりする場合は、子どもの台所しごとはしばらくお休みするのでもかまいません。おうちの方自身がストレスなくできる範囲でやってみることを心がけましょう。
Q.3 冷凍食品やレトルト食品を使う場合でも、子どもが食べることに興味を持てるような働きかけはできますか?

A.
子どもの食への興味を引き出すには、「おうちの方自身が本当においしいと思っているものを、子どもに少量食べてもらう」ことが大切です。それは手作りの料理でも、冷凍食品やレトルト食品でも同様です。食卓に出すときは、冷凍食品やレトルト食品の「1食分」の量を基準にするのではなく、子どもが食べ切れる量だけを出すようにしましょう。また、子どもに一人で食べさせるより、おうちの方も一緒に食べることをおすすめします。目の前で「おいしそうに食べる」様子を見せることで、子どもも「食べてみたい」という意欲がわきやすくなります。
Q.4 おやつはどのようなものを食べさせるとよいのでしょうか?
A.
1~3歳の子どもは胃袋がまだ小さく、一度にまとまった量を食べられないため、おやつは「4食目のごはん」だと思ってください。本来のおやつとは、おにぎりやふかし芋などの「食事」に相当するものであって、お菓子やジュースなどの甘いものではない点には注意が必要です。
日常的に、お菓子やジュースをだらだら与えていると、食事の時間になってもおなかがすかず、食べなくなってしまうのは当然のことです。「子どもが食事を食べない」と悩んでいたご家庭で、お菓子やジュースを家の中からなくしてもらったところ、2週間後には「食べるようになりました」という報告が届いたケースもあります。甘いお菓子の与えすぎには注意しましょう。
Q.5 子どもに「さやいんげんの筋取り」をお願いしたら、喜んでやってくるようになりました。でも、いつもの倍の量を用意してみたら、「やらない」と言われてしまったのですが、どうしてでしょうか?
A.
子どもは「最後までやり切れる量」の作業には喜んで取り組めるのですが、好きな作業でもそれが大量になってしまうと、やる気がなくなることがよくあります。この場合は、最初はいつも取り組んでいる量だけを出して筋取りをやってもらったあとに、子どもが「まだやりたい」と言うようであれば、次の袋からまた数本を出してやってもらうようにすると、無理なく取り組めることが多いです。子どもに台所しごとをお願いするときは、「準備は少量」にして、子どもがもっとやりたがったら「おかわり」を渡すようにすることを心がけましょう。
Q.6 水やお茶をコップに入れて出すと、テーブルに中身をぶちまけて遊んでしまいます。飲みもので遊ぶのをやめさせるには、どうすればいいですか?
A.
このような行動は、子どもが「注ぐ」ことに興味を持つ時期に入ったというサインです。「食事のときの自分の水やお茶は、自分でコップに注ぐ」ことを、子どもの仕事にしてみるのも一つの方法です。子どもの手のサイズに合う小さめのピッチャーに、コップ1杯分の水やお茶を入れておき、コップに注ぐ作業をお願いしてみましょう。とことん「注ぐ」をやることで子どもの「注ぐ」への執着はより早く終わります。風呂場や公園などでペットボトルに水を入れて注ぐなど、機会をたくさんつくるのもよいでしょう。
「注ぐ」ことに興味が出てきた時期は、親子でドレッシングづくりに挑戦するのもおすすめです。ミルクピッチャーなどに分量通りの油や酢を入れて、それをボウルに注ぐ役割を子どもに任せてみると、「注ぐ」体験を楽しめます。

石井由紀子先生
神戸大学教育学部卒業。2008年より親子料理教室こどもキッチンを主宰。これまでの参加者は大人と子どもをあわせ2万名以上。モンテッソーリ教員有資格者。一男二女の母。
イラスト/はったあい 文/安永美穂 構成/KANADEL
子どもの食べる意欲を引き出すには、「子どもが自分で食べたくなる」環境を整えることが大切です。『ベビーブック』2026年8・9月号「&ベビー」では、環境づくりのポイントのほか、「食べる」を身近に感じる台所しごとのバリエーションも紹介しています!
