「形」を始めると一瞬でキリリと勇ましい表情に…。高野万優(たかのまひろ)さんは、全日本少年少女空手道大会で、史上初となる6連覇を達成した注目の選手です。
(『小学一年生』2018年10月号では、スポーツで活躍している小学生を紹介する記事「すごいぞ! スポーツ1とうしょう」を掲載しています。 本誌もあわせてご覧ください。)
■迫力の「形」が話題に
新潟県は長岡市の公民館。万優さんはここで、幼稚園児や大人にまじって、週に3回空手の練習に励みます。ふだんは笑顔の素敵な、おっとりとした話しぶりの普通の女の子。
ところが、いざ黒帯を締めて道場に入ると、人が変わったかのような勇ましい表情に。見るものを圧倒させる気迫で、キレキレの「形」を披露してくれました。
万優さんの「形」の美しさは、テレビやインターネットでも話題に。「天才空手少女」と呼ばれ、CMや海外アーティストのプロモーションビデオに出演するなど、国内外問わず注目を集めています。
■負けたくないから練習を頑張る
万優さんは4歳のときに、2つ上のお兄さんの影響で空手を始めました。練習は毎日2時間。学校から帰ってきて夕飯を済ませると、お母さんの車で練習場へ向かいます。
練習前には、集まった友だちとバドミントンやドッジボールで遊ぶなど、とても和やかな雰囲気。しかし、いざ練習が始まるとそれまでの楽しげな空気が一瞬で緊張に満ち、真剣な表情で練習に取り組みます。
家でも、先生に注意されたことを思い出しながら練習。土日も、午前中は家で、午後は先生の家の道場で、みっちり練習します。
「試合で負けるのが嫌だから、とにかく練習を頑張ります」天才と呼ばれる万優さんですが、その実力は、日々の努力で作られているのです。
■プレッシャーを打ち負かす
小学1年生の時、実は全国大会予選の直前に腕を骨折していた万優さん。なんとか全国大会への切符は手に入れたものの、優勝は難しいと思われていました。
しかし日々の練習の成果で、見事に優勝。そのときを思い出し「まさか優勝できると思っていなかったので、ぽかーんとしちゃった」と笑顔を見せました。
以降、全国大会で毎年勝ち続け、2018年8月に行われた全日本少年少女空手道大会では、史上初となる6年連続優勝を成し遂げます。
毎年勝ち続けることはプレッシャーにもなる、という万優さん。「プレッシャーを打ち負かすためにも、毎日の練習を一生懸命頑張りたいと思っています」万優さんの敵は、自分の中にあるようです。
■空手をやっていてよかったこと
空手を始めたおかげで、挨拶をきちんとする、靴を揃える、服をたたむなど、礼儀作法が自然と身についたそう。家でのお手伝いもこなす万優ちゃんの担当は食器洗い。
学校でも、授業中に積極的に挙手や発言をしたり、学級委員を務めるなど活躍しています。今年の運動会では応援団長に立候補し、チームを率いて優勝に導きました。
空手をやっていると、大会でいろんなところに行くので、全国に友達ができました。その友達とは、どんな練習をしているかなど、月に1回ぐらい手紙のやり取りをしたり、遠征先で一緒に買い物を楽しんだりしているのだとか。
■空手で世界に羽ばたきたい!
2020年の東京オリンピックで、初めて正式種目に採用された空手をアピールするための、「KARATE2020アンバサダー」として、様々なイベントなどでも活躍。
今後の目標は「空手を通じて世界に羽ばたく!」こと。「東京オリンピックのときは14歳で出場は難しいかもしれないけれど、その次を目指して頑張ります」と、目を輝かせる万優さんは、すでに2024年のパリオリンピックに照準を合わせています。
高野万優(たかのまひろ)さん
『小学一年生』認定スーパー小学生。
新潟県の小学6年生。 好きなスポーツ選手はウサイン・ボルト。好きな芸能人は新垣結衣。
(取材・文/青木こずえ 写真/平田貴章)
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