2020年の東京オリンピック・パラリンピックの新競技に追加され、注目度があがっているサーフィン。そんな中、2018年6月に行われた「JOCジュニアオリンピック大会」で見事優勝を果たしたのが、渡辺壱孔(わたなべいっこう)くん。小学6年生にして、日本サーフィン連盟の強化指定選手でもあります。
(『小学一年生』2018年10月号では、スポーツで活躍している小学生を紹介する記事「すごいぞ! スポーツ1とうしょう」を掲載しています。 本誌もあわせてご覧ください。)
■とにかく海が大好き
赤ちゃんのころから海が大好きで、夏は毎日のように海に行っていた壱孔くん。4歳の頃にはボディーボードの上に立って遊ぶようになっていました。
保育園の送り迎えをしてくれていたおばあちゃんに「今日はすごく波がいいから、保育園休んでもいい?」と話していたというエピソードもあるほど、壱孔くんの海好きは筋金入り。
小学一年生の時に、地元のサーフショップのスクールに参加すると、すっかりサーフィンに魅了されました。海が好きすぎて、前の夜の風向きで翌日いい波が来るかどうかわかるという特技も。
■できる技が増えると楽しい
壱孔くんは、波があれば海に向かいます。学校から帰ってランドセルを置くと、ウェットスーツに着替えます。毎日約4時間海に入り、試合を想定した練習をしたり、技を入念にチェック。
自分が納得できる完璧なサーフィンができるまで、海から出てきません。お母さんにビデオを撮ってもらったり、サーフショップのオーナーさんに練習を見てもらうこともあります。自宅では、YouTubeなどで憧れの選手の映像を見て研究しています。
練習を繰り返すうちに、できなかった技ができるようになっていった壱孔くん。技の種類が増えると、サーフィンがもっと好きになり、どんどんのめり込んでいきました。
「大人の身長よりもずっと大きな波に乗るのはとても楽しいし、大きな波でかっこいいターンを決めた時は、スカッとしてすごく気持ちいいです。嫌なことも忘れちゃいます(笑)」こんがりと日焼けした壱孔くんは、白い歯をのぞかせました。
■世界で活躍する選手になりたい
一番最初に大会に出場したのは小学2年生の時。壱孔くんは「どうしたらいいのかわからなくて、何もできなかった」と振り返ります。
しかし、練習と大会出場を繰り返しながら技術を磨き、日本各地で行われる試合のみならず、海外の大会にも出場。小学4年生の時には、単身アメリカへと渡りました。
様々な大会に出場するうちに、友達もたくさんできました。英語はだいたい聞き取れるようになった壱孔くんですが、今後は、外国の選手ともっとコミニュケーションをとるため、英語を勉強したいと思っているそうです。
「前に日本の大会に参加していた外国人選手が、日本語がしゃべれなくて、ひとりぼっちで寂しそうにしていたんです。あの時、ぼくが英語を話すことができたら、話しかけてあげられたのに…」そんな優しい性格の壱孔くんの将来の夢は「世界で活躍するプロサーファー」です。
■自信を取り戻すのに必要なこと
試合に勝てず、思うような結果を出せない時期があったという壱孔くん。サーフィンをやめたいと思ったこともあったそう。でも勝てない原因を考えてみたら、友達と遊んでばかりいたり、練習をさぼっていたからだと気づきました。
それからは練習に集中するようになり、2017年8月に出場した全日本サーフィン選手権大会で優勝。しっかり練習すれば優勝できるということを実感し、自信を取り戻したのです。
「練習していれば、自信を持って大会に出場することができるし、自信があるから緊張はしません」壱孔くんは、自信に満ちたまぶしい笑顔で話してくれました。
渡辺壱孔(わたなべいっこう)くん
『小学一年生』認定スーパー小学生。
千葉県の小学6年生。 好きな教科は体育と理科。好きな遊びは、鬼ごっことトランプ。
(取材・文/青木こずえ 写真/平田貴章)
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