子どもの歯をむし歯になりにくい強い歯に育てるポイントは? 『ベビーブック4・5月合併号』育児特集番外編Q&A

新しい歯がどんどん生えてくるベビーブック世代。大切な歯をむし歯から守り、強く育てるために、毎日どのようなケアを行えばいいのでしょうか。むし歯予防の専門家がアドバイスします。

 

Q.1 生まれたときからむし歯菌は口内にあるのでしょうか? また、むし歯になりやすい体質、なりにくい体質というのはありますか?

Q.2 仕上げみがきは、何歳から始めればいいですか? また、歯みがき粉は使ったほうがいいですか?

Q.3 食べたら毎回歯みがきをしたほうがいいのでしょうか?

Q.4 歯並びで悩まないようにするために、何か気をつけることはありますか?

Q.5 指しゃぶりするクセがあるのですが、辞めさせたほうがいいでしょうか?

Q.6 デンタルフロスはどれくらいの頻度で行えばいいでしょうか?

Q.1 生まれたときからむし歯菌は口内にあるのでしょうか? また、むし歯になりやすい体質、なりにくい体質というのはありますか?

A.

実際のむし歯の問題となる「ミュータンス菌」は、生まれたばかりの赤ちゃんの口内にはなく、1歳7か月から2歳7か月の間に周囲の人から唾液を通してうつる細菌です。日本人の大人の90%は持っているとされていますから、誰でもむし歯になる可能性はあります。

むし歯のなりやすさは、“体質”のような遺伝的要因というよりも、“日々の口腔ケア”といった環境的要因の影響を強く受けます。ですので、むし歯になりにくい歯はおうちの方ご自身で作ることができます。歯は生えてから1年半~2年くらいかけて口の中でエナメル質を成熟させていきます。このときに歯をきれいに保つ、フッ素とキシリトールを取り入れるなどしっかりケアをすることで歯の質が強化され、むし歯になりにくい歯を作ることができます。

Q.2 仕上げみがきは、何歳から始めればいいですか? また、歯みがき粉は使ったほうがいいですか?

A.

仕上げみがきは、自分みがきと同様、まだ歯が生える前の4か月ごろから始めてもOKです。歯が生える前の仕上げみがきは、清潔な指や専用の歯ぐきマッサージブラシで歯ぐきに軽く触れる程度でOK。歯が生えてきたら歯ブラシを使ってみがきます。

最初の歯が生えたら、仕上げみがきの際にフッ素入りの歯みがき剤を使いましょう。仕上げみがきは「汚れ落とし」のためだけではありません。フッ素配合の歯みがき剤を使って仕上げみがきをすることで、歯質の強化につながるのです。

Q.3 食べたら毎回歯みがきをしたほうがいいのでしょうか?

A.

毎食が理想ですが、最低でも朝と夜の2回は食後にみがきましょう。朝はバタバタと忙しくて仕上げみがきが難しい場合は、自分みがきだけでもOK。自分みがき用歯ブラシを濡らさずにほんの少しだけ歯みがき剤をつけて渡しましょう。すすぎは不要ですが、気になる場合はティッシュペーパーなどで拭きとります。

外出などで食後にすぐ歯みがきができない場合は、キシリトールタブレットを摂ることをおすすめします。

寝ている間は唾液の分泌が減少し、一番虫歯になりやすいため、寝る前の仕上げみがきは特にしっかり行いましょう。

「歯が汚れていると気持ち悪い」という感覚を幼いうちから体で覚えることが大切なので、そのためにもいつも歯がきれいという状態を保つことを目指しましょう。

Q.4 歯並びで悩まないようにするために、何か気をつけることはありますか?

A.

歯並びで悩まないためには、アゴの骨を大きく育てることが大切です。そのために必要なのは、食べるときの姿勢です。足の裏をしっかりと床につけて食べるようにしましょう。足がぶらぶらしている状態に比べて、固定されている状態は、嚙む力が15~20%程度上がることがわかっています。毎日の積み重ねなので、テーブルで食事する家庭では足を置く板があるキッズチェアに座るようにしましょう。

また、日ごろの食事でよく噛むことも大切です。理想は1回につき30回噛むことです。そのためには胃袋を大きく育てるといいでしょう。日ごろから外遊びなどでたくさん体を動かして「お腹が空いた」という感覚を持つことで胃袋が育ちます。

「硬いものをよく噛むとアゴが育つ」と言われていますが、無理に硬いものを噛ませると顎関節症になる可能性があります。極端なトレーニングは必要ありません。バランスのよい食生活を心がけましょう。

Q.5 指しゃぶりするクセがあるのですが、辞めさせたほうがいいでしょうか?

A.

指しゃぶりは4歳になるまでにやめられれば問題ないので、3歳未満であれば特に対策は必要ありません。4歳をすぎても指しゃぶりを続けていると、永久歯が生えてきたときに「不正咬合」になり、歯科矯正が必要になる可能性が高まってしまいます。3歳の誕生日を過ぎても指しゃぶりを続けているようでしたら、やめるための対策をしたほうがいいでしょう。

おすすめなのは、おうちの人と一緒に「指を使った遊び」でたっぷりと遊ぶことです。新聞紙を指でちぎる、公園でどんぐりや小石を拾う、小麦粉粘土を作って遊ぶ、リボンやひもを結んだり折り紙を折る、砂遊びやどろんこ遊びなど、お子さんの好みに合わせていろんな遊びをする時間をできるだけたっぷりととるようにしてみてください。遊んでいるうちに満たされて、指しゃぶりを卒業できるはずです。

 

Q.6 デンタルフロスはどれくらいの頻度で行えばいいでしょうか?

A.

デンタルフロスは乳歯が全部生えそって歯科列が完全に完成してから使うといいでしょう。それまででも、もし前歯の歯間が狭く、食べ物が詰まってしまう場合は使っても構いません。使い方によっては歯ぐきを傷つけてしまうことがあるので、事前に使い方のレクチャーを受けておくといいでしょう。かかりつけの歯科医院もしくは自治体の保健所で相談してみましょう。

 

倉(くら)治(じ)ななえ先生

テクノポートデンタルクリニック院長。日本歯科大学附属病院臨床教授。自身の長女の成長を通じて「子育て歯科」の必要性を強く感じ、初めての歯磨きから予防歯科まで一生を共にする「歯」のケアを、患者さんに分かりやすく提案する。著書に『はじめての歯みがきレッスン』(PHP研究所)など多数。

イラスト/ニシハマカオリ 文/洪愛舜 構成/KANADEL

毎日の歯みがきを「イヤイヤ」するのではなく、楽しい時間にしたい人は必見! 『ベビーブック』4・5月号「&ベビー」では、子どもがする「自分みがき」と大人がする「仕上げみがき」について、上手に習慣化するヒントを解説しています!

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