あふれる情報にまどわされない! 子どもの発達にまつわる悩みに専門家がアドバイス 『ベビーブック10・11月号』育児特集番外編Q&A

言葉や体の成長、友だちとの関わり方など、周りの子と比べてわが子の発達に不安を感じることはありませんか。子どもの「今」の姿を正しく理解できると、漠然とした不安を感じずにすみます。専門家による、発達の悩みに寄り添った具体的なアドバイスをお届けします。

Q.1 生まれたときから体がとても小さくて、成長曲線の下からも飛び出しています。何か問題はありますか?(1歳10か月)

Q.2 言葉を全然話しません。同じくらいの月齢の子が親子で会話が成立しているのを見ると、うちの子は大丈夫だろうかと不安になってしまいます。(2歳5か月)

Q.3 立てるようになったのにハイハイばかりで歩こうとしません。早く歩けるようになってほしいのですが……。

Q.4 子どもが「抱っこして」と求めたときにはなるべく応えたいと思っているのですが、求めるままにやってあげると「甘やかし」になるからやめたほうがいいと夫に言われました。抱っこしないほうがいいのでしょうか?(2歳3か月)

Q.5 同じくらいの年齢のお友だちの子どもと遊びに行っても、一緒に遊ばずずっと一人で遊んでいます。内向的な性格なのでしょうか?(2歳4か月)

Q.6 犬もネコもママのことも全部「ワンワン」と言います。「ちがうよ、ネコちゃんだよ」と教えているのですが、なかなか直りません(2歳7か月)

Q.1 生まれたときから体がとても小さくて、成長曲線の下からも飛び出しています。何か問題はありますか?(1歳10か月)

A

小さく生まれた子でも、成長曲線の模範のカーブに沿って成長しているのであれば、そのまま様子を見てかまいません。
ただし、小さいまま思春期を迎えると、成長期のスタート地点の身長が低いため、たとえ20センチ伸びても最終身長は低くなってしまいます。例えば140センチで成長期に入って20センチ伸びると160センチ、150センチなら170センチと、成長期を迎える時期の身長が影響するのです。
最近はSGA(小さく生まれた子)に対して、成長ホルモンの注射をすることで、できるだけ大きくしてから思春期を迎えさせる治療もできるようになりました。
まずはかかりつけの小児科で成長曲線を描いてもらい、どうするか相談されることをおすすめします。放っておくことで健康に害があるわけではありませんが、伸ばす手段があるのですから、専門家に相談してみましょう。

Q.2 言葉を全然話しません。同じくらいの月齢の子が親子で会話が成立しているのを見ると、うちの子は大丈夫だろうかと不安になってしまいます。(2歳5か月)

A

2歳半では本来2語文(「ママ来た」「パン食べる」など)が出てほしい時期ですが、少なくとも意味のある単語が3個以上出ているかが重要です。完璧な発音でなくても構いません。「コプター」と言ってヘリコプターを指すなど、物と言葉が繋がっているかどうかが大切です。
もし、2歳半で単語が全く出ていないとしたら、早めに小児科を受診することをおすすめします。言葉だけの問題なのか、他の原因があるのかを確認する必要があるからです。
言葉が出ない場合、難聴や中耳炎など耳の病気が原因のこともあります。早めに適切な対応をすることで聞こえが改善されて言葉が出るようになることもあります。
まずはかかりつけの小児科医に相談してみましょう。

Q.3 立てるようになったのにハイハイばかりで歩こうとしません。早く歩けるようになってほしいのですが……。

A

立てるようになっても、筋肉の力やバランスが未熟なため、お子さんにとって歩くよりハイハイの方が容易な移動手段なのです。十分ハイハイをさせて上げることで、筋力が高まり、歩くときの安定感、安心感が高まります。
ただし、環境は整える必要があります。立つために掴まる場所が何もないようなおうちでは、自然に立つ力を育てることは難しいでしょう。ソファや幼児用の椅子など、支えるものがなければ立ち上がれないのです。
支えを使いながら伝い歩きで足腰の筋肉を発達させ、足の力がつくと、座ったところから何にもつかまらずにスクッと立ち上がれるようになります。教え込む必要はありませんが、掴まって体を上げられる道具は必要です。
環境を整えたら、焦らずに自然な発達を見守るといいでしょう。

Q.4子どもが「抱っこして」と求めたときにはなるべく応えたいと思っているのですが、求めるままにやってあげると「甘やかし」になるからやめたほうがいいと夫に言われました。抱っこしないほうがいいのでしょうか?(2歳3か月)

A

子どもが抱っこしてほしいと求めたときに抱っこしてあげることは「甘やかす」ではなく「甘えさせる」です。「甘やかす」と「甘えさせる」は、同じ「甘え」という言葉が入りますが、意味は全く違うものです。
0歳から3歳までの時期は、子どもが求めることに応えることで子どもは安心し、愛着関係を築いていきます。これが「甘えさせる」ということです。つまり、この時期はたくさん甘えさせることが子どもの健やかな発達につながるのです。
例えば、欲しいと言ったものをすぐ買ってあげるのは甘やかすこと。「お誕生日まで待とうね」「サンタさんにお願いしたら?」と待つことを教え、得たときの喜びを味わわせるのが甘えさせることです。
甘えさせると、子どもの心はほっこり温かく満たされます。甘やかされてほっこりしている子は実はいません。
この違いを意識しておくといいでしょう。

Q.5 同じくらいの年齢のお友だちの子どもと遊びに行っても、一緒に遊ばずずっと一人で遊んでいます。内向的な性格なのでしょうか?(2歳4か月)

A

心配いりません。2歳前後の子はまだ集団遊びにならず、一緒にいても並んでそれぞれに遊ぶ「並行遊び」の段階です。この時期はまずおうちの人や保育園の先生など、身近な大人との関わりの中で遊ぶことが大切です。
内向的な子もいますが、まず自分一人で納得いくまで遊ぶことができないと、友だちと遊べないのです。そして、自分がやり始めた遊びを納得するまでやれる子は、他の子の遊びを邪魔しません。
2歳代までは無理に友だちと関わらせる必要はなく、友だちもいる環境の中で自分の遊びを徹底すればいいのです。

Q.6 犬もネコもママのことも全部「ワンワン」と言います。「ちがうよ、ネコちゃんだよ」と教えているのですが、なかなか直りません(2歳7か月)

A

1歳児が動くものを全部「ワンワン」と言うのは不思議ではありません。ママのことも「ワンワン」というときに考えられることとして、「私はママ、あなたは○○ちゃん、ワンワンのお名前はポチ」というように、固有名詞があることをまだ理解していないことも考えられます。「ママにも積み木をください」とか「○○ちゃんに、お菓子をあげます」というように一つひとつの動作に誰への行動なのかを示すようにすると区別できるようになるかもしれません。
大切なのは「違う」という否定の言葉を使わないことです。否定されると子どもはネガティブな気持ちになってしまいます。
猫を見て「ワンワン」と言ったら、「猫さん来たね、猫さん何て鳴くんだっけ? ニャーって鳴くよね」とさりげなく正しい言葉を聞かせましょう。牛、ヤギ、ゾウなど、いろんなものを見せながら「これは牛さんだね」「モーモーさんだね」と正しい言葉を伝えていくといいでしょう。

川上一恵先生

かずえキッズクリニック院長。東京都医師会副会長。日本小児科学会認定医、子どもの心相談医、地域総合小児医療認定医。筑波大学大学院博士課程修了後、茨城県立こども病院などでの研修を経て、2005年、東京都渋谷区にかずえキッズクリニックを設立。地域の頼れる小児科として、育児全般の相談も受け付けている。

イラスト/熊本奈津子 文/洪 愛舜 構成/KANADEL

 

子どもは一人ひとりのペースで育ちますが、発達にはおおまかな流れがあります。『ベビーブック』2026年10・11月号「&ベビー」の1・2・3歳の発達の目安カレンダーを、日々の子育てにご活用ください!

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