■赤ちゃんが生まれたときは、本当にうれしい
パンダの発情のピークは、年に2~3日ほどしかありません。私たち飼育員の重要な仕事は、マーキングや採尿データなどの観察に基づいて、それがいつなのかを見極めること。
段階を踏んでお互いを意識させ、良浜がおしりをむけてOKサインを出したら、一緒の部屋に入れて自然交配を促します。
出産のとき、私も付きっきりで良浜を見ているのですが、陣痛がすごくあるんですね。苦しんでいる姿を見るのがかわいそうで・・・。「まだかな、早く生まれて!」と祈っています。
無事に生まれたときは、本当にうれしい。達成感を感じる瞬間です。
お母さんパンダの良浜は、これまで8頭のパンダを生んできました。
はじめての出産の時はすぐに赤ちゃんを抱き上げられませんでしたが、今はもう手際がいいですね。母親としての成長を感じています。
良浜は、出産するとずっと赤ちゃんに付きっきり。1か月は、授乳や育児に専念して自分の食事はほぼしないので、体重が10キロ以上落ちてしまいます。それくらい一生懸命に子育てをするんです。
▲生まれたばかりの結浜 (提供/アドベンチャーワールド)
▲結浜をしっかりと抱いて子育てに励む良浜。
■まんまるコロコロ! 赤ちゃんパンダの魅力
赤ちゃんパンダはまんまるでコロコロしていて、他の動物にはない愛らしさがありますよね。歩いていたかと思えばでんぐり返しをしたり。予測できない動きや、頼りない雰囲気が、なんだか助けてあげたくなるような気持ちにさせられます。
私が特にかわいいと思うオススメの時期は、ヨチヨチと歩き始める生後4か月ごろから、木登りもできるようになる6か月ごろです。日々成長する赤ちゃんパンダの魅力に注目してみてくださいね。
▲生後6か月ごろの、桜浜・桃浜。
■寝ているからってガッカリしないで!
パンダはエネルギーを消費しすぎないように、1日の半分は寝ています。
「なんだ、寝てるのか・・・」とガッカリせずに、よく観察してみてください。パンダはそれぞれに色んな寝方や寝相があって、おもしろいです。まぶしいのかわかりませんが、目を隠していたり、物干し竿に吊られるように寝ていたり・・・。
赤ちゃんパンダが木の上で寝ていると、お客さんから「あんなに高いところで寝ていて大丈夫?」と心配されたりします。パンダはバランス能力が高く、体が柔らかいので、もし落ちてもケガしたりしないので、安心して下さいね。
■赤ちゃんパンダにいつ会える?
2017年10月、1歳になった結浜がひとり立ちし、大人のパンダへの一歩を踏み出しました。そうなると気になるのは、次の赤ちゃんの誕生ですよね。
アドベンチャーワールドでは、3~5月の繁殖期に永明と良浜の自然繁殖に向けて準備をしています。うまくいけば、夏~秋くらいに、また赤ちゃんパンダに会えるかもしれません。
ぜひ、楽しみにまっていてくださいね!
(取材・文/青木こずえ 撮影/平田貴章)
▲生後2か月の結浜。これからのアドベンチャーワールドの動きに目が離せない。
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