▲「12歳の文学賞」贈賞式で、受賞者の子どもたちと談笑する西原理恵子さん
お子さんとの日常を綴った人気エッセイ漫画『毎日かあさん』の作者・西原理恵子さん。 長らく務めていらっしゃる、小学生限定の新人公募文学賞「12歳の文学賞」審査員では、他の先生方とは一味違う選考の視点が毎回話題になっています。
そんな西原さんは、プライベートでは2人のお子さんを持つ母親です。同じ母親という立場から、西原さんが世の中のお母さんたちに伝えたいこととは…?
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■日本のお母さんはまじめすぎる
いつも思うのは、日本の人はみんなまじめですよね。遅刻しないし、働くし、人より多く残業するし、学生さんもちゃんと休まず学校行って。
私は仕事でよく海外へ行くので、世界中の学校も見てますが、どこもいい加減ですよ。学校にちゃんと行くどころか、近所の友だちが泥棒だったりとか当たり前ですから(笑)。それに比べると日本は天国みたい。
特にお母さんたちはまじめ。みんなすごいちゃんとしてて、「自分を犠牲にしてでも、この子を幸せにしなきゃいけない」くらいの気迫。いや、すごいとは思うけど、そんなことできないよ〜。
そういう立派なお母さんの家はいつもピカピカで、子どもも立派な服着てしつけられてる。私にはとても無理なので、そ〜っと後ろに下がります(笑)。
みんながそんなちゃんとしなくていいじゃないですか。「ああなっちゃやばいな」っていうのを見つけて気をつけるくらいでいいんじゃないかと思いますよ。上を見ずに下を見ましょう(笑)。
■ピリピリするよりニコニコして毎日過ごそう
私たちの代の母親って、朝起きた瞬間から怒ってたじゃない、「あんた何時まで寝てるの、昨日どうして片づけなかったの」って、全開で。そんなことされると、昼ぐらいまで具合悪くなっちゃう。
自分の子どもにはそういう思いはさせたくない。
だから、朝起きたら「おはよう、何食べる?」から始めましょうよ。子どもが起きられなかったら「じゃあ遅刻する? 15分? 30分? いつ起こせばいい?」みたいに。
「遅刻しないように学校行かせなきゃ」じゃなくて、お母さんが価値観変えましょうよ。お願いだから、朝っぱらから子どもをめげさせないであげてください。
仕事してるお母さんも、無理して全部をやろうとしなくていいんですよ。怒るために働いてるんじゃないんだから。
ピリピリしながら完璧に家事をこなすより、ニコニコ笑って夕飯は店屋物。家族揃って笑って寝ましょう。
できることだけやって、後はばっくれましょう。真面目にやりすぎて追いつめられないようにするのが第一。先輩ママとしてひとつ、これだけは言っておきたいですね。
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西原理恵子(さいばら・りえこ):
1964年、高知県生まれ。高校を中退後、大検を経て武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。88年、週刊ヤングサンデー掲載の「ちくろ幼稚園」で漫画家デビュー。数多くの作品を発表し、文藝春秋漫画賞、手塚治虫文化賞短編賞など受賞。11年「毎日かあさん」では日本漫画家協会賞参議院議長賞を受賞する。小学館が主催する「12歳の文学賞」では毎年審査員を務める。娘に伝えたい語りおろし本、「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」(KADOKAWA)が発売中。