色を感じる、色と遊ぶ。 ひがしちかさんと創りあげるキャンバスへようこそ。

上の絵をご覧ください。これは一体、何でしょう?「抽象画?」「何かの模様?」「子どもの落書きかな?」…いえいえ、これは小学館の幼児向け月刊誌『幼稚園』2018年10月号の「おあそびえほん」の1ページなのです。

毎月、月替わりで人気アーティストの作り下ろしにふれ、読むだけではない絵本の楽しさを体験できるこのコーナー。

今月は日傘作家でアトリエストア「Coci la elle(コシラエル)」を主宰する、ひがしちかさんの作品「いろと あそぼう」をご紹介します。一体どんな世界が待っているのでしょうか。

■「絵と言葉」を見て、感じるままに自由に描く、貼る

「このページで、どうやって遊ぶの?」と不思議に思いますよね。

本誌には「えと ことばを みて、じゆうに えを えがいたり すきなものを はってみたり してね。」とあります。

絵には、「た ったたたたーた」「つん つく つん つん」など、ちょっと変わった擬態語などの言葉がつけられています。ひがしさんがかいた絵と言葉を見て、自由に絵を描いたり、好きなものを貼ったりして、遊んでみてください。

つまりこのページは、“絵と言葉のかいてあるキャンバス”なのです。ページから受けて感じたインスピレーションのままを、ストレートに表現できるのです。

たとえば、この絵。これは本誌には掲載していない、ひがしさんの作品です。左側についているのは、何だと思いますか? これ、じつは「とうもろこしのひげ」なのです!

画材で描くだけが、表現ではありません。シールや折り紙はもちろん、クリップや押し花など一見、絵とは関係なさそうなものも、貼ってみましょう。すると、思いもよらなかった新しいビジュアルが、目の前に現れるのです。

子どもを“ひとりの人”として見つめる、ひがしさんの思い

今回の作品を手がけるにあたり、ひがしさんが意識したことについて伺いました。すると、このような言葉をいただけました。「大人が思う、いわゆる“幼児向け”と意識しすぎないことに気をつけました。大人よりもきっと、見えないものが見えている時代。私自身が小さな子供の目線に立てたらと思いました」

作品を見ると、その言葉の意味がわかります。“絵本”というよりも“アート”と呼びたくなる、透明感あふれる色彩の数々。どこか海や空や光を思わせるあたたかな空間が、そこに広がっています。

さらに「傘づくりとの違い」を伺ったところ、「使う“モノ”ではなく、一緒につくりあげてゆけるページにするために、完成図を見据えて作るのではなく、途中を作ることに大きな違いがありました」という答えが返ってきました。

「途中を作る」ことにこめられた情熱。それは、「ここからは任せたよ」と子どもに絵筆や色鉛筆を託すやさしい眼差しのように感じられます。

 

いままでの『幼稚園』にはなかった、「気持ちを描く、あらわす」という初めての試み。きらめくような時間を、ぜひ親子でお楽しみください。

 

(ライター/菅原裕佳子)

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