子どもが一人だからこそ悩むこともあれば、きょうだいへの接し方で悩むこともあり、きょうだいがいてもいなくても子育ての悩みは尽きないものです。東京大学大学院教育学研究科の遠藤利彦先生が、おうちの方の疑問にお答えします。
Q2 わが家はひとりっ子なので、子どもと1対1で向き合う時間が多くて疲れます……。
Q3 きょうだいの中で自分と波長が合う子と合わない子がいて、接し方に迷います……。
Q4 上の子から「ぼくと弟とどっちが好き?」と聞かれました。どう答えたらいいですか?
Q5 「ひとりっ子はわがままに育つ」という話を聞いたのですが、本当ですか?
Q1 きょうだいげんかを仲裁するときに気をつけることは?
A.
どちらかが一方的に相手を攻撃しているときや、ケガのおそれがある激しいケンカになりそうなときは、おうちの方が仲裁に入ったほうがよいでしょう。
そして、なぜケンカになったのか、それぞれの言い分を公平に聞いてあげることが大切です。特に、上の子に対してはただ頭ごなしに「がまんしなさい」と命令するのではなく、本人の言い分をよく聞いてから「気持ちはわかるけれど、お母さん・お父さんは、今はそんなふうにするのはよくないと思うよ」と親の気持ちをしっかり伝えるような言い方を心がけましょう。
Q2 わが家はひとりっ子なので、子どもと1対1で向き合う時間が多くて疲れます……。
A.
ひとりっ子の場合、「子どもの相手をしなければ」と感じることが多いかもしれませんが、たくさん関わることが子どもにとってよいことだとは限りません。
子どもはいざというときに戻れるところがあれば安心できるものなので、一人で遊んでいる場合は見守っているだけで十分です。子育てには唯一の正解があるわけではないため、他の親子がどのように接しているのかも参考にしながら、“ほどほどの”育児でよいと考えると楽になれますよ。
Q3 きょうだいの中で自分と波長が合う子と合わない子がいて、接し方に迷います……。
A.
生まれつきの気質には親子でも合う・合わないがあるため、このような気持ちを抱くのは不自然なことではありません。
自分を悪い親だとは思わず、これは自然な感情なのだということをまずは受け止めてください。そして、行動のうえでは極端に不平等にならないことを心がけましょう。「自分と波長が合わなくても、パパや園の先生など他の波長が合う大人との関係性の中でうまく育つから大丈夫」と考えると、気持ちが楽になるはずです。
Q4 上の子から「ぼくと弟とどっちが好き?」と聞かれました。どう答えたらいいですか?
A.
「どちらが好き?」と聞かれても、人格すべてを比較するような答え方をする必要はありません。
「〇〇くん(お兄ちゃん)のこういうところが好き」「弟のこういうところが好き」と、それぞれのよい部分を答えてあげるとよいでしょう。比較するニュアンスを出すのではなく、「〇〇くん(お兄ちゃん)にも弟にもそれぞれよいところがあるよね。そういうところがお母さん・お父さんは好きだよ」と伝えると、子どもは安心できます。
Q5 「ひとりっ子はわがままに育つ」という話を聞いたのですが、本当ですか?
A.
きょうだいの有無で性格に大きな違いが出ることはないので、ひとりっ子だからわがままに育つということはありません。
ただ、ひとりっ子の場合、周囲の大人が子どもの意を汲んで行動してあげることが多いため、自己主張が控えめになるケースがみられます。わがままではなく適切な自己主張ができるように、時々は「こんなふうに見えたけど本当はどうだったの?」と尋ね、子どもが自分の気持ちを言葉で表現する機会をつくりましょう。
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イラスト/ひらのゆきこ 構成/童夢
監修/遠藤 利彦先生
東京大学大学院教育学研究科教授。専門は発達心理学。主に、子どもの愛着関係の形成や社会性の発達についての研究を行っている。
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