インフルエンザや風邪などの感染症が流行する冬に向けて、予防や対策は万全でしょうか?どうしたらいいか迷いがちなお家でのケアや予防について、小児科専門医の森戸やすみ先生にうかがいました。
Q.1 感染症の家族内感染を防ぐためには、どうすればいいでしょうか?
Q.3 夜中に急に39度以上の発熱。救急を受診すべきでしょうか?
Q.4 発熱して苦しそうな場合は、解熱剤を使ってもいいのでしょうか?
Q.1 感染症の家庭内での感染を防ぐためには、どうすればいいでしょうか?
A.
胃腸炎を起こすウイルスは非常に感染力が強いものが多いので、汚物がついたら捨てられるものは全部捨てましょう。床などが汚れたら、市販の塩素系漂白剤を薄めたもので拭きましょう。処理をする際は、必ずゴムやビニール製の手袋、マスクを着用してください。
インフルエンザの主な感染経路は、咳やくしゃみによる飛沫感染と、ウイルスのついた手で口や目鼻をさわることでウイルスが体内に侵入する接触感染です。
飛沫感染の防止にはマスクが有効です。幼児はマスクを嫌がるかもしれません。その場合は「お咳(くしゃみ)で他の人にうつっちゃうかもしれないから、お咳(くしゃみ)が出るときは、下を向くようにしようね」など、「咳エチケット」を伝えるようにしましょう。
接触感染の防止には手洗い、うがいが有効です。家族全員で手洗い、うがいを心がけましょう。
Q.2 薬を飲むのを嫌がります。どうすればいいでしょうか?
A.
受診の際に処方される薬には、「症状をやわらげる薬」と「細菌やウイルスの増殖を抑える薬」があります。
後者は抗菌薬や抗ウイルス薬で、これは一度飲み始めたら最後まで飲み切らないと耐性菌・耐性ウイルスができてしまうことがあるので、必ず飲み切る必要があります。受診時に「うちの子は薬を飲むのを嫌がるのですが、これは最後まで飲む必要がある薬でしょうか?」と、医師に聞いてみましょう。
薬によってはアイスクリームやプリン、ゼリーと混ぜると飲みやすくなるものもあります。処方される薬剤師に相談してみましょう。その上で、楽しい歌を歌いながら飲ませる、飲めたら好きなシールを貼るなど、楽しい雰囲気の中で飲めるように工夫してみてくださいね。
Q.3 夜中に急に39度以上の発熱。救急を受診すべきでしょうか?
A.
夜間に受診したほうがいいか迷う場合は、「お子さんが眠れないくらいつらいかどうか」を指標にするといいでしょう。熱が出ても元気そうな様子で眠れているなら、夜間にすぐ受診する必要はありません。翌朝、かかりつけ医で受診しましょう。
眠れないほどつらそうだったり、関節や頭の痛みでグズグズとしていたりするなど、熱に加えて他の症状も出ている場合は、一度救急に連絡してみるといいでしょう。受診するかどうか迷う場合や家での対処方法を知りたい場合は、日本全国どこからでも、「#8000」に電話するとお住まいの都道府県の相談窓口に自動転送されます。ただし、受け付け時間は都道府県ごとに異なるため、事前に厚生労働省のホームページなどで確認を。
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html
「こどもの救急ホームページ」では、症状を選択することで「救急車で病院に行く」「タクシーで病院に行く」「おうちで様子をみる」など、どの対処法をとればいいかチェックすることができます。
Q.4 発熱して苦しそうな場合は、解熱剤を使ってもいいのでしょうか?
A.
もちろん、使って構いません。目安は38.5℃以上です。
子どもの解熱剤の主成分であるアセトアミノフェンには鎮痛の効果もあるので、38.5℃未満でも痛みがある場合は使ってOKです。飲んだからといって平熱より下がることはありません。
ただし、大人用の解熱剤は使用してはいけません。
Q.5 インフルエンザの予防接種は受けたほうがいいですか?
A.
インフルエンザに限らず、予防接種は定期接種のものも任意接種のものも、すべて受けたほうがいいでしょう。予防接種によって重症化を防ぐだけでなく、感染症による合併症・後遺症を残さない点でも非常に大切です。インフルエンザは脳症、おたふく風邪はムンプス難聴、水疱瘡は帯状疱疹といったように、感染症には合併症・後遺症のリスクがあり、それはワクチンのリスクよりも高いのです。
『ベビーブック』2019年11月号別冊付録「café BB」では、インフルエンザ&冬の病気の予防と対処法について特集しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
イラスト/伊藤美樹 構成/童夢
監修/森戸 やすみ先生
小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、さくらが丘小児科クリック勤務。著書に「新装版小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK」(内外出版社)など。
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