スキンシップは親子ともに癒やし効果があるだけでなく、愛着関係を築いたり自己肯定感を高めたりと、子どもの成長に大きな影響があることがわかっています。普段、何気なくふれあっているけれど、これでいいのかな? 意識したほうがいいことは? そんな疑問に長年スキンシップを研究している専門家がお答えします。
Q.1 下の子が生まれてから、上の子とスキンシップする余裕がありません(時間の余裕、心の余裕、どちらも)。どうすればいいでしょうか?
Q.2 いろんな人とふれあって育てたいと考えていたのですが、新型コロナウイルスの影響で人とふれあわせるのが怖くなってしまっています。どうすればいいでしょうか?
Q.3 スキンシップが大切なら、いつでもずっと触っていればいいのでしょうか?
Q.4 うちの子はふれられるのを嫌がります。どうすればいいでしょうか?
Q.5 パパが子どもに対してあまりスキンシップしてくれません。ママだけでも効果はありますか? また、パパにもスキンシップをしてもらうにはどうすればいいでしょうか?
Q.6 あまりふれあいを意識しないまま3歳になってしまいました。今からでも間に合いますか?
Q.1 下の子が生まれてから、上の子とスキンシップする余裕がありません(時間の余裕、心の余裕、どちらも)。どうすればいいでしょうか?
A.
「スキンシップしなくては!」と意気込みすぎず、日々の子育ての中でふれあえる場面を有効活用するといいでしょう。手つなぎや入浴、添い寝なども立派なスキンシップです。体を洗うときは目を見て話しかけながらやさしくふれたり、添い寝のときに背中にふれるなど、思いやりが伝わるふれあいができれば、それで十分です。
また、スキンシップは子どもだけではなく、親のストレス軽減にもつながります。初めての2人育児で心の余裕がなくなっている今だからこそ、しばし時を忘れてお子さんをハグしてみてください。疲れた心を癒やしてくれることでしょう。
Q.2 いろんな人とふれあって育てたいと考えていたのですが、新型コロナウイルスの影響で人とふれあわせるのが怖くなってしまっています。どうすればいいでしょうか?
A.
直接ふれあうことができなくても、声色や目線で愛情を感じられると、それは「心のスキンシップ」だといえます。子どもにとって人と関わることはとても大切です。親しい人と交流することで、子どもの神経システムや体の内部の状態が同調します。それによって「信頼関係を築く」という体験につながっていくのです。
コロナ禍の中でのニューノーマルな生活でも、優しい声で話しかけてもらったり、温かいまなざしで見つめてもらったりするなどの心のふれあいができれば、それもまた大切なスキンシップといえるでしょう。
Q.3 スキンシップが大切なら、いつでもずっと触っていればいいのでしょうか?
A.
例え体にふれていたとしても、愛情がなければ意味はありません。愛情があるからこそ、触られると気持ちいいし、安心できるのです。
また、子どもに求められたときにスキンシップするというのも大切です。抱っこや手つなぎをせがんだり、ひざの上に乗ってきたりするのは、ふれあいを求めているサインです。そのタイミングで応えられると、愛情ホルモンであるオキシトシンの分泌効果が高まるでしょう。オキシトシンには親子のつながりを強めたり、ストレスを軽減させたりする効果があります。
Q.4 うちの子はふれられるのを嫌がります。どうすればいいでしょうか?
A.
触覚が敏感なため、ふれられるのを嫌がる子もいます。手のひら全体で肌の表面をなでるような大きな刺激は嫌がることが多いので、手を動かさずに握ってあげたり、握る場所を動かしたりしてみましょう。肩を包むように圧をかけてあげたり、指先だけで軽くタップしたりするのもいいですね。子どもによって好きなふれ方、嫌なふれ方があるので、いろいろなふれ方を試してみて、お子さんの好きなスキンシップを見つけてみましょう。
Q.5 パパが子どもに対してあまりスキンシップしてくれません。ママだけでも効果はありますか? また、パパにもスキンシップをしてもらうにはどうすればいいでしょうか?
A.
実は、ママのスキンシップとパパのスキンシップとでは、 子どもの中に育っていくものが異なるということがわかっています。ママのスキンシップは子どもの情緒を安定させる役割があり、パパのスキンシップは子どもの社会性と関わっているのです。
ですので、なるべくパパにもスキンシップをしてもらったほうがいいでしょう。もしかすると、お子さんとどのように関わればいいのかがわからないのかもしれません。「ちょっとだけ抱っこしてくれるかな?」「お風呂上がりにクリーム塗ってくれる?」など、率先してふれあう機会を作ってみましょう。ふれることでパパの中でもオキシトシンが分泌され、それが子どもへの愛情にもつながります。
Q.6 あまりふれあいを意識しないまま3歳になってしまいました。今からでも間に合いますか?
A.
いつからでも遅すぎることはありません! 以前は生後1歳半ごろまでが愛着関係を築く上で重要な時期だと言われていましたが、現在の研究ではそれに限らないということがわかっています。何歳であっても、それからの親子の関わりや人間関係によって、いくらでも変えていくことができます。3歳なら、全然遅くありませんよ。気づいたときからふれあいを意識していければよいでしょう。ぜひスキンシップで愛情を伝え合ってくださいね。
山口創先生
桜美林大学教授。専攻は臨床心理学・身体心理学。愛情ホルモンであるオキシトシン研究の第一人者。著書に『幸せになる脳はだっこで育つ。』(廣済堂出版)『子供の「脳」は肌にある』(光文社)など多数。
イラスト/ヒビユウ 文/洪 愛舜 構成/童夢
親子でいる時間が長い今だからこそ、大切にしたいスキンシップ。『ベビーブック』2021年4月号「もっとベビーブックwith HugKum」では、オキシトシンの分泌を高めるスキンシップの方法やふれあい遊びなどをご紹介しています!