きょうだいの子育て・ひとりっ子の子育てで大切なことは? 『ベビーブック11月号』育児特集番外編Q&A

きょうだいがいても、ひとりっ子でも、それぞれに「こんなときはどうすればいいの?」という悩みは尽きないもの。3兄弟の長男として育ち、現在は3兄弟のパパでもある保育の専門家が、おうちの方の悩みにお答えします。

Q.1 きょうだいげんかのとき、大人はどう関わればいいですか?

Q.2 上の子から「私と○○ちゃん(下の子)のどっちが好き?」と聞かれました。どう答えればよいのでしょうか?

Q.3 上の子に対して、「お兄ちゃんだから我慢して」「お姉ちゃんだから下の子に優しくして」と言ってしまうことがあるのですが、こういう言い方はやめたほうがいいですか?

Q.4 きょうだいのうち、自分とは波長が合わないと思う子がいて、かわいく思えないことに罪悪感があります……。

Q.5 ひとりっ子なので、親子が1対1で過ごす時間が長いのですが、過保護・過干渉になってしまわないか心配です……。

Q.6 2人目が欲しいと考えているのですが、子どもが1人だけでも大変なので、2人になったら育てていけるのか不安です。

Q.1 きょうだいげんかのとき、大人はどう関わればいいですか?

A.

きょうだいげんかは、時に不条理なこともある社会の中で生きていく方法や人間関係の築き方を学べるチャンスです。「どんな理由でも相手をたたいてはいけない」といった自分の家のルールを子どもたちには日ごろから伝えておき、けんかのときはジャッジを下すのではなく、問題解決の方法を教えるつもりで関わることをおすすめします。ケガをしそうなほど激しくやり合っているときや、力のバランスに圧倒的な差があるときは大人が止めに入る必要がありますが、それ以外の場合は子ども同士で解決できるように見守ることも大切です。

Q.2 上の子から「私と○○ちゃん(下の子)のどっちが好き?」と聞かれました。どう答えればよいのでしょうか?

A.

子どもがこのような質問をするのは、自分がおうちの方に愛されているのか不安だからです。その不安を取り除くことが大切なので、こう聞かれたときは「あなたが一番好き」と伝えましょう。下の子から同じことを聞かれた場合も、「あなたが一番好き」と答えるのでかまいません。子どもにとって、愛されているという感覚は「一番」である必要があるので、全員に対して「一番好き」という言い方をするのでよいのです。言葉だけではなく、抱っこをしたり、一緒にお風呂に入ったりするといったスキンシップも大切にしながら、きょうだい一人ひとりに「大好きだよ」の気持ちを伝えていきましょう。

Q.3 上の子に対して、「お兄ちゃんだから我慢して」「お姉ちゃんだから下の子に優しくして」と言ってしまうことがあるのですが、こういう言い方はやめたほうがいいですか?

A.

「お兄ちゃん・お姉ちゃんだから」といった生まれ順に基づいた役割を求めることで、下の子への思いやりや責任感が芽生えることもあるため、こうした言い方が必ずしも不適切というわけではありません。生まれ順をどのくらい意識するかは地域や家庭によっても違いがあるため、「わが家では兄や姉、弟や妹といったポジションを意識させる言葉を使って子育てをするのか、使わないようにするのか」を家族で相談して決めておきましょう。使わずに育てるのであれば、「お兄ちゃんだから我慢して」という場面では「我慢して」の部分だけを伝えるようにするとよいでしょう。

Q.4 きょうだいのうち、自分とは波長が合わないと思う子がいて、かわいく思えないことに罪悪感があります……。

A.

まずは、言いにくいことを相談してくださったことに対して「ありがとうございます」とお伝えしたいです。親子関係も人間関係の一種ですから、波長が合う・合わないということは当然ありますが、その状況が一生続くとは限りません。人間関係は絶えず変化していくものなので、何らかのきっかけでその子のよさに気づき、「かわいく思えない」という感じ方が変わる可能性は十分にあります。ですから、今の時点ではおうちの方自身の気持ちも決め付けずに、その子と向き合うのがつらいと感じるときは家族や友人などにみてもらうなどして、他の人の力を借りながら子育てしていくことをおすすめします。

Q.5 ひとりっ子なので、親子が1対1で過ごす時間が長いのですが、過保護・過干渉になってしまわないか心配です……。

A.

おうちの方に「過保護・過干渉にならないように」という意識があれば、実際に過保護・過干渉になることは少ないので基本的には心配ありません。子どもの成長には多様な環境が必要ですが、これは何も特別な環境を用意する必要はなく、平日に触れ合う機会の少ない家族と過ごす時間を休日には増やしてみる、近所に散歩に出かけてみるといったことでも十分です。親子で参加できる子育てイベントのオンライン配信なども活用しながら、おうちの方自身が少し肩の力を抜いてみると、子どものこともおおらかに見守れるようになりますよ。

Q.6 2人目が欲しいと考えているのですが、子どもが1人だけでも大変なので、2人になったら育てていけるのか不安です。

もしも今、ママかパパのどちらか一方だけで育児のほとんどを担っているのであれば、夫婦でチームを組んで子育てをする体制をつくっていきましょう。子育てを一人で抱え込むのは大変なことですし、見方を変えると、パートナーが育児の楽しさを感じる機会を奪ってしまうことにもなりかねません。まずは、子育てのどんなところが大変だと感じるのか、どんな不安があるのかをパートナーに伝え、やってほしいことがあれば具体的に伝えましょう。子どもが「ママがいい!」と言う場合は、パパと子どもの2人だけで公園に行くなどして、あえてママのいない環境をつくると、子どもは「他の知らない人よりはパパがいい」と感じてパパのことを受け入れやすくなるはずです。

 

小﨑恭弘先生
大阪教育大学教育学部教授。12年間、保育士として子どもと向き合った経験を持つ。NPO法人ファザーリング・ジャパン顧問。家庭では3兄弟の父親。

イラスト/Meriko 文/安永美穂 構成/童夢

きょうだいの子育て・ひとりっ子の子育てのそれぞれのよさを知ると、子育てがもっと楽しくなるはずです。『ベビーブック』2021年11月号「もっとベビーブックwith HugKum」では、それぞれの子育てで大切にしたいポイントを詳しく解説しています!

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