教育資金を賢く貯めるための家計管理のコツは? 『ベビーブック3月号』育児特集番外編Q&A

「教育資金を貯めるには、どのように家計をやりくりしていけばいいの?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。教育資金の貯め方や日々の家計管理のコツに関する悩みに、ファイナンシャルプランナーがお答えします。

Q.1 2人目を考える場合、教育資金に関して注意すべきことは?

Q.2 家計に余裕がなく、教育資金の貯金まで手が回らない場合はどうすればいい?

Q.3 現在は専業主婦なのですが、いずれは働きたいと考えています。夫の扶養の範囲内で働くほうが得なのでしょうか?

Q.4 家計簿が長続きしません。面倒くさがりの人でも続けられる家計管理のコツは?

Q.5 キャッシュレスでの支払いが多い家庭の家計管理の注意点は?

Q.6 高齢出産の場合、教育資金と老後資金のバランスのとり方は?

Q.1 2人目を考える場合、教育資金に関して注意すべきことは?

A.

2人目を考える場合、養育にかかる費用はおさがりの衣類を活用するなどして節約が可能ですが、教育にかかる費用は2倍になることを想定した進学プランを組んでおく必要があります。高校までの学費は貯金を切り崩さずに毎月の家計から出すという原則を頭に入れておけば、「子どもが1人なら私立中学への進学も可能だが、2人目が生まれたら高校までは公立に進ませる」というように家計に応じた調整ができるので、心配しすぎなくても大丈夫です。
大学進学のための教育資金は、きょうだいがいる場合は1人ずつ口座をつくるなどして、児童手当の貯蓄と月々の積み立てをしていきましょう。インフレリスクに備えて、一部を投信積立で運用するのも一つの方法です。全額を親が用意しなければと気負う必要はなく、1人あたり300万円(自宅外なら500万円)を貯めることを目標にして、不足分は子どもと相談して奨学金を利用するという方法もあります。

Q.2 家計に余裕がなく、教育資金の貯金まで手が回らない場合はどうすればいい?

A.

児童手当分に上乗せして、毎月5000円、10000円といった決まった額を子どもが小さいうちから積み立てていく、というのが教育資金の基本的な貯め方です。家計に余裕がない場合は、月々の積み立てまでは手が回らなくても、可能であれば児童手当だけは手をつけずに貯めていくことをおすすめします。家計が急変した場合などは、一時的に児童手当を月々の生活費に回さなければならなくなることもあるかもしれません。その場合も、家計の状況が改善されたら、児童手当は貯金するようにしましょう。

Q.3 現在は専業主婦なのですが、いずれは働きたいと考えています。夫の扶養の範囲内で働くほうが得なのでしょうか?

A.

夫の扶養に入ることができる(配偶者控除※を受けられる)のは年収103万円以下の場合です。それを超えても、201万6000円未満までは配偶者特別控除(※)を受けることができます。年収が130万円以上になると、本人が社会保険料などを負担する必要があります。この130万円のラインについては、社員501人以上(2022年10月以降は101人以上)の会社では年収106万円以上になっています
こうした状況を踏まえると、年収を106万円以下に抑えれば、社会保険料の負担もなく、夫も配偶者特別控除を利用できます。しかし、長期的な視野で考えると、扶養の範囲を超えて自分のスキルを生かせる働き方をしたほうが、収入増につながって教育資金も貯めやすくなり、将来の年金額も増加するといったメリットがあると言えるでしょう。
(※)配偶者控除、配偶者特別控除は夫の年収1220万円まで。

Q.4 家計簿が長続きしません。面倒くさがりの人でも続けられる家計管理のコツは?

A.

最初から緻密な家計簿をつけようとせずに、いろいろな方法を試してみることをおすすめします。例えば、食費や日用雑貨代といった節約したい費目だけレシートをとっておいて、1か月単位で出費を管理してもいいですし、1週間ごとの予算を封筒に入れて封筒内の金額内でやりくりできればOKとする方法もあります。複数の家計管理アプリを試してみて、続けやすいものを採用してみるのもよいでしょう。
細かな支出の管理まで手が回らない場合でも、毎月の貯蓄額だけは把握しておきましょう。教育資金として、児童手当のほかに月々1万5000円を積み立てることにしているのであれば、その1万5000円は先取りして貯蓄することを習慣にしてくださいね。

Q.5 キャッシュレスでの支払いが多い家庭の家計管理の注意点は?

A.

キャッシュレスの場合、複数のカードを利用していると、どのカードでいくら支払ったのかが把握できなくなりがちです。使用するカードはできるだけ1枚に絞り、そのカードの明細を見れば支出が把握できるようにすると家計管理がしやすくなりますよ。
使用時から引き落としまでにタイムラグがあるクレジットカードは、使用額が把握しにくく、ムダ遣いにつながるおそれもあります。キャッシュレス決裁でいつの間にか支出が増えてしまう、といった悩みがある人は、日常的な買い物で使うカードはデビットカード1枚に絞るのがおすすめです。使ったその場で銀行口座から引き落とされるので、支出の管理がしやすくなるはずです。

Q.6 高齢出産の場合、教育資金と老後資金のバランスのとり方は?

A.

高齢出産の場合でも、児童手当に上乗せして目標額に応じた積み立てを行う、という教育資金の貯め方の原則は変わりません。ただし、親の収入が高いと児童手当の所得制限の対象となり、月5000円の特例給付となる場合も。その場合は個人の積み立てを中心とした貯蓄プランを立てることになります。
私は、一般論として「子どもが中学を卒業したタイミングで老後資金の貯蓄を始めましょう」ということを提唱しています。しかし、親が40歳を過ぎたら、子どもがまだ小さくても、教育資金と並行して老後資金の貯蓄を始める必要があります。「つみたてNISA」や「iDeCo」といった制度の活用も検討しながら、月5000円程度からでもよいので老後資金の積み立ても始めていきましょう。

 

豊田眞弓さん
ファイナンシャルプランナー。FPラウンジ代表。個人相談業務のほか、マネーコラムの寄稿や講演などで活躍。子どもや大人の金融教育にも携わっている。

イラスト/おおたきょうこ 文/安永美穂 構成/童夢

子ども1人あたり300万円から500万円程度が教育資金の目安とされていますが、子どもが小さいうちから貯蓄をスタートすれば、無理なく貯めていくことができます。『ベビーブック』2022年3月号「もっとベビーブックwith HugKum」では、教育資金の具体的な貯め方や役立つ金融商品について詳しく解説しています!

育児特集 番外編Q&A【もっと教えて、先生!】全記事リストはこちら

 

 

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