幼児教育のプロが指南
ふろくは遊び方しだいで、もっと楽しく! もっと学びに活用できます。
ここでは、お子さんの発達をふまえた遊び方や言葉かけをプロがアドバイス。
おうちの方と一緒に、楽しく遊んで学びましょう。お子さんの力がぐんぐん育ちますよ!
2022年First夏号
アンパンマン カラフルふんすいバケツ
水を入れると、側面にあいた穴からジャーッと水が出てくるふんすいバケツ。水の流れや手に水がふれたときの感触をぞんぶんに楽しみながら、夏ならではの遊びをたくさん経験しましょう。
◇基本の遊び
お風呂場や外に出したビニールプール、公園などで水遊び。ふんすいバケツに水を入れ、バケツの側面からふんすいのように水が出てくる様子を見たり、お子さんの手や足にかけて水の冷たさや流れる感じを味わったりします。
◇発達のアドバイス
<0歳後半~ お子さんの反応に合わせて遊ぼう>
お子さんの反応を引き出すような働きかけをします。
おうちの方が「アンパンマン、こんにちは」と言ってバケツをお子さんに近づけたり、バケツに水を入れて「シャワシャワ~」と水が出る様子を見せたりしましょう。くり返し働きかけることによって、お子さんもバケツに興味を示すでしょう。
お子さんが手を伸ばしてきたら「はい、どうぞ」と渡してあげて。お子さんのペースに合わせて遊びましょう。
<言葉かけ例>
・バケツをくるくる回すと、絵柄が見えたり隠れたりします。「いない、いない、ばあ!」「アンパンマン、いたね」
・バケツの持ち手を持ってゆらし、「ゆら、ゆら~」
<1歳前後 お子さんの思いを言葉にして発語を促そう>
興味のあるものを指差したり、手を伸ばしてさわってみたりなど、意欲が盛んになる時期です。お子さんが興味を示したもの、やりたいことに言葉を添えてあげましょう。
おうちの方が「これは○○だね」などと言葉を添えることで、お子さんの言葉の理解につながるとともに、発語を促します。無理に言葉を言わせる必要はありませんが、お子さんの思いに共感しながら、言葉をたくさんかけていきます。
<言葉かけ例>
・バケツにお水を入れたそうにしていたら、「お水入れる?」
・バケツのお水をこぼしていたら、「ジャーってこぼしているね」
・「お水、冷たいね」
・「気持ちいいね。楽しいね」
<1歳後半~ 体を動かすよう促そう>
自分で動けるようになったことが楽しくて、好きなように動きまわりたい時期です。
歩いたり、立ち止まったり、しゃがんだり、好きなように動いていることが、体のいろいろな部分を使うことにつながります。たくさん動くことで、動きがしなやかになり、「動ける体」になっていきます。バケツを活用していろいろな動きができるよう、言葉をかけていきましょう。
楽しいと思えばたくさん歩き、何か見つけたら立ち止まって観察するなど、そこからまた世界が広がります。おうちの方は危険がないように見守り、いろいろなところに目が向くように導きましょう。
<言葉かけ例>
・「バケツを持って歩いてみようか」
・「お花のところにジャーしにいこう」
<子どもと遊ぶときのおうちの方の心構え>
赤ちゃんとどうやってあそんでいいかわからないという声をよく聞きます。まずは思いついたことをおうちの方がやってみて、それを見せてあげましょう。そのとき、お子さんはどんな反応をするでしょうか。視線や体の動きから、何に興味をもったのかを観察してください。お子さんが手を伸ばしてきたら、一緒にやってみて。
おうちの方の働きかけにお子さんが反応(見るだけということもあります)する、それが遊びの始まりです。大人の予想通りにいかないところをおもしろがって、遊びを広げてくださいね。ふろくのバケツをきっかけに、たくさん遊んでください。
なお、ここに示した発達はあくまで目安です。お子さんの様子に応じてかかわりましょう。
◇こんな遊びもできるよ
<0歳後半~ バケツをすいす~い泳がせよう>
バケツの持ち手をもって、水面をす~いす~いと泳がせるように動かします。
「アンパンマンが泳いでるね」「どっちに行くのかな、こっちかな、あっちかな」
「す~いす~い、お魚みたいだね。つかまえて」
動いているものに興味を持って、目で追いかけます。手を伸ばすかもしれません。
お子さんがどんな反応を見せるのか、楽しみながらバケツを動かしてください。
手を伸ばしてきたら、バケツをつかめるように近づけてあげて。「アンパンマン、つかまえた!」と一緒に喜んでくださいね。
<1歳前後~ 水の変化を楽しもう>
バケツに水を入れ、おうちの方が高く持ち上げて「お水がキラキラしているね」。地面に近いところでバケツを持ち、勢いよく水をこぼして「お水がジャーッと流れたね」。手足に水をかけて「○○ちゃんの足にシャワシャワー」「手にシャワシャワー」。お日さまにあたってキラキラ光る水、流れていく水、水で手足がぬれること。いろいろな水の形態があることに気づかせながら、水と仲良くなりましょう。
<1歳後半~ お水を入れて歩いてみよう>
まわりに危険なものがないか確認し、安全な場所で遊びましょう。
バケツに水を入れたら、お子さんに「はいどうぞ。」と渡します。「赤いお花のところまで歩いていこう」などと目標物を決め、そこまで歩いていきます。着いたら後ろを振り返り「見て、線が描けたよ!」と乾いた地面に水で線が描けていることに気づかせましょう。
「もっといっぱい描いてみよう」と動きを促します。好きなように動いて、「見て見て、なにか描けたね」「何の形かな」と動いた跡を一緒に見るのも楽しいですね。見守りながら、好きなように歩かせてあげましょう。
教えてくれたのは
こんぺいと幼児教室 教室代表・斉藤明美さん
食べることを通して子どもたちの五感を育む「台所のある幼児教室」。食育を中心として、楽しい! もっとやりたい! と子どもが夢中になって活動する経験を重ね、「学びに向かう力」を育てていきます。
イラスト/AZU 構成・文/株式会社こんぺいとぷらねっと