きょうだいがいる場合・いない場合、子育てで気をつけるとよいことは? 『ベビーブック12月号』育児特集番外編Q&A

きょうだいがいる場合、ひとりっ子の場合、それぞれの状況に応じて悩みはさまざまです。きょうだいの有無や生まれ順を考慮したうえで子育てをしていくには、どうすればよいのでしょうか。「きょうだい型人間学」の専門家がお答えします。

 

Q.1 下の子が生まれたとき、上の子にはどう関わればよいですか?

Q.2 ひとりっ子の場合、習い事や幼稚園のプレクラスなどで早い時期から集団生活を経験させたほうがよいのでしょうか?

Q.3 きょうだいがいないと、わがままになりそうで心配です……。

Q.4 ひとりっ子や、きょうだいで一番年上の「一番っ子」を精神的にタフな子に育てるには、どうすればよいですか?

Q.5 きょうだいの下の子への接し方で、親が気をつけたほうが良いことはありますか?

Q.6 きょうだいが10歳以上離れているときの子育てでは何に注意すべきですか?

Q.7 きょうだい型(生まれ順)による友達づきあいの特徴や、幼少期の友達づくりに関して親に求められるサポートについて教えてください。

Q.1 下の子が生まれたとき、上の子にはどう関わればよいですか?

A.

下の子が生まれると、上の子は親の変化を感じ取りながら、下の子に関わるようになります。親の関心が自分から下の子に移ったと感じると、赤ちゃん返りをして親の関心を引こうとしたり、時には下の子の枕を蹴飛ばすといった乱暴な行動をとったりすることもあるため、この時期は上の子からも目を離さないようにする必要があります。
変化に対して不安になるのは自然なことなので、上の子がこれまでと違う行動をしても親は悠然と構え、「あなたは大事な存在だよ」とくり返し伝えていきましょう。信頼できる人に下の子のお世話をお願いして、上の子と二人だけで過ごす時間をつくるのもおすすめです。

Q.2 ひとりっ子の場合、習い事や幼稚園のプレクラスなどで早い時期から集団生活を経験させたほうがよいのでしょうか?

A.

ひとりっ子は、家庭では基本的に親との関わりしか経験できないので、同年代や自分より年下の子どもとふれ合う機会が少なくなりがちです。無理のない程度に集団生活を経験させることは、「同年代の子どもと遊ぶときにはどう振る舞うことが期待されているのか、どんなルールがあるのか」といったことを学べる良い機会になるといえるでしょう。
習い事を始めたり、プレクラスに通ったりすることが難しい場合は、年齢の近いいとこと遊ぶ、同年代の子どもがいる家庭と家族ぐるみの付き合いをするといった方法もあります。おうちの方にも子ども自身にも負担にならない方法を探してみましょう。

Q.3 きょうだいがいないと、わがままになりそうで心配です……。

A.

ひとりっ子は「わがまま」「自己中心的」だと言われることがありますが、実際にはそんなことはありません。食べものやおもちゃなどをひとり占めできる環境で育つため、「他の人と分け合う」という経験が不足しがちな一面はあるものの、これは集団生活を経験する中で自然とできるようになることなので、単なる「わがまま」とは違います。過度に心配する必要はありませんが、気になるようであれば、お菓子を食べるときにおうちの方と分け合うなど、きょうだいがいれば経験するような場面をつくり出してみるとよいでしょう。

Q.4 ひとりっ子や、きょうだいで一番年上の「一番っ子」を精神的にタフな子に育てるには、どうすればよいですか?

A.

ひとりっ子や一番っ子の場合、親は子育て初心者なので、緊張した子育てになりやすいことをまずは認識しておきましょう。その緊張感は子どもにも伝わりやすいため、公園などで遊ぶときに親と一緒でなければ友だちの輪に入れないといったことが起こりやすいのですが、それは一時的な姿であって永遠に続くものではありません。多少時間はかかったとしても、いずれは自分から輪に入れるようになるときがきます。親は子どもの成長を信じて、今はありのままのわが子の姿を受け入れましょう。
ひとりっ子や一番っ子は物事に対して慎重になりやすい傾向がありますが、無理やり自立を促そうとすると、子どもの心はかえって不安定になってしまうので注意が必要です。親が「今は無理をしなくていいよ」という態度で不安な気持ちを受け止めるほうが、子どもは現実とたくましく向き合っていけるようになるものです。

Q.5 きょうだいの下の子への接し方で、親が気をつけたほうが良いことはありますか?

A.

親は上の子の子育てで経験を積んでいる分、下の子の子育てには余裕があり、良い意味で“いい加減”になりやすい傾向があります。ただ、上の子にはさまざまな習い事を経験させたにもかかわらず、下の子に対してはそこまで熱心にならないなど、下の子が「自分は大切にされていない」と感じてしまうレベルで対応に差がある事態は避けましょう。
親は上の子と同じように接しているつもりでも、下の子に対しては、つい「上の子のときほど手をかけなくても大丈夫だろう」という意識が働いてしまいがちです。それが不公平感につながらないようにするには、下の子と一対一で向き合う時間をつくり、親子で互いの気持ちをしっかり伝え合うことが大切です。

Q.6 きょうだいが10歳以上離れているときの子育てでは何に注意すべきですか?

A.

10歳以上離れているきょうだいの子育ては、ひとりっ子が二人いるようなものです。子どもはそれぞれ、自分なりに「これが好き!」と思えるものを見つけると、その道で専門性を究めていくという、ひとりっ子に近いメンタリティを持って成長すると考えられます。10歳以上の年齢差がある場合は、基本的に互いをライバル視することはないため、きょうだい間の葛藤やぶつかり合いはほぼありません。きょうだいを比較することはせずに、それぞれが何に向いているのかを見極め、それぞれの進路を見守ることを意識するとよいでしょう。

Q.7 きょうだい型(生まれ順)による友達づきあいの特徴や、幼少期の友達づくりに関して親に求められるサポートについて教えてください。

A.

「一番っ子」はきょうだいの中で下の子をリードする役割を担うことがあるため、友達にも同じように振る舞う傾向があり、それが“上から目線”だと受け取られるとトラブルになることも。友達に対しても、お兄ちゃん・お姉ちゃん的な立場で発言していないかは、親が気にかけるとよいでしょう。
バランス感覚に優れた「間っ子」は友達からも好かれやすいのですが、うまく自己主張ができない一面もあるため、「思ったことを我慢しないで言ってごらん」といった声かけをするのがおすすめです。
「末っ子」は、入園などで同い年の子どもだけの集団に入ると、「末っ子」として甘やかしてもらえない環境に戸惑うことがあります。しかし、先生など年上の人に助けを求めるのが上手で、友達関係のトラブルが起きても打たれ強いので基本的に心配ありません。
「ひとりっ子」は、幼少期は同年代の子どもとの接点を増やしてあげる必要があるものの、年齢が上がるにつれて自分で友達関係を築けるようになっていくので、おおらかな気持ちで見守りましょう。

 

磯崎三喜年先生

国際基督教大学教養学部名誉教授。博士(心理学)。きょうだい構成や生まれ順が人間の性格や行動に与える影響を研究する「きょうだい型人間学」を専門とする。

イラスト/ハヤシフミカ 文/安永美穂 構成/童夢

きょうだいの有無や生まれ順は、子どもの性格にも大きな影響を与えます。『ベビーブック』2022年12月号「もっとベビーブックwith HugKum」では、「一番っ子」「間っ子」「末っ子」「ひとりっ子」の4つのタイプ別に、性格の特徴や育て方のポイントを解説しています!

育児特集 番外編Q&A【もっと教えて、先生!】全記事リストはこちら

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