トイレトレーニング、こんなときはどうする? 『ベビーブック6・7月合併号』育児特集番外編Q&A

トイレトレーニングを進めていると、「こんなときはどうすればよいのだろう?」「どんな言葉をかければいいのだろう?」と悩んでしまう場面も多いもの。おうちの方がイライラせずに、子どもに寄り添いながらサポートしていくためのポイントについて、子育て支援の専門家がアドバイスします。

Q.1 トイレでできていたのに、下の子が生まれたらできなくなってしまいました。

Q.2 おもらしをされると、ついイライラしてしまいがちです。どんな言葉をかければよいのでしょうか?

Q.3 トイレトレーニングは夏から始めた方がよいというのは本当ですか?

Q.4 トイレに誘っても、トイレに行くのを嫌がります。どうしたらいいですか?

Q.5 おしっこはトイレでできるのですが、うんちは紙おむつでしたがります。どうしたら、うんちもトイレでできるようになるでしょうか?

Q.6 男の子のおしっこの仕方はどう教えればよいですか? 自分のおちんちんを触りたがることが多くて心配なのですが、どうすればよいのでしょうか?

Q.1 トイレでできていたのに、下の子が生まれたらできなくなってしまいました。

A.

赤ちゃん返りは、下の子が生まれたことで、上の子に対するおうちの方の接し方が変わったため、上の子が「自分のことを大切に思ってくれているの?」とおうちの方の気持ちを試そうとして取る行動です。食事の際におうちの方に食べさせてもらうなど、トイレ以外の事柄に関しては甘やかしてあげてよいのですが、トイレトレーニングに関しては、おまるを活用するなどして、できるだけ布パンツのまま過ごせるように工夫してみましょう。
赤ちゃん返りがひどくならないようにするには、上の子をお兄さん・お姉さん扱いしないことが大切です。布パンツを「お兄さんパンツ」「お姉さんパンツ」と呼んだり、トイレでおしっこができたときに「さすが、お兄ちゃんだね!」「お姉ちゃんだね!」とほめたりすることは避けましょう。トイレトレーニングでは、下の子が生まれる前と同様に、「布パンツで過ごしてトイレで排せつした方が、紙おむつのままでいるよりも気持ちいいよね」といった声かけを続けていくことが大切です。

Q.2 おもらしをされると、ついイライラしてしまいがちです。どんな言葉をかければよいのでしょうか?

A.

「おもらし」という言葉にはマイナスのイメージがありますが、排せつできた場所がトイレではなかったというだけで、それは「失敗」ではありません。「おしっこが出て気持ちよかったね。次はトイレでするともっと気持ちいいよ」というように、おしっこが出てスッキリしたという子どもの感覚に寄り添うような言葉をかけると、子どもの自己肯定感を下げずにすみます。おしっこやうんちを「汚い」「くさい」と思わせるような声かけや、「あなたは失敗してばかりなんだから!」といった人格を否定するような声かけは避けましょう。
おうちの方がイライラしてつらいときは、トイレトレーニングはいったん中断して、紙おむつで過ごすようにするので問題ありません。家族や友人、保育園の先生や子育て支援センターのスタッフなど、周囲の人にも頼りながら、無理のないペースで進めていけるといいですね。

Q.3 トイレトレーニングは夏から始めた方がよいというのは本当ですか?

A.

夏は洗濯物が乾きやすくておうちの方の負担感が少なくてすむ、冬はトイレが寒くてトイレに行くハードルが上がりやすいといった理由から、「夏から始めた方がよい」と言われることがありますが、トイレトレーニングは一年中いつからでも始めることができます。子どもが大人のまねをしたがる1歳半から2歳ごろの時期に始めるとスムーズに進めやすいので、おしっこの間隔が1~2時間くらいあき、自分で歩けて、座ったときの姿勢が安定するようになったら、なるべく早くスタートすることをおすすめします。

Q.4 トイレに誘っても、トイレに行くのを嫌がります。どうしたらいいですか?

A.

子どもは1~2歳台のうちは、大人のまねをするのが好きなので、トイレに誘うと嫌がらずについて来てくれることが多いです。でも、3歳を過ぎると情緒が発達してプライドが高くなり、「人と違うことをして自立したい」と考えるようになるため、トイレに誘われれば誘われるほど行きたくなくなるということが起こりがちです。そのような場合は、「一緒にトイレに行こう」と誘うのではなく、「私(おうちの方)はトイレに行ってスッキリしたけど、あなたはどう?」といった大人っぽい言い方をしてみるとよいでしょう。トイレが暗くて怖い、寒いといった理由で嫌がる場合は、トイレが過ごしやすい空間になるよう、環境を改善しましょう。

Q.5 おしっこはトイレでできるのですが、うんちは紙おむつでしたがります。どうしたら、うんちもトイレでできるようになるでしょうか?

A.

まずは、うんちは紙おむつでするのでかまわないので、「トイレやおまるでした方が気持ちいいよ」と声をかけましょう。うんちをしようといきみ始めてからトイレに連れていくのは難しいこともあるので、次のステップとしては、子どものそばにおまるを置いておきましょう。うんちをしそうになったら、おまるに座ってもらうようにすると、紙おむつの中ではないところでうんちをするイメージをつかめるようになります。おしっこはトイレでできているのであれば、そのうちに紙おむつに排せつをする感覚を不快に感じるようになり、子ども自身がうんちもトイレでしたいと思うようになるので心配いりません。

Q.6 男の子のおしっこの仕方はどう教えればよいですか? 自分のおちんちんを触りたがることが多くて心配なのですが、どうすればよいのでしょうか?

A.

子どもが自分のおちんちんに興味を持つのは自然なことなので、どこからおしっこが出るのかといったことはタブー視しないで教えてあげましょう。入浴時は3日に1回くらいはおちんちんの皮をむいて清潔に洗うようにして、その延長線上で触ってみるというのであれば問題ありません。
おうちの方が子どもだったころは、男の子は立っておしっこをするのが一般的でしたが、現在は「性器は人に見せるものではない」との考え方から、男子トイレに一般的な小便器を設置せず、男の子も個室のトイレで座っておしっこをするように教える園も増えてきています。おうちで教える際は、まずは座っておしっこができるようになることを目標として、骨盤を立てた姿勢で便座に座り、おしっこが前方にとばないようにする方法を教えてあげましょう。立っておしっこをする方法は、通園・通学先の環境に合わせて教える必要が生じた時点で教えるのでよいでしょう。

 

小川晶先生
植草学園大学発達教育学部准教授。同大学子育て支援・教育実践センター副センター長。博士(社会福祉学)。保育園などに保育の質の向上のためのアドバイスを行う。

イラスト/秋野純子 文/安永美穂 構成/童夢

トイレトレーニングは、進め方のポイントを押さえると2週間くらいで一気に完了させることも可能です。『ベビーブック』2023年6・7月合併号「もっとベビーブックwith HugKum」では、トイレトレーニングの具体的な進め方について詳しく解説しています!

育児特集 番外編Q&A【もっと教えて、先生!】全記事リストはこちら

 

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