▲「12歳の文学賞」贈賞式で、受賞者にイラスト入りサインを描く西原理恵子さん
お子さんとの日常を綴ったエッセイ漫画『毎日かあさん』の作者・西原理恵子さん。連載開始当初は幼児だったお子さんも、現在19歳と17歳です。アニメ化・映画化もされた人気漫画が、西原さんご自身の「卒母」宣言とともに、いよいよ最終回を迎えました。
また、西原さんは、小学生限定の新人公募文学賞「12歳の文学賞」の審査員も長らく務めていらっしゃいます。他の先生方とは一味違う選考の視点が毎回話題になっています。
そんな西原さんには、「学校」という仕組みはどう見えているのでしょうか? ご自身の子育てを振り返っていただきつつ、語っていただきました。
■頑張ってまで学校へ行かせる必要はない
もう結果から言っちゃうと、子どもを二人育ててみて、毎日学校に行く意味が見出せなかった(笑)。
子ども自身も疲れてるんです。毎日朝の7時に起きて学校行って、6時間座って授業受けてるんだから、そりゃ疲れますよね。
それでいて、放課後に塾行って勉強してたりする。
じゃあ、学校ってそもそも何するためのものなのって。友だちがいるっていうけど、人間関係が不得意な子は、いじめや登校拒否の問題も起こるし、どれも損じゃんっていう。
そこまでして子どもの頃の友だちが大事だったかって言うと、それほどでもないですし。意外と大学とか社会に出てからの友だちの方が重要になったりして。
そうなると、子どもらしさ、学生らしさって一体何だろうって考えちゃいますね。学校がなかったら、全て良く回らない? ってさえも思い始めちゃって。
まあ、なくならなくてもいいんですけど、そこまでして頑張って学校へ行かせる必要ないよ、って思う。小1の子どもを持つ親御さんに、先輩の親として言いたいのは、それに尽きるかな。
■文句を言う前に親が環境を変える
学校に対してもっとああしてほしいこうしてほしいって、いっつも文句言っている親もいますが、そもそも、みんな学校に何をそんなに期待してるのかって。
一番安い公共のサービス事業に、ヒルトンホテル並のラグジュアリーをどうして求めるのかって。そこがまずおかしいと思うんですよ。
「イヤだったら行かせないくらいにしときましょうよ」ってことです。文句言うなら、親が変えればいいんですよ。環境を。
小1の子を持つ親御さんは、子どもが学校に通い始めたばかりですけど、お子さんが楽しく過ごせるように考えてあげてください。
■お母さんが不安がってはだめ
とにかくお母さんが不安にならないように。大丈夫、大丈夫ですから。
成績がいいとか悪いとか、もし子どもがいじめられたらとか、いろいろ考えちゃうと思いますが、そんなこと気にしてたら息もできません。
お母さんが不安がって何もできなくなっちゃうと、子どもまで何もできないまま、逃げ遅れ型、巻き込まれ型の子になっちゃう。
それ考えるくらいだったら、お子さんを水泳教室にでも行かせてた方がいいですよ。心も体もキレイに育つし、いい具合に疲れて帰ってきてくれるし。いいことだらけです(笑)。
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娘が反旗を翻し、独立戦争が勃発中の西原家。巣立ちを目前に、西原さんから愛娘へ、どうしてもこれだけは語り継ぎたい母の教え。「王子様を待たないで。お寿司も指輪も自分で買おう」など、心にしみるメッセージが満載です。
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西原理恵子(さいばら・りえこ):
1964年、高知県生まれ。高校を中退後、大検を経て武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。88年、週刊ヤングサンデー掲載の「ちくろ幼稚園」で漫画家デビュー。数多くの作品を発表し、文藝春秋漫画賞、手塚治虫文化賞短編賞など受賞。11年「毎日かあさん」では日本漫画家協会賞参議院議長賞を受賞する。小学館が主催する「12歳の文学賞」では毎年審査員を務める。娘に伝えたい語りおろし本、「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」(KADOKAWA)が発売中。