歯みがきや着替え、お片づけなどは、今はできなくても「自分でできる」「自分からやる」をめざしたいものです。1歳からできる3つのステップの生活習慣の身につけ方について、本誌で紹介しきれなかった生活のリアルな悩みを保育士の須貝美香先生がお答えします。
Q.1 歯みがきを極端に嫌がり、まともに磨けたことがありません。虫歯になるのではと心配しています。どのように対処すればいいでしょうか?(1歳10か月)
Q.2 一緒におもちゃのお片づけをしようと思ったら、おもちゃで遊び始めてしまいます。どうすればいいでしょうか?(2歳2か月)
Q.3 靴を脱いだらそろえるように習慣づけたいのですが、どのように働きかけていけばいいでしょうか?(1歳11か月)
Q.4 手を洗おうとすると遊び始めていつもびしょぬれです。やめさせることはできますか?(1歳8か月)
Q.5 まだ上手にうがいができないのですが、外出した後、感染が気になります。病気予防のためにはどうすればいいでしょうか?(1歳8か月)
Q.6 児童館ではお片づけできるのに、おうちではできません。おうちでもできるようになるためには、どうすればいいでしょうか?(2歳8か月)
Q.1 歯みがきを極端に嫌がり、まともに磨けたことがありません。虫歯になるのではと心配しています。どのように対処すればいいでしょうか?(1歳10か月)
A.1
生活習慣を身につけるためには、「①見せる②一緒に③自分で」の3つのステップが大切です。1歳児は「①見せる」の時期なので、まずは親の歯みがきを見せましょう。
虫歯が気になるかもしれませんが、0・1歳の時期は唾液が多く分泌されていて、口内を清潔に保ってくれています。食後に水や麦茶を飲めば食べかすはほとんど流れるので、そんなに神経質にならなくても大丈夫でしょう。
ただし、食事と補食以外にお菓子やジュースをあげていると、1歳児でも口内が虫歯になりやすい環境に。ダラダラ食べには注意が必要です。
Q.2 一緒におもちゃのお片づけをしようと思ったら、おもちゃで遊び始めてしまいます。どうすればいいでしょうか?(2歳2か月)
A.2
子どもは「遊び尽くした」と自分で思えるくらい遊ぶまでは片づけようとしません。遊び始めるということは、「まだ遊びたい」状態です。例えば、電車のおもちゃで遊ぶ場合、線路も出すと遊び尽くすまで時間がかかりますね。「今日はあまり時間がないな」という日は、線路は出さずに車両だけで遊ぼうか、と提案します。
子どもは見通しを立てて行動することはできないので、親のほうが「じっくり遊ぶときはこのおもちゃ」「さっと終わらせたいときはこのおもちゃ」と使い分けましょう。
片づける際も、「お片づけしよう」ではなく「電車さんたちをおうちまで運んでくださーい」と、遊びの延長で声をかけるといいでしょう。
Q.3 靴を脱いだらそろえるように習慣づけたいのですが、どのように働きかけていけばいいでしょうか?(1歳11か月)
A.3
「①見せる②一緒に③自分で」の3つのステップで、まずは親の様子を見せること。そのうえで、「お散歩に行くから靴をはこうね」「帰ってきたから靴を脱ごうね」と、当たり前のことでも一つずつ丁寧に言葉にしながら伝えましょう。
そして、子どもが腰かけられる台を玄関に置くなど、環境も整えて。靴箱の中に子どもの靴をしまう場所を決めて、わかりやすいマークをつけておくのもおすすめです。
Q.4 手を洗おうとすると遊び始めていつもびしょぬれです。やめさせることはできますか?(1歳8か月)
A.4
今、お子さんは液体に興味をもっている時期ですね。液体と固体の違いを、遊びながら学んでぐんぐんと吸収しているのです。これもとても大切なことなので、「洋服びしょびしょになっちゃったね。ここだと濡れるから、お風呂で水遊びしよう」と声をかけ、濡れてもいい場所でたっぷりと遊べるようにしましょう。
お外から帰ってきて手を洗おうとしたら遊び始めてしまうなら、初めからお風呂に入れてしまうのも一つの方法です。
やめさせようと必死になるのではなく、やるのにふさわしい場所、ふさわしい時間なのかどうかを、一緒に伝えていくといいですね。
Q.5 まだ上手にうがいができないのですが、外出した後、感染が気になります。病気予防のためにはどうすればいいでしょうか?(1歳8か月)
A.5
うがいには、口の中をすすぐ「ブクブクうがい」と喉をすすぐ「ガラガラうがい」がありますが、ガラガラうがいのほうが難しいもの。まずはブクブクうがいをしながら「おー」のお口をしてごらん?と声をかけると、ガラガラうがいのやり方がわかってきます。
また、初めは飲んでしまうかもしれませんが、これもあまり気にしないこと。親がペッと吐き出すのを見せていれば、できるようになるでしょう。
何か新しいことを習慣づけるには100日ほどかかるといわれているので、すぐにできなくても気にしないで毎日続けてみてくださいね。
Q.6 児童館ではお片づけできるのに、おうちではできません。おうちでもできるようになるためには、どうすればいいでしょうか?(2歳8か月)
A.6
児童館は、物の置き場が決まっていたり分類がしっかりされていたりして、片づいた後の状態をイメージできるようになっているので、子どもでも片づけができるのです。自宅でもこれを心がけて。
また、自宅のおもちゃが多すぎるのかもしれません。0・1歳の頃は遊んでいたけど、今は遊ばないおもちゃは、思い切って処分しましょう(本当に気に入ってよく遊んでいたものは、無理に捨てることはありません)。
2歳8か月なら「片づける力」は育っているはずです。「遊んだら片づける」までを習慣づけられるよう、親が環境を整備するのも大切なことです。
『ベビーブック』2019年9月号別冊付録「café BB」育児特集では、生活習慣を身につける3ステップを詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
イラスト/河合美波 構成/童夢
監修/須貝 美香先生
保育士、NPO法人家庭的保育支援協会代表理事。現在は5つの保育園を経営し、自ら保育の現場に立つ傍ら、講演活動も行う。著書に『保育士が教える「子育ての正解」』など。
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