ほめ方がワンパターンになってしまう場合はどうすればいい?【『ベビーブック2020年2月号』育児特集番外編Q&A】

「たくさんほめて育てたい」、「感情的に怒らないようにしたい」と思っていても、それを実行するのはなかなか難しいものです。子どもへのかかわり方について、筑波大学医学医療系教授の安梅勅江(あんめときえ)先生がおうちの方の疑問にお答えします。

Q.1 ほめ方がワンパターンになってしまう場合はどうすればいい?

Q.2 子どもと遊ぶ余裕がないときにもできる、おすすめのかかわり方は?

Q.3 うちの子は、ほめるところがなかなか見つからなくて困っています。

Q.4 ほめてばかりいると、わがままになってしまうのでは?

Q.5 つい感情的に怒ってしまったときは、どうフォローすればいい?

Q.1 ほめ方がワンパターンになってしまう場合はどうすればいい?

A.

ほめるとは、子どものありのままの姿を認めることです。「あなたのことが大好きだよ」「いつも見守っているよ」というおうちの方の気持ちが子どもに伝わることが大切なので、ほめ方そのものはワンパターンでも問題ありません。「上手にほめなければ」と気負わず、そのときに感じた素直な気持ちを言葉にしてみましょう。目を合わせてほほ笑んだり、ジェスチャーで「やったね!」というサインを送ったりするだけでも気持ちは伝わりますよ。

Q.2 子どもと遊ぶ余裕がないときにもできる、おすすめのかかわり方は?

A.

食事の時間は、その日の出来事を話しながら「うれしかったね」「がんばったね」と幸せな気持ちを共有するチャンスです。遊ぶ時間がとれない場合も、一緒に食卓を囲んでごはんを食べる時間は大切にしましょう。子どもには体のふれあいも幸せを感じる刺激となるため、一緒にお風呂に入るのもおすすめです。時間の「長さ」よりもかかわり方の「質」が大切なので、短い時間でも子どもの気持ちをしっかり受け止めることを意識しましょう。

Q.3 うちの子は、ほめるところがなかなか見つからなくて困っています。

A.

特別なことができたときにほめるのではなく、「ごはんを食べたね」「靴をはけたね」と、子どもが普段当たり前のようにやっていることを一つずつ認めるようにすると、声をかけるタイミングはたくさんあるはずです。子どもが新しいことに挑戦するときは、成功することを求めずに、その挑戦を始めた時点で「やり始めた」「自分でやろうとした」ということをほめましょう。すると、子どもは自信がついて、次のステップへ進みやすくなります。

Q.4 ほめてばかりいると、わがままになってしまうのでは?

A.

たくさんほめられている子は愛情を十分に感じて育ち、おうちの方を喜ばせたいと思うようになるので、わがままにはなりません。逆に、ほめられることが少なく、「自分は愛されている」と実感できずにいると、子どもはおうちの方の愛情を確かめるためにわがままな言動をとることがあります。危険なことや人に迷惑をかけることは「ダメ」と言う必要がありますが、そのほかの場面ではたくさんほめることで愛情を伝えていきましょう。

Q.5 つい感情的に怒ってしまったときは、どうフォローすればいい?

A.

おうちの方だって人間なので、時には感情的に怒ってしまうことがあるのも自然なことです。そんなときは少し時間を置いて気持ちが落ち着いてから、「さっきは言いすぎてごめんね」と子どもに謝り、ギュッと抱きしめましょう。謝ることで、子どもは「自分のことが嫌いだから怒ったわけではないんだ」とわかって安心します。また、おうちの方が謝る姿を見て、子どもは「失敗してしまったときは謝ればいいんだ」と学ぶこともできます。

安梅勅江先生

筑波大学医学医療系教授。保健学博士。子どもからお年寄りまで、一生涯にわたる発達を踏まえて本人の力を引き出すための活動(エンパワメント)について研究している。

イラスト/三角亜紀子 文/安永 美穂 構成/童夢

『ベビーブック』2020年2月号別冊付録「café BB」では、研究結果に基づいた「こどもの力を引き出すほめ方、かかわり方」を特集しています。ぜひチェックしてみてくださいね。

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