子育て中は、思い通りにいかずにイライラしてしまうことも多いもの。そんなとき、どうすればイライラに振りまわされずに、落ち着いて対処できるのでしょうか。日本アンガーマネジメント協会公認講師の篠真希さんが、おうちの方の疑問にお答えします
Q.1 「おもちゃを出しっぱなしにしておくと、下の子が口に入れるから危ない」と何度言っても、上の子が片づけなくてイライラします。
Q.2 叱るときに「なぜダメなのか」を説明しても、また同じことをするのでイライラします…。
Q.3 怒りっぽい性格で子どもに怒ってばかりなのですが、どうすれば怒る回数を減らせますか?
Q.4 イライラを我慢すると爆発してしまうことも…。怒りをためこまずに解消するコツは?
Q.1 「おもちゃを出しっぱなしにしておくと、下の子が口に入れるから危ない」と何度言っても、上の子が片づけなくてイライラします。
A.
「片づけなさい!」と怒っても効果は上がらないので、上の子に最低限してほしいことは何かを考え、具体的な言葉にして伝えましょう。また、誤飲のおそれがある小さなものはおうちの方が一緒に片づける、引き出しが開けっぱなしにならないようにおもちゃ箱などの片づけやすい収納にするなど、おうちの方の工夫で危険を減らせる部分は別の方法でも対処しましょう。下の子の安全を考えることは大切ですが、上の子もまだ遊びたい盛り。おうちの方のサポート役を担うにはまだ小さいと再認識することで、上の子にあれもこれも期待せずにすみ、ちゃんとできたときには「ありがとう」「助かるわ」というかかわりができるでしょう。
Q.2 叱るときに「なぜダメなのか」を説明しても、また同じことをするのでイライラします…。
A.
ダメな理由を言葉で説明するのは、とてもよいことです。ただ、子どもは聞いたことをすぐに実行できないと考え、何度も一緒にやってみせることが必要です。例えば、「車が来ると危ないから、右を見て、左を見て、横断歩道を渡ろうね」と言葉で説明しながら、見本を見せ、実際に手を繋いで渡ります。「言われた通りにやる」ことまでは期待せず、「私がやることを真似して」という働きかけをすると、子どもは何が望ましい行動なのかをおうちの方の行動を見ながら学ぶことができます。
Q.3 怒りっぽい性格で子どもに怒ってばかりなのですが、どうすれば怒る回数を減らせますか?
A.
すぐ怒ってしまう人は、考え方のクセを見直してみましょう。例えば、子どもが何かができなかったときに「許せない」と思うと怒ってしまうかもしれませんが、「これからできるようになる」と思えば、成長を待とうという気持ちも生まれます。「何度叱られても笑っていてお調子者なんだから!」とイラッとしたなら「のびのびと育ってよかった!」というように逆の見方をしてみると、短所に思えたことが長所でもあると気づくことも多いものです。「自分の考え(だけ)が正しい」という思い込みにとらわれず、反射的な言動を変えることで、怒ってばかりという状況から抜け出すことができます。
Q.4 イライラを我慢すると爆発してしまうことも…。怒りをためこまずに解消するコツは?
A.
自分の心の状態に常に関心をもつようにして、怒りの裏にある自分の感情にも目を向けてみましょう。そして限界が近いと感じたら「爆発寸前なの!」と子どもや家族に言ってしまいましょう。こう宣言すると、感情を共有することで心に余裕が生まれますし、怒ってしまったとしても子どもに与える衝撃が少なくてすみます。パートナーのほか、ママ友・パパ友、子育てひろばのスタッフなど、自分の気持ちを共有してもらえる人と話をするのもおすすめです。
篠真希先生
日本アンガーマネジメント協会公認講師。母親むけアンガーマネジメント講座などを開催。近著に『イラストでわかる 怒らずのばす育て方』(池田書店)。
イラスト/ハラユキ 構成/童夢
『ベビーブック』2020年4月号別冊「もっとベビーブック with Hugkum」では、おうちの方がイライラを爆発させずに、子どもの成長に効果的なかかわり方をするためのポイントをお伝えしています。ぜひチェックしてみてくださいね。