何度言っても子どもがやらない、子どもが自分でやりたがるけどできない…! 生活習慣が身につくまでにはさまざまな親子の葛藤がつきもの。親子ともに、少しでもラクになるコツを専門家が答えます。
Q.1 私も片づけが苦手でつい部屋がおもちゃで散らかりがちです。息子には上手になってほしいのですが、どうすればいいでしょうか?(2歳8か月 男の子)
Q.3 うがいをするとき上手にできず、お水を飲んでしまいます。どのように練習すればいいでしょうか?(2歳0か月 男の子)
Q.4 お箸をきれいに持てるように育てたいと思っています。この時期からできることはありますか?(2歳2か月 女の子)
Q.1 私も片づけが苦手でつい部屋がおもちゃで散らかりがちです。息子には上手になってほしいのですが、どうすればいいでしょうか?(2歳8か月 男の子)
A.
片づけの基本は「出したら戻す」。ラックや引き出しを活用し、それぞれのおもちゃの「定位置」を決めて、「使ったら必ずそこに戻す」ことを親子で心がけてみてください。
おもちゃが散らかりがちということは、定位置がうまく定まっていないと考えられますが、これはもしかするとおもちゃの量が多すぎるのかもしれません。リビングなどに置いておくおもちゃは、よく遊ぶものを中心に2~3種類、多くても5種類程度にしておくと、片づけがスムーズに進むでしょう。
あまり遊ばなくなったおもちゃは別のところにしまっておいたりリサイクルに出したりするなど、量を減らす工夫をしてみましょう。
Q.2 お風呂のあと、上手に自分でパジャマを着ることができるようになっていたのですが、下の子が生まれてから、またできなくなってしまいました。着せようとすると逃げ回り、下の子の着がえもあるので焦ってしまいます。どうすればいいでしょうか。(2歳8か月&0歳3か月 男の子)
A.
この場合は、「ダメだよ!」「先にお着がえして!」と言いたくなるのをグッとこらえて、まずは「そっか、今お着がえしたくないんだね」と子どもの気持ちに寄り添いましょう。
そのうえで、「でも、寒いから着がえたほうがいいんじゃない?」「風邪をひいたら困るから着がえる?」と問いかける形で伝えます。
親からすると「一刻も早く服を着ないと風邪をひいてしまうのでは」と心配になってしまいますが、お風呂でしっかり温まっていればそんなに焦る必要はありません。上の子の気持ちに寄り添いつつ、自分が先に着がえたり下の子を着がえさせたりしてもいいでしょう。
下の子が生まれたことによる「赤ちゃん返り」であることも十分に考えられますので、おうちの人が焦らないことが一番大切ですよ。
Q.3 うがいをするとき上手にできず、お水を飲んでしまいます。どのように練習すればいいでしょうか?(2歳0か月 男の子)
A.
うがいの練習をするときは、まずおうちの人がやるのを見せましょう。一緒にやるのではなく、「今からやってみるね。どうなっているか見ていてごらん」と伝え、子どもの目線に大人の口がくるようにして「ガラガラ、ペッ」と出す様子をしっかりと見せます。「ほら、飲んでないでしょ?」「ペッと出すんだよ」と伝えたうえで、次は○○ちゃんがやってみてねと子どもにトライさせます。
初めのうちは失敗したとしても、これを繰り返すうちに徐々にできるようになっていきますよ。
また、感染症予防は、うがい以上に手洗いが大切です。うがいができなくても、しっかりと手を洗えればよしとしましょう。
Q.4 お箸をきれいに持てるように育てたいと思っています。この時期からできることはありますか?(2歳2か月 女の子)
A.
「箸を使う」というゴールばかりを見てしまいがちですが、その前にまず、箸を使うための準備ができていることが大切です。そのために大切なのが、親指、人差し指、中指の3本指。この3本指を使う訓練をして、箸が持てる指に育てましょう。スプーンを使ってあけ移しをしたり、シールやパズルで遊んだりするのもいいですね。石など小さいものをつまみたがったら、どんどんやらせましょう。
この3本指は鉛筆を持つ際にも使うので、日常の中で遊びながら鍛えていきましょう。
Q.5 上の子は2歳過ぎには自分で靴下を履けていたのですが、下の子は2歳半を過ぎてもまだ自分で履けません。履く気もないようです。自分でできるようになってほしいのですが、どうすればいいでしょうか?(4歳8か月&2歳7か月 女の子)
A.
まだ自分で靴下を履けないのであれば、初めは大人が見本となって靴下を履くところを見せてあげましょう。また、全部を自分で履かせようとするのではなく、途中まで手伝ってあげて最後だけ自分で履く、というところから始めてみるのもよいでしょう。靴下は足先とかかとを通すのが難しいので、そこはおうちの人がやってあげて、最後に上まで伸ばす部分だけ、自分でやってみるようにしましょう。
最後だけでも自分で伸ばすことができたら、「できたねー!」と一緒に喜ぶといいですね。お子さんも達成感を味わうことができ、自信につながります。その喜びから「また自分で履いてみようかな」と子ども自身が思えるようになっていきます。こうして小さな成功体験を積み重ねることで、少しずつできるようになっていくはずです。
Q.6 私がキッチンで料理をしているとお手伝いをしたがります。手間がかかるのでつい面倒に感じてしまうのですが、やらせたほうがいいでしょうか? どんなことをやらせるといいでしょうか?(2歳5か月 女の子)
A.
忙しく料理の準備をしているときに「お手伝いしたい!」と言われると、時間がないのに……とついつい面倒に思ってしまいますよね。でも、ここでもやっぱり「やりたがるときが伸びるチャンス」です。お手伝いをすることで、自分でできることがどんどん増えるだけでなく、どんなことにも挑戦する気持ちも育っていきます。ぜひ、やりたがっている今の時期を存分に活かしましょう!
2歳ごろは指先の微細運動が伸びる時期なので、おすすめなのは「皮むき」です。玉ねぎやトウモロコシ、そら豆、ゆで卵など、道具は使わず指先を使ってむけるものがいいでしょう。
また、生卵を割って力の加減を学んだり、ハンバーグや餃子のタネを混ぜていろんな感触を体験するのもいいですね。卵の殻が入ってしまったり、タネをこぼしたりすることもあるので、余裕があるときだけでも構いません。
他にも、家族の分の箸やスプーンなどを用意してもらうのもいいですね。この時期は「誰のもの」「誰の席」という所有の概念にこだわりを持っているので、「パパとママのところにお箸、〇○ちゃんのところにピンクのスプーンを置いてね」とお願いしてみるといいでしょう。
次第に数へのこだわりが出てくると「今日はパパがいないから、お箸2本とスプーン1個」「今日はカレーだからスプーン2個」など自分で考えてできるようになってきます。
神成美希先生
モンテッソーリ教育アドバイザー。モンテッソーリ教育の現場に精通し、子どもだけでなく保護者への啓発にも力を入れている。5歳&3歳男児の母。著書に『モンテッソーリ流「自分でできる子」の育て方』(日本実業出版社)など。
イラスト/高村あゆみ 構成/童夢
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