ベビーブック世代の子どもたちの歯をむし歯菌から守るには、毎日のケアが大切です。どのような点に気をつければ、子どもに嫌がられずに効果的なむし歯予防ができるのでしょうか。小児歯科専門医の茂木瑞穂先生が、おうちの方の疑問にお答えします。
Q.2子どもが歯みがきを好きになるような声かけ・働きかけのコツはありますか?
Q.3仕上げみがきの途中で口を閉じてしまう場合は、どうすればいいですか?
Q.4親にむし歯があるとき、子どもにむし歯菌をうつさないようにするには、どんなことに気をつければよいですか?
Q.5歯科健診は何歳頃からどれくらいのペースで受ければよいのでしょうか?
Q.6おしゃぶりや指しゃぶりは、歯並びに悪影響があるのでしょうか?
Q.1 仕上げみがきを嫌がるときは、どうすればいいですか?
A.
歯が生え始めた頃から、おうちの方が清潔な指やガーゼで子どもの歯茎や口のまわりを触る練習をしておくと、子どもは自分の指以外のものが口の中に入っても嫌がりにくくなります。仕上げみがきを嫌がる場合は、もう一度この段階からやり直してみましょう。夜は眠くて機嫌が悪いことも多いので、午前中の機嫌のよい時間に楽しい雰囲気のなかで口の中を触る練習を取り入れ、慣れてきたら仕上げみがきを始めると抵抗感が薄れるはずです。
Q.2 子どもが歯みがきを好きになるような声かけ・働きかけのコツはありますか?
A.
1~3歳頃の子どもは人の真似をすることが大好きなので、まずはおうちの方が楽しそうに歯みがきする様子を見せましょう。仕上げみがきをするときは、「ごめんね」と声をかけると、痛いこと・嫌なことをされるのではないかと子どもが身構えてしまうので、怖い顔をせずに笑顔で「歯をピカピカにするよ」といったポジティブな声かけを心がけましょう。早口にならずに、低めの声でゆっくり話すようにすると、子どもの気持ちも落ち着きます。
Q.3 仕上げみがきの途中で口を閉じてしまう場合は、どうすればいいですか?
A.
無理に口をこじ開けようとせずに、子どもの口の開閉に合わせてみがくようにしましょう。歯ブラシを噛んでしまった場合でも、数秒待てば子どもは自然と口を開くので、その瞬間に噛んでいた歯ブラシを引き抜くようにします。口を閉じている間は外側からでもみがくことができる歯の表側を、口を開けたときには奥歯のかみ合わせの溝をそれぞれみがくようにして、どこをみがいたのかを覚えておくようにすると、みがき残しをなくせます。
Q.4 親にむし歯があるとき、子どもにむし歯菌をうつさないようにするには、どんなことに気をつければよいですか?
A.
まずはおうちの方自身がむし歯を治療してください。むし歯菌は唾液を介してうつるので、おうちの方が使ったスプーンや箸で子どもに食べさせることがないよう注意を。子ども自身のスプーンを持たせることは、食べる力・噛む力の発達をうながすためにも必要なことです。子どもの口にキスをするのもむし歯菌をうつすおそれがあるため、おうちの方にむし歯があるときは、ギュッと抱きしめる、膝に乗せて絵本を読むなど、キス以外の方法でスキンシップをとりましょう。
Q.5 歯科健診は何歳頃からどれくらいのペースで受ければよいのでしょうか?
A.
大人も子どもも、むし歯になってから治療のために歯科に行くのではなく、むし歯予防のために定期的に健診を受けることが大切です。1歳になって上の前歯が生えてきたら歯科に通い始め、歯ブラシやフロスの正しい使い方を教えてもらいましょう。奥歯はむし歯になりやすいので、奥歯が生えてくる1歳半頃からは、3~4か月に1回(家庭でのケアに自信がない場合は1~2か月に1回)くらいのペースで歯科に通って健診を受け、フッ素塗布を行うことをおすすめします。「歯医者さんに行くとむし歯菌をやっつけてもらえていいね」といった声かけをして、習い事に行くような感覚で楽しく通えるといいですね。
Q.6 おしゃぶりや指しゃぶりは、歯並びに悪影響があるのでしょうか?
A.
おしゃぶりは、口をふさぐことで発語が遅くなる可能性もあるため、1歳を目安に使うのをやめた方がよいでしょう。指しゃぶりは、いろいろなものを口に入れて安全かどうかを確かめるという発達のプロセスでもあるので、3歳頃までは見守っていてかまいません。ただ、3歳以降の指しゃぶりは、上顎前突(出っ歯)や開咬(上下の歯が咬み合わない)の原因となることも。子どもが不安を抱えているようなら寄り添う時間をつくる、暇を持て余して指を口に入れている場合は遊びの時間を増やすなど、指しゃぶりをやめられるような配慮ができるとよいと思います。
茂木瑞穂先生
小児歯科専門医・指導医。歯学博士。東京医科歯科大学小児歯科学分野の助教を経て、現在はフリーランス小児歯科医として診療や講演を行う。3児の母。
イラスト/福場さおり 構成/童夢
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