発達を知れば、子どものイヤイヤも怖くない!『ベビーブック9月号』育児特集番外編Q&A

さまざまなシーンでおうちの人を悩ませる子どものイヤイヤ。一歩引いて「子どもの心の発達」として考えてみませんか? そこで見えてくるイヤイヤの理由と、ぜひ試してほしい対処法をご紹介します。

Q.1 お友だちに手が出てしまうときはどうすればいいですか?

Q.2 理由がわからないイヤイヤが続いて困っています。

Q.3 レストランや電車など、公共の場でイヤイヤが出たときはどうすればいいですか?

Q.4 強く言いすぎてしまい自己嫌悪に陥ります。どうすればいいでしょうか?

Q.5 ママよりもパパの方が子どもを甘やかしているのが気になります。

Q.6 イヤイヤを鎮めるためにスマホを使ってもいいでしょうか?

 

Q.1 お友だちに手が出てしまうときはどうすればいいですか?

A.

手が出てしまうというのは、自分の欲求のままに動いてしまっているということです。自分の欲求をマネジメントする力を育てていく必要があります。しかし、この時期の子どもはまだ他の人の気持ちを推測することができないので、「お友だちが嫌がっているからやめようね」と伝えても、なかなか理解できません。
子どもに理解できるように伝えるには、日ごろ絵本や映像を見ていて「お友だちに手を出してしまった」というシーンがあったとき、「お友だち、泣いちゃってるね」「悲しそうだね」「欲しいからってすぐに取っちゃうのはよくないよね」と声をかけて、お友だちに手を出すのはいけないというイメージを与えておきます。
そうしておくことで、いざ手を出してしまったときに「あの絵本の〇〇ちゃんみたいになってるよ」と声をかけると、「あ、これ、かっこ悪いからやめよう」とイメージすることができるのです。
また、大人はダメな行動をしたときにだけ注意がいきがちですが、正しい行動をしたときこそきちんと見てあげて、「すごいね、お友だちのものを取らないで、自分のもので遊べてるね」とほめてあげることも大切です。

 

Q.2 理由がわからないイヤイヤが続いて困っています。

A.

イヤイヤしている本人も理由がよくわからず、言葉で説明することもできないために、叫ぶ、暴れるといった癇癪となることはよくあります。おおよそ、「こうしたい」「こうして欲しい」といったイメージが満たされないことが原因です。ですから、そのときそのときの感情や欲求を言葉で表現できるようになると、子ども自身も自分がなぜ泣いているのかという因果関係を理解できるようになり、少し自分を抑えるといった心の発達につながります。
何が元になってこういう状態になっているのかを、少し時間軸を戻しながら想像して、声をかけてみましょう。また、子どもとの距離が近くなり感情移入しすぎると状況が見えなくなることがあるので、少し引いて考えることも大切。「もっと寝たかったのかも」「もしかするとお昼を食べるとき自分でフォークを選びたかったのかも」「お散歩に行くとき本当は赤い靴下を履きたかったのかも」など、子どもの「つもりだった」「したかった」といった原因を探って声をかけてみるといいでしょう。まるで謎解きのようですが、理由がピタッとハマると、親子ともに気持ちがいいですよ。

 

Q.3 レストランや電車など、公共の場でイヤイヤが出たときはどうすればいいですか?

A.

基本的に、この年齢の子どもに公共の場で静かにさせることは難しいと思っておいたほうがいいでしょう。家でだって5分とじっとしていられない年ごろです。家よりもおもしろいものがない公共の場で、じっとしていること自体が困難な課題ですよね。
子どもを連れて公共の場に行かないといけない場合は、「そもそもできないことを子どもにお願いしているんだ」という前提で、コンパクトな絵本など、その子が楽しめるものを1つか2つ持っていくようにしましょう。事前に対策を練って準備しておくことが大切です。
その上で、どうしてもひどい癇癪を起こしてしまった場合は、電車を降りたりお店から一旦外に出たりするなど、場所を変えて切り替えるようにしましょう。あらかじめ予測している方が、親自身のイライラが防げます。そのためにも、ゆとりを持って行動する必要があります。

Q.4 強く言いすぎてしまい自己嫌悪に陥ります。どうすればいいでしょうか?

A.

イヤイヤ期の子どもが主張する「イヤ!」は、おうちの人のことが嫌いだったり反抗する気持ちがあって言っているわけではありません。自立へと向かっていく過程で芽生えた「自分でやりたい」という強い欲求に対して、表現するスキルが追いつかないために癇癪を起こしてしまっているのです。
ですので、子どもがイヤイヤ!と癇癪を起こしたとしても、おうちの人自身が感情的になる前に、一歩引いて子どもを観察するつもりで接してみましょう。
子どもの様子を見て、どんな態度で接すると子どもが落ち着くか、いろいろなパターンを試してみましょう。少し行動を変えると、子どもの反応も変わるかもしれません。

Q.5 ママよりもパパの方が子どもを甘やかしているのが気になります。

A.

ママとパパは家族とはいえ2人の違う人間ですので、対応を完全に一致させる必要はありません。子どもはママとパパのことをよく見ています。「ママはこういうときに甘くて、パパはこういうときに甘い」というそれぞれの特徴を理解しながら家庭内で育っていくので、あまり気にしないほうがいいでしょう。
ただ、どうしても妥協できないことがある場合は、大人同士できちんと話し合いましょう。育児方針にこだわりすぎた結果、いがみ合ってしまうのは本末転倒です。ママとパパがギスギスしている状態が子どもにとって一番のストレスになるので、話し合ってコミュニケーションをとることが大切なのです。

Q.6 イヤイヤを鎮めるためにスマホを使ってもいいでしょうか?

A.

短時間で、子ども向けのコンテンツであれば問題ありません。ただし、一見子ども向けにみえても徐々に残虐な映像に変わっていくなど悪質なものもあり、子どもにとってトラウマになりかねません。内容がわからないものは子どもだけで観させず、おうちの人と一緒に観るようにしましょう。
また、この時期の子どもの集中力は10分から20分ぐらいが限界で、本来であればそんなに長い時間一つの遊びに集中することはむずかしいことです。それにもかかわらず、スマホやタブレットなら1時間も2時間も観てしまうのは、動画の刺激にたださらされているだけの場合もあり、あまりよいとはいえません。目の健康にとってもよくありません。1回につき20分ぐらいまでを限度に切り上げさせましょう。できれば、おうちの人も一緒に観ながら、「アンパンマンかっこいいね」「上手にどうぞができてるね」などの声をかけるなど、親子のコミュニケーションツールにできればよいでしょう。

 

渡辺弥生先生
法政大学文学部心理学科教授。専門は発達心理学、発達臨床心理学。著書に『まんがでわかる 発達心理学』(講談社)、『絵で見てわかる しくさで子どもの心がわかる本』(PHP研究所)など多数。

 

イラスト/石塚ワカメ 文/洪 愛舜  構成/童夢

イヤイヤ期が来たということは、子どもが健全に成長していると喜ぶべきこと……そんなふうに考えると、毎日の「困った!」が少し違ってくるかもしれません。『ベビーブック』2020年9月号「もっとベビーブックwith HugKum」では、発達心理学の視点から、イヤイヤ期をくわしく解説しています!

育児特集 番外編Q&A【もっと教えて、先生!】全記事リストはこちら

 

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