むし歯にならないために今日からできることは? 『ベビーブック6月号』育児特集番外編Q&A

子どもが仕上げみがきを嫌がる、今のケアで歯を守れているのか不安……など、歯と歯の健康にまつわる心配ごとは尽きません。長年たくさんの子どもの歯と健康を支えてきた歯科医がその悩みにお答えします。

 

Q.1 生まれたときからむし歯菌は口内にあるのでしょうか? また、むし歯になりやすい体質というのはありますか?

Q.2 歯みがきは、何歳から始めればいいですか? また、歯みがき粉は使ったほうがいいですか?

Q.3 自分でみがくのは楽しくやっているのですが、仕上げみがきを嫌がります。どうすればいいでしょうか?

Q.4 食べたら毎回歯みがきをしたほうがいいのでしょうか? 毎日慌ただしく、毎回は難しそうなのですが……。

Q.5 乳幼児歯科健診では、どんなことを診ますか? 気をつけておいたほうがいいことはありますか?

Q.6 気をつけていたのにむし歯ができてしまったようです。この子は一生むし歯と付き合わないといけないのでしょうか?

Q.7 指しゃぶりするクセがあるのですが、むし歯になりやすいですか?

Q.8 おやつの時間以外に、移動中や待ち時間に静かにしてもらうためにお菓子をあげることがあります。これはよくないでしょうか?

Q.1 生まれたときからむし歯菌は口内にあるのでしょうか? また、むし歯になりやすい体質というのはありますか?

A.

生まれたときの口内には、むし歯の細菌であるストレプトコッカス・ミュータンス菌は存在していません。母体の膣内や産道にも存在していないので、誕生後、親など周りの人から伝播するといわれています。そして、一度口内に入ると、入った量に関わらず口の中で生きていく口腔常在菌となります。
また、最近の研究で、むし歯になりやすい遺伝子と、歯周病になりやすい遺伝子が存在することがわかっています。そのような遺伝子を持っていても大丈夫なように、予防に気をつけなければいけませんね。

Q.2 歯みがきは、何歳から始めればいいですか? また、歯みがき粉は使ったほうがいいですか?

A.

歯が生え始める前から唇を触る練習をしておくことが理想です。8か月くらいでものを掴めるようになったら、ゴムでできた歯ブラシを自分で持たせてあげてください。そうすると自分で口に持っていくでしょう。それに慣れると、おうちの人の仕上げみがきも嫌がらずスムーズに受け入れられるようになります。
歯みがき粉は、フッ化物が配合されたものを活用するといいでしょう。仕上げみがきの最後に、マッチ棒の頭くらいの量をつけて塗り込むように使いましょう。うがいはしなくてもOKです。

Q.3 自分でみがくのは楽しくやっているのですが、仕上げみがきを嫌がります。どうすればいいでしょうか?

A.

自分では楽しくみがけているということは、もしかするとおうちの人のみがき方に何か原因があるかもしれません。力が入り過ぎて痛がっていないか、急ぎ過ぎていないか、おうちの人の「みがかなきゃ」という義務感が強くなって恐怖心を与えていないか、一度気にしてみるといいでしょう。
嫌がっている間は、スキンシップを楽しむつもりで、仕上げみがきの体勢で唇や口の周りを指で触ることから始めてみてください。

Q.4 食べたら毎回歯みがきをしたほうがいいのでしょうか? 毎日慌ただしく、毎回は難しそうなのですが……。

A.

1日1回だけみがくとなると、その1回で綺麗にしないと!とおうちの人がプレッシャーに感じてしまうため、つい力が入ってしまい、お子さんの「仕上げみがき嫌い」につながることがあります。その点でも、「食べたらみがく」という習慣を作っておいたほうが、後が楽になります。なるべく、朝昼晩の3食を食べた後はみがくようにしましょう。
ただし、お昼など外出していてみがくことができない場合は、無理にしなくてもOKです。市販されている「歯みがきシート」などを活用したり、ガーゼで拭いたりするのもおすすめです。

Q.5 乳幼児歯科健診では、どんなことを診ますか? 気をつけておいたほうがいいことはありますか?

A.

1歳6か月健診と3歳健診で、歯がどれくらい生えているか、むし歯の有無、歯の汚れ、歯ぐきや粘膜の異常、かみ合わせをチェックすることになっています。他に、歯並びに異常がないかも確認します。
歯科クリニックでの歯科健診と違って集団健診では機材が十分にそろっていないので、汚れや唾液を吹き飛ばしてから診察する、ということができません。汚れが残っていると、汚れに隠れた場所を正確に診ることができない場合があります。健診を受ける前にできるだけ綺麗にみがいてきてくださいね。

Q.6 気をつけていたのにむし歯ができてしまったようです。この子は一生むし歯と付き合わないといけないのでしょうか?

A.

むし歯は、「口内細菌」「歯の形や質」「口内に残された糖類」という3つの要因が重なり合う時間が経過することで発生します。むし歯ができたということは、生活習慣や甘味への許容、歯みがきの不足など、原因が必ずあるはずです。その原因を取り除いて改善しないと、またむし歯になる可能性は大いにあります。このむし歯をきっかけに生活習慣を見直してみるといいですね。

Q.7 指しゃぶりするクセがあるのですが、むし歯になりやすいですか?

A.

指しゃぶりとむし歯に因果関係はありません。しかし、指しゃぶりが原因で歯並びに影響を及ぼすことはあります。
ただ、指しゃぶりそのものは発達段階の一行動ですので、あまり悪者にせず、3歳過ぎまでは見守っていていいでしょう。3歳半くらいになれば理由を言って聞かせることができるので、やめるよう促すのはそれ以降で構いません。

Q.8 おやつの時間以外に、移動中や待ち時間に静かにしてもらうためにお菓子をあげることがあります。これはよくないでしょうか?

A.

3食以外のおやつ(補食)は1日1回に抑えたいところですが、どうしてもという場合は、袋ごと与えてダラダラと食べるのではなく、個数を決めて渡すようにしましょう。また、甘さが強くないベビーせんべいなど、なるべく幼児向けのお菓子を選ぶといいでしょう。

 

丸山進一郎先生
1978年開業の小児歯科治療専門の歯科医院、医療法人アリスバンビーニ小児歯科理事長。子どもや親とのコミュニケーションを重視した治療を行う。全国小児歯科開業医会監事、品川学校歯科医会会長。

イラスト/秋野純子 文/洪 愛舜 構成/童夢

 

これから一生続く歯との付き合いが始まったばかりの今、正しいケアを知り、歯を守る習慣を身につけることは大きな財産になります。『ベビーブック』2021年6月号「もっとベビーブックwith HugKum」では、歯のみがき方や歯を守るためにおうちの人ができることについて、詳しく解説しています!

育児特集 番外編Q&A【もっと教えて、先生!】全記事リストはこちら

注目記事

\最新情報は公式Xから/

最新記事

もっと見る

SNS

ベビーブック

人気記事ランキング

遊び・しつけ・知育ぜ~んぶまるごと!

小学館の知育雑誌『ベビーブック』は、遊び・しつけ・知育が1冊にぎっしり!

アンパンマン、きかんしゃトーマス、いないいないばあっ!など人気キャラクターがお子さんの笑顔を引き出します。はってはがせるシール遊びや、しかけ遊びでお子さん夢中まちがいなし!