いざ始めると、なかなかスムーズに進まないトイレトレーニングに悩むおうちの方はたくさんいらっしゃいます。長年、多くの子どものトイレトレーニングに関わり、さまざまな悩みをサポートしてきたベテラン保育士がお答えします。
Q.2 パンツを買ったので家にいるときは履かせているのですが、何度も失敗が続き、つい怒ってしまいます。どんな言葉をかければいいでしょうか。
Q.3 おしっこが出たかどうかを子どもが教えてくれないので、いつおしっこしているのか、わかりません。
Q.4 前はトイレでできていたのに、最近は失敗が続きます。逆戻りしてしまったのでしょうか?
Q.5 おしっこはトイレでできたのですが、うんちはカーテンに隠れておむつでしたがります。どうすればいいでしょうか。
Q.6 日中はパンツで過ごせるようになっても、夜はまだおねしょをすることが多いのですが、どうすればいいでしょうか。
Q.1 夏から始めたほうがいいのでしょうか?
A.
確かに以前は「トイレトレーニングには夏が適している」といわれていましたが、それは、夏のほうが洗濯ものが乾きやすいという事情があったからです。大人の都合ですね。今は乾燥機つきの洗濯機も一般的になり、洗濯事情も大きく変わっているので、1年中いつでも始められます。それよりも、子ども自身のタイミングを優先しましょう。
Q.2 パンツを買ったので家にいるときは履かせているのですが、何度も失敗が続き、つい怒ってしまいます。どんな言葉をかければいいでしょうか。
A.
おうちの人も人間なので、失敗が続くと怒りたくなってしまいますよね。感情に逆らえず怒ってしまったときは、そのあとで謝りましょう。その上で、どうして怒ってしまったのか、理由をきちんと説明することが大切です。「おしっこジャーしちゃったら、せっかくのカッコいいパンツがくさいくさいになっちゃうよね?」「だから、出る前に教えてほしいんだ」など、一人の人として向き合ってしっかりと言葉で伝えるよう心がけるといいでしょう。
Q.3 おしっこが出たかどうかを子どもが教えてくれないので、いつおしっこしているのか、わかりません。
A.
おしっこがいつ出ているのかわからないというのは、まだ膀胱が育っていない証しです。おしっこをたっぷりためられず、ちょろちょろと出ているのです。少なくとも一度に100ccためられるまではトイレトレーニングのスタートには早すぎるので、もう少し様子を見てもいいでしょう。
水分をたくさん摂ると膀胱の成長につながるので、こまめに水分を摂るよう心がけてみましょう。
Q.4 前はトイレでできていたのに、最近は失敗が続きます。逆戻りしてしまったのでしょうか?
A.
もしかすると、トイレに誘うタイミングが子どものおしっこの周期と合っていなかったり、トイレに誘う頻度が高すぎたりして、トイレトレーニングが嫌になっている時期なのかもしれません。
ここから軌道修正するためには、もう一度、「トイレでおしっこができるようになってほしい」というおうちの人の思いをしっかりと話してみましょう。そうすることで、子どもにとって“トイレ、トイレと遊びを邪魔する人”ではなく、“自分のために言ってくれている人”と感じられるようになります。
Q.5 おしっこはトイレでできたのですが、うんちはカーテンに隠れておむつでしたがります。どうすればいいでしょうか。
A.
カーテンに隠れてうんちをするということは、「うんちが出そう」という感覚を自分でわかっているということですね。嫌がるかもしれませんがこのタイミングでトイレに座らせて、うんちができるようにしてみましょう。
「そのうち外れるだろうし、今は嫌がっているから」と思うかもしれませんが、実は私が保育を担当した子どもで、小学校3年生までトイレでうんちができず、学校から帰って夜おむつでうんちをしていた子がいました。「いつか」と先延ばしにしていたら、小学3年生まで続いてしまうこともあるのです。
もし泣いたとしても、「トイレでできるよ」と前向きに声をかけてがんばってみましょう。泣くとお腹に力が入るのでいきむことになり、結果的に出やすくなります。
2~3回トイレで成功したら、トイレでのうんちが習慣づくでしょう。子どもの力を信じて、取り組んでみてくださいね。
Q.6 日中はパンツで過ごせるようになっても、夜はまだおねしょをすることが多いのですが、どうすればいいでしょうか。
A.
4歳くらいまでは夜はおむつでも何の問題もありません。睡眠時間を考えると、膀胱に250cc以上ためる必要があるので、寝ている間の分のおしっこをためられるほどには膀胱がまだ育っていないのです。
個人差はありますが、5歳くらいになると膀胱も成長して250cc以上の量をためられるようになります。ですので、小学校入学までに夜のおむつを卒業できれば問題ないでしょう。
もし、年長さんの年齢になっても夜にたっぷりおしっこをしているようなら、寝る前に摂る水分の量が多すぎるのかもしれません。夕食後から就寝までの間の水分量を減らしてみるといいでしょう。
須貝美香先生
保育士。NPO法人家庭的保育支援協会代表理事。5つの保育園を経営し、自ら保育の現場に立つ傍ら、講演活動も行う。著書に『保育士が教える「子育ての正解」』(幻冬舎)など。
イラスト/いわたまい 文/洪 愛舜 構成/童夢
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